2013年9月19日

『やってのける 意志力を使わずに自分を動かす』ハイディ・グラント・ハルバーソン・著 vol.3348

【話題の全米ベストセラー】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479794123

大ベストセラーとなった『スタンフォードの自分を変える教室』以来、「意志力」に注目が集まっています。

※参考:『スタンフォードの自分を変える教室』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479793631

ただ、実際に本を読んで実践しても、やはりダイエットや禁煙がうまく行かない、わかっちゃいるけど行動できない、という方は多いのではないでしょうか。

<自制心だけでは「自分」を動かせない>

本日ご紹介する一冊は、このことを前提に、どうすればわれわれが行動できるか、コロンビア大学の心理学博士が説いた、話題の全米ベストセラーです。

副題に「意志力を使わずに自分を動かす」とあるように、意志力とは違う力で自分を動かす、まったく新しいアプローチ方法が書かれており、目から鱗の一冊です。

本書によると、1.「わたしは減量を成功させることができる。目標とする体重まで痩せられるはずだ」と、2.「ドーナツやポテトチップスの誘惑には負けない。運動も、何の支障もなく毎日続けられるはずだ」との間には、大きな違いがあるのだそうです。

多くの人は、これを一緒くたにして楽観的に考えるから失敗する。つまり、目標を達成する可能性については楽観的に、障害を乗り越える可能性については悲観的に考えるのが正解なのです。

なぜ、いつも会社が潰れるかどうか心配していたビル・ゲイツが成功したのか、よくわかる理屈です。

本書にはほかにも、「証明型」「習得型」の心理タイプ、「獲得型」「防御型」の思考タイプという心理タイプが登場し、それぞれのタイプによって成果への意欲の持ち方や困難の乗り越え方が違うということが紹介されています。

ちなみに、証明型は、知能や能力を示したり、他者より良い成績を上げることを重視するタイプ、習得型は、技能や能力を高め、より良い存在になろうとするタイプ、獲得型はリスクを好むタイプ、防御型は警戒を好むタイプです。

<試験で最高点を取るのはたいてい、証明型の目標を持つ学生です。証明型の目標を持つ従業員も生産的な仕事をします。しかし、証明型の目標は両刃の剣でもあります。いいときはやる気を高めてくれる自尊心が、状況が好ましくないものになると
逆に作用するのです>

<人は習得型の目標を持つことで、難しい局面(「複雑さ」「時間的制約」「障害」「予期せぬ出来事」)に直面しても、証明型の目標を持っているときに比べて落ち込みにくくなります>

<獲得型志向の学生は、ポジティブなロールモデルの話によってモチベーションを高めたのに対し、防御型志向の学生は、ネガティブなロールモデルによってモチベーションを高めていたことがわかりました>

そして、本書で最大の収穫は、何かをしようとする時に、「条件型計画」を持つと、容易に行動できるということ。

この条件型計画を持つと、「母に電話する」では動けなかった人が、「日曜日に夕食を終えたら、母に電話する」で動けるようになる。

そして興味深いことに、<条件型計画を持つ人のほうが、想定外の問題に直面した際、粘り強く目標達成に取り組もうとする>
のだそうです。

本書にはほかにも、「少ない自尊心でも動ける四つの方法」が書かれており、重宝します。

なかなか行動できなくて悩んでいる人、なかなか動かない部下や子どもに手を焼いている人は、ぜひ読んでみてください。

目から鱗の行動理論が書かれています。

これはひさびさに「買い」の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ゴールをかためる

人は求められた以上のことはしない

抽象的な思考よりも、シンプルで具体的な思考のほうが、難しい動作を行いやすくなる

「何」を基準にすると、具体的な行動に意識が集まります

遠い将来について考えるとき、わたしたちは現実的な考えよりも、メリットを優先させる理想主義者の視点に立ちます。近い将来について考えるときは、ビジネスライクな現実主義者の視点に立ちます

目標設定時には達成後に得られるものをポジティブに考え、実際に行動するときは、達成のために必要なことを現実的に考える

「評価をほしがる人」は努力できない

試験で最高点を取るのはたいてい、証明型の目標を持つ学生です。証明型の目標を持つ従業員も生産的な仕事をします。しかし、証明型の目標は両刃の剣でもあります。いいときはやる気を高めてくれる自尊心が、状況が好ましくないものになると逆に作用するのです

人は習得型の目標を持つことで、難しい局面(「複雑さ」「時間的制約」「障害」「予期せぬ出来事」)に直面しても、証明型の目標を持っているときに比べて落ち込みにくくなります

獲得型志向の学生は、ポジティブなロールモデルの話によってモチベーションを高めたのに対し、防御型志向の学生は、ネガティブなロールモデルによってモチベーションを高めていたことがわかりました

条件型計画を持つ人のほうが、想定外の問題に直面した際、粘り強く目標達成に取り組もうとする

◆少ない自尊心でも動ける四つの方法
1.初めから手を出さないこと
2.「なぜ」という理由を考えること
3.自制心が多く求められる目標を同時に二つ以上、追い求めようとしないこと
4.適切な報酬を設定すること

「結果が出ない人」を慰めてはいけない

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『やってのける 意志力を使わずに自分を動かす』ハイディ・グラント・ハルバーソン・著 大和書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479794123

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◆目次◆

Introduction 成し遂げるための科学
第1章 ゴールをかためる──目的地は定まっているか?
第2章 なぜそこを目指す?──目標はこうして決める
第3章 おのれを知る──自分の中をのぞきこむ
第4章 楽観するか、悲観するか?──勝ちパターンをつかむには
第5章 ただ成功してもうれしくない──満足をもたらす三つの要素
第6章 欲しいものと邪魔なもの──どんな目標も攻略できる
第7章 背中を押す──人を動かす科学
第8章 地道に壁を越える──さまざまな障害物を知る
第9章 シンプルな計画をつくる──意志力にエネルギーを使わせない
第10章 自制心を日増しに伸ばす──自分をコントロールする力
第11章 現実を見よ──現実的なオプチミストになる
第12章 あきらめるとき、粘るとき──「そんな目標」にこだわるな
第13章 フィードバックの魔法──指針がなければ進めない

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