【目から鱗。ビジネスマン必読の科学読み物】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532261910
本日の一冊は、アラスカ大学フェアバンクス校名誉教授であり、地球物理学者の赤祖父俊一さんが、『知的創造の技術』を説いた一冊。
このテーマは、故・梅棹忠夫氏はじめ、数多くの方が書かれていますが、本書はどちらかというとノウハウ書ではなく、創造の視点を得るための一冊といった内容です。
※参考:『知的生産の技術』
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冒頭で、エジソンの言葉(「創造は物事を結ぶこと」)を引きながら、「創造とは統合」と喝破し、その例を挙げながら、知的創造のヒントを説いていきます。
「ハイブリッド車は…すでに存在するガソリン・エンジンと電気モーターを組み合わせたもの」「生け花は…新種の花を作ることではない」というくだりが、妙に腑に落ちました。
では、その「統合」を行い、より創造的な仕事をするためにどうすればいいのか。著者はこれに対してもヒントを示しています。
<その2つの事実が、特に相互に全く関係がないと思われているものであればあるほど、その創造性は高い>
ほかにも、<正確さより特長をとらえるのが創造力><「脱・古いパラダイム」に創造のカギがある><質の高いデータを揃えても創造は生まれない>など、創造的な仕事をするための心構えがいくつも示されており、仕事訓としても役立ちます。
平たく言ってみれば、疑うことの大切さを説いたサイエンス読み物なのですが、見方を変え、創造的になることがどうビジネスに影響するのか、具体的に説明されている箇所があったので、そこを一部紹介しましょう。
<アラスカを中心とした地図を作ってみると、もっとおもしろいことがわかってくる。それは、アラスカのアンカレッジ市やフェアバンクス市は世界の中心であるということだ。アラスカを中心とした地図ならばそれが当たり前と思われるかもしれないが、そういう意味ではない。アラスカからは、北半球の主な都市との距離がほとんど同じなのである(中略)最初にそのパターンを認識したのは米国軍で、アラスカには大きな軍事基地がいくつもあるのはそのためだ。戦後、それに気がついたのは米国の航空貨物会社だった。アンカレッジ空港は現在、その利点を利用して世界最大の貨物空港の1つとして集配を行っている>
人が気づかないことに気づき、先んじることがビジネスの勝利の法則ですが、本書はそのヒントとなり得る一冊です。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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創造とは統合、すなわち、2つのものを組み合わせることであるが、その2つの事実が、特に相互に全く関係がないと思われているものであればあるほど、その創造性は高いとされる
主観的であることが科学創造の根本
正確さより特長をとらえるのが創造力
「脱・古いパラダイム」に創造のカギがある
質の高いデータを揃えても創造は生まれない
自分の観測はその多面体の一面しか見ていないということを常に心に明記しておくべき
実際、炭酸ガスは温暖化を起こす性質を持っているのである。しかし問題は、地球大気に放出した場合、気温上昇が0.1℃になるか、1℃になるか、10℃になるかということである。ところが一部の科学者が、十分な研究をしないまま、大気の温度が上昇して大変なことになると警告し、世界的な大問題としてしまった
自分の専門分野の発展の流れの中で、現時点において自分は何を分担すればその分野に貢献できるだろうかと考えること
科学のおもしろさは、絶対に正しいと信じられているものにチャレンジできること
相互批判こそが科学を発展させ創造を生み出す
創造に必要なのは異例・反例に対する「感覚」
アラスカを中心とした地図を作ってみると、もっとおもしろいことがわかってくる。それは、アラスカのアンカレッジ市やフェアバンクス市は世界の中心であるということだ。アラスカを中心とした地図ならばそれが当たり前と思われるかもしれないが、そういう意味ではない。アラスカからは、北半球の主な都市との距離がほとんど同じなのである(中略)最初にそのパターンを認識したのは米国軍で、アラスカには大きな軍事基地がいくつもあるのはそのためだ。戦後、それに気がついたのは米国の航空貨物会社だった。アンカレッジ空港は現在、その利点を利用して世界最大の貨物空港の1つとして集配を行っている
現在考察している期間より以前のデータも使い、必要がないと思ってもできるだけ長い期間のデータも使って考察することも大切
自分の属しているパラダイムを信奉していては、自分の分野が大きな問題に直面していることさえわからない
コンピュータは使用者以上には賢くない
反骨精神なしには科学と企業を大きく進歩させることはできない
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『知的創造の技術』赤祖父俊一・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
プロローグ
第1章 科学、企業、芸術でもっとも大切なこと
第2章 自然科学方法論の常道
第3章 「とんでもない」ことを「とんでもある」ことに
第4章 パラダイム・創造性・科学革命
第5章 何が起きているのか(統合解析の重要性)
第6章 では、どうすればよいか
エピローグ
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