【世界を動かすトップ0.1%】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152094192
本日の一冊は、ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏も絶賛した、注目のベストセラー。
グローバル経済のもと、ますます広がる格差について論じた一冊で、興味深いことに、「グローバルスーパーリッチ」、つまり新興のとんでもない金持ちにフォーカスしています。
本書で論じる「プルトクラート(超富裕層)」は、所得上位0.1%の人々ですが、彼らは、これまでの金持ち研究本で登場したような人々とは、若干異なっています。
興味深かったのは、今日の金持ちが、「不労所得者」ではなく、「労働する金持ち」であるということ。
また、マーシャル効果(=ますます豊かになる上流社会向けのパフォーマンスの披露)とローゼン効果(=テクノロジーを動力にする規模拡大の力)との相互作用により、スーパースターが生まれやすくなっているという指摘も、興味深く読むことができました。
グローバル化、ネットワーク化によって、どんな人間・ビジネスが恩恵を受けるのか、どこの国でビジネスをすれば有利なのか、本書を読めば一発でヒントが手に入ります。
『となりの億万長者』『金持ち父さん貧乏父さん』にハマった人は、ぜひ本書を読んで知識をアップデートしておいてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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社会が誕生してからの世界の動きをよく見れば、人びとが平等になるのは、文明の両極の時代のみであることが容易にわかる。野蛮人は平等であった。等しく脆弱で、無知だったからである。きわめつきの文明人は平等である(アレクシ・ド・トックヴィル)
一九二九年の大恐慌以来初めて、経済成長への注目よりも再分配への注目のほうが意味を持つことになった
彼らは、出身地を同じくする者同士ではなく、似たような立場にある者同士で国境を超えたコミュニティを築きつつある
一九八〇年、アメリカ企業のCEOの平均所得は労働者のそれの四二倍だった。だが、それから急激に上昇し、二〇一二年には三八〇倍になっていた
二〇〇六年のギャラップ世界世論調査の論評に、アンガス・ディートンはこんな結論を記した。「意外にも、所得水準はどうあれ、その国の経済が成長しているほど、生活満足度が低いと報告する人は多くなる」エドゥアルド・ロラとキャロル・グレアムはこの現象を「不幸な経済成長の逆説」と名づけた。たとえば、中国で別々に行なわれた二つの調査から、都市に移り住んだ農民は、農村にいたころにくらべてより裕福だが、所得に対してはより不満足であることがわかっている
経済学会のデータマニアの先駆けで、所得格差の拡大がもたらす社会と政治への影響を深く憂慮しているサエズも、現代のプルトクラートの決定的な特徴として、彼らが「労働する金持ち」である点を挙げている。彼の発見によれば、一九一六年のアメリカの所得上位一パーセントの人びとの場合、有給仕事による所得は全収入の約二〇パーセントだった。二〇〇四年にはそれが約三倍になり、全収入の六〇パーセントだった。「結果、二〇世紀中に、高所得者のヒエラルキーのなかでエグゼクティブ(「労働する金持ち」)が資本所有者(「不労所得者」)にとってかわった」と、サエズとピケティの画期的な論文に記されている
今日のプルトクラートについて特筆すべき点は、彼らが自分の財産を、手に入れたときと同じようなやり方でつかう場合が多いことである。すなわち、事業を通じて費やすのだ
マーシャル効果──ますます豊かになる上流社会向けのパフォーマンスの披露──とローゼン効果──テクノロジーを動力にする規模拡大の力──との相互作用は、われわれがつねづね舞台芸術だと考えているものを超えたスーパースター効果をつくりだす
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『グローバルスーパーリッチ』クリスティア・フリーランド・著 早川書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152094192
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◆目次◆
1.これまでの歴史と、その重要性について
2.プルトクラート文化
3.スーパースター
4.革命への対応
5.レントシーキング
6.プルトクラートとそれ以外の人びと
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