2013年6月10日

『よい製品とは何か』ジェイムズ・L・アダムズ・著  Vol.3247

【スタンフォード大学伝説の「ものづくり」講義?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478021589

本日の一冊は、スタンフォード大学伝説の「ものづくり」講義、「良い製品、悪い製品」の講義メモをもとに編まれた一冊。

著者は、スタンフォード大学大学院で工学博士号を取得し、その後、UCLAでアートを学習、社会人としてはジェット推進研究所(JPL)、GMでエンジニアとして働いた経験を持つジェイムズ・L・アダムズ氏。

本書では、タイトル通り、『よい製品とは何か』を、さまざまな視点から考察していきます。

ハーバード・ビジネス・スクールのデービッド・ガービン教授が、「品質の8つの側面」を挙げているようですが、本書もほぼ、この内容に沿って書かれています。

◆HBSデービッド・ガービン教授による品質の8つの側面
1.性能 2.機能 3.信頼性 4.適合性 5.耐久性 6.サービス性 7.美しさ 8.知覚品質

サービス性とメンテナンス性、人と製品の適合性(ヒューマンフィット)、美しさ、文化的側面…。

ひと口に「よい製品」と言ってもさまざまな視点がありますが、本書はまさにその視点を網羅し、深い思考にまで誘ってくれる一冊なのです。

<部品やサブシステムに少しでも故障する可能性があるならば、それらを簡単に修理・交換できなければ品質の高い製品とは呼べない>

<工業製品は人の役に立つためにあり、人と製品の適合性(ヒューマンフィット)は重要な問題だ>

この2つだけ挙げても、本書の深さがわかると思いますが、ヒントはこれだけではありません。本書ではさらに、来るべき高齢化社会に向けて、どう製品を変えていくべきか、具体的なヒントも示されています。

時代が変わった時、作り手がそれを感じていないのは、じつに危険な兆候。また一方で、流行に振り回されてばかりで、長く売れる「よい製品」を作れないのも困りもの。

本書は、このはざまで悩む「作り手」に、「よい製品」づくりの思想を授けてくれる一冊です。

ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆HBSデービッド・ガービン教授による品質の8つの側面
1.性能 2.機能 3.信頼性 4.適合性 5.耐久性 6.サービス性 7.美しさ 8.知覚品質

アメリカの自動車メーカーは、ふるい設計思想にとらわれている。なぜ通勤にぴったりの小回りの利くクルマがないのか。なぜ日用品を買いにいくのに、一トン半もの鉄のかたまりを運転するか自転車やバイクに荷物を山積みして事故に遭いそうになるかのどちらかしか選べないのか

消費者は、「いいコーヒーメーカーだね」とはいわず、「三〇ドルにしてはいいコーヒーメーカーだね」という

我々はパフォーマンスを定量化したがる。キロ毎時、摂氏度、MTBF(平均故障間隔)、PPi(ピクセルパーインチ)、償却カーブ、ギガヘルツ、トンなど(中略)性能などを数字で表すことによって、製品を簡単に説明できたつもりになる。しかし、よくできたマニュアル車のスムーズなギアシフトは測定しようがない。弦楽四重奏の生演奏の音もそうだし、反対に、吸収力の弱い使い捨てオムツや、切れないノコギリも同じだろう

サービス性とメンテナンス性の問題は、最近の苛立ちの原因の一つだ。部品やサブシステムに少しでも故障する可能性があるならば、それらを簡単に修理・交換できなければ品質の高い製品とは呼べない

工業製品は人の役に立つためにあり、人と製品の適合性(ヒューマンフィット)は重要な問題だ

人間の身体のおよそどんなことについてもデータは存在する。それに加えて、デザインや設計のプロセスでモックアップをつくれば、ユーザーとの適合を確認できるし、そうすべきだ

音調(高さ)は一三三分の一ピッチ変わればわかるが、水の塩度は五分の一以上増やさないと味のちがいがわからない

年を取るにつれ、周波数の高い音が聞き取りにくくなる

木目調のプラスチックは意外とよくできているときもあるが、プラスチックと木の両方の品格を傷つける

ものをつくる企業は、自社製品が何を象徴するのかを理解し、それが顧客に合っているかどうか確認しなければならない
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『よい製品とは何か』ジェイムズ・L・アダムズ・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478021589

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◆目次◆

第1章 製品と品質 品質はどのように考えられてきたか
第2章 品質向上を妨げるもの 偏った狭い考えと慣習
第3章 パフォーマンス、コスト、価格 それは「お買い得」か
第4章 人になじむ製品 問われるヒューマンフィット
第5章 クラフツマンシップ つくり手の喜び、使い手の喜び
第6章 製品、感情、欲求 好き?嫌い?それともつまらない?
第7章 美、エレガンス、洗練 経験によって得る見識
第8章 象徴性と文化的価値観 我々は何者なのか
第9章 地球という制約 製品が地球と人類に及ぼす影響
第10章 結論 本書で学んだこと、今後すべきこと

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