【これは名著だ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837957463
本日の一冊は、「世界No.1ビジネス・スクール」の呼び声高い、ペンシルベニア大学ウォートン校の史上最年少終身教授による、注目の論考。
人間を、「ギバー(人に惜しみなく与える人)」、「テイカ─(真っ先に自分の利益を優先させる人)」、「マッチャー(損得のバランスを考える人)」の3つに分け、どれが一番成功する確率が高いか、さまざまな研究成果を元に、論じています。
<調査によれば、成功したテイカーは妬まれやすく、何とかしてその鼻をへし折ってやろうと周囲から思われるという。それとは対照的に、ホーニックのようなギバーが勝つと、みんなやんやと声援を送り、非難することなどない。その成功が、周囲の人びとの成功を増幅させるからだ>
そう、長期的に成功するのは3つのうち「ギバー」であり、なかでも成功するのは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくするギバーなのです。
本書の中には、地球上の誰よりも『フォーチュン』誌が選んだ有力者六百四十人とリンクトインでつながっているという(2011年)、アダム・リフキンの例が出てきますが、彼はネットワーク作りについて、こんな考えを持っているようです。
<ネットワークとは自分のためだけにつくるものではなく、すべての人のために価値を生み出す道具であるべきだ>
<ひたすら価値を「増やす」ことを目指している>
結論は、自己啓発書にありがちな「与えなさい」ということですが、そこにいたるロジック、事例が読ませてくれる一冊です。
これはぜひ、読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ギバーは成功への階段の一番下だけでなく、一番上も占めている
調査によれば、成功したテイカーは妬まれやすく、何とかしてその鼻をへし折ってやろうと周囲から思われるという。それとは対照的に、ホーニックのようなギバーが勝つと、みんなやんやと声援を送り、非難することなどない。その成功が、周囲の人びとの成功を増幅させるからだ
テイカーはリスト1にある価値を好むのに対し、ギバーはリスト2の価値を優先する
・リスト1(富、権力、快楽、勝利)
・リスト2(援助、責任、社会主義、同情)
人脈ネットワークにおいては、テイカーに痛い目にあわされると、「評判情報」を共有することでテイカーを懲らしめるという
休眠状態のつながりのほうが、より多くの新しい情報をもたらす
ネットワークとは自分のためだけにつくるものではなく、すべての人のために価値を生み出す道具であるべきだと、リフキンは考えている
テイカーはユニークなアイデアを生み出し、反論をものともせず、それらを擁護するコツを心得ている。自分の意見に絶対的な自信をもっているため、普通の人なら創造力を抑え込まれてしまう「社会的な承認」に縛られることがないからである
成功したギバーは、自分だけでなくグループ全員が得をするように、パイ(総額)を大きくする
教師が生徒の可能性を信じたために、「自己成就予言」(他人から期待されると、それに沿った行動をとって期待どおりの結果を実現すること)が働いた
テイカーはエゴが脅かされることに敏感なため、ギバーよりも立場固定に陥りやすい
弱みを見せても効果があるのは、周囲の人びとに有能だと認められている場合にかぎる
ギバーにとって有利な交渉術がある。それは「アドバイスを求めること」だ
テイカーとつき合うときには、マッチャーになればいい
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『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』アダム・グラント・著 三笠書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4837957463
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◆目次◆
PART1 あなたは、まだ「ギブ&テイク」で人生を決めているのか
PART2 「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ
PART3 チームの総力を活かせる人
PART4 荒野で“ダイヤモンド”を見つける法
PART5 「パワーレス」の時代がはじまった
PART6 「与える人」が気をつけなければならないこと
PART7 気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
PART8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
PART9 「成功への道」を切り拓く人たち
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