【モノ作りが民主化する時代】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873115558
クリス・アンダーソンの『MAKERS』が、新しいモノ作りの時代の到来を告げ、日本でもにわかに注目されつつあります。
※参考:『MAKERS』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815760
土井の知人で、最近『伝わるロゴの基本 トーン・アンド・マナーでつくるブランドデザイン』を出されたウジトモコさんは、「はって、とれて、またはれる。」harrytoree(ハリトレー)というカードホルダーをデザインし、話題となっていますが、今後、ちょっとセンスの良い人がモノ作りに携わり、成功する事例は増えていくものと思われます。
※参考:『伝わるロゴの基本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766124995
アイデアを持つ人が世界中にいて、かつ生産設備が利用できる。
こんな状況が出現しているのだから、当然個人がモノ作りに参画する場面は増えていくわけです。
本日ご紹介する『FabLife(ファブライフ)』は、今まさに起こりつつある「工業の個人化」を、ファブラボの日本における発起人であり、「ファブラボ鎌倉」の創設者が述べた一冊。
先端を行く、MITの人気講座「(ほぼ)なんでもつくる方法」(How to Make (Almost)Anything)の様子や、世界中のファブラボを取材した雰囲気、さらにはレーザーカットや3Dプリントを発注することができる「ポノコ(Ponoko)」のようなサービスまで、ファブラボの最先端を、ビビッドに紹介してくれています。
個人的に興味を持ったのは、<抽象から具体までを横串ですべてつなぐような、そんなデザイン・エンジニアが世界中に登場しつつある>というレポート。
確かに、著者が指摘するように、日本では抽象に興味を持つ人と、具体に興味を持つ人が分断されており、それがモノ作りの進展を阻害している気がします。
これからのモノ作りのヒントとなる「個人(パーソナル)」「世界(グローバル)」「地域(コミュナル、ローカル)」の3つのキーワード。
これをリアルにつかみ、ビジネスに活かすためにも、またキャリアの新たな選択肢を探る意味でも、ぜひ本書を読んで、刺激を受けてみてください。
これは興味深い一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「ポノコ(Ponoko)」というウェブサービスは、ニュージーランド発のパーソナル・ファブリケーションのプラットフォームである。データを送信すれば、世界のどこにいてもレーザーカットや3Dプリントを発注することができる。そしてその成果を販売することも可能だ
生物学の分野では、「意図をもった設計」としての合成生物学などが生まれているが、逆に建築などの分野では、「計画から生成へ」というように、むしろ庭師が間接的に手を下すような、非─意図的な手法が開拓されるようになっている。自然と人工の間で、「つくり方」をめぐる興味深い手法のクロスが起こっているのだ
物理的な「もの」を作る人は、プログラミングが嫌いなことが多い(中略)DIYにしても、ホームセンター系(日曜大工)、理系ギーク系(秋葉原派)、手芸服飾系、とタイプがわかれてしまっており、その間の交通が少ないと感じていた
抽象から具体までを横串ですべてつなぐような、そんなデザイン・エンジニアが世界中に登場しつつある
ファブラボに通う人々が関心を寄せるパーソナル・デバイスやパーソナル・ガジェットづくりは、ある意味で「個人から離れてしまった技術を自分たちの手元に引き寄せ、日常生活に取り戻していこう」という意志から生まれている。だから、「自分」と身のまわりを取り巻く「環境世界」との関わりがテーマとなることも多い
3Dプリンターの素材としてはいま、生分解性プラスチックの一種であるPLA(ポリ乳酸)が注目されている。PLAで造形したものは、不要になったら土に埋めておけば、微生物・バクテリアが分解して、自然に還る。3Dプリンターが普及したら、ものをつくり過ぎてしまうのではないかと懸念する向きもあるが、こうした素材の開発は解決案のひとつとなるだろう
オープン・コンテンツの「4Rフレームワーク45」
1.リユース
2.リバイス
3.リミックス
4.リディストリビュート
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『FabLife(ファブライフ)』田中浩也・著 オライリー・ジャパン
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◆目次◆
1章 ファブライフの始まり
対談1 巾嶋良幸×田中浩也
「日本で世界で、ファブラボでは日々何かがつくられている」
2章 (ほぼ)なんでもつくる方法
対談2 遠藤謙×田中浩也
「ファブラボとDラボ──ラボ同士が有機的に結合する未来」
3章 ファブラボをつくる
対談3 すすたわり×田中浩也
「それぞれのラボづくりとオープンソース」
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