【これは掘り出し物。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249522
本日の一冊は、16年連続増収増益、営業利益率10%超の物流会社、ハマキョウレックスの社員勉強会を紹介した一冊。
本当に実績の上がっている会社は、社員のコスト意識、利益への執念が違うものですが、本書は、同社が社員にコスト意識を持たせるため、伝えている内容を本にしたもの。
単なる教訓にとどまらず、収支日計表のつけ方、生産性管理の計算例など、業績を上げるための具体的方法が示されており、まさに生の勉強会を本にしたもの。
理屈だけの本は山ほどありますが、やはりここまで生々しい数字に落とし込んでこそ、稼ぐ力が身に付く。
それを全社員に課している企業の実例ですから、これは素直に学ぶしかないでしょう。
著者は、「はじめに」で、こんなことを述べています。
<自分が働いている現場は、今日、黒字だったのか、赤字だったのか──。それを社員がわかっている会社と、そうでない会社では、業績に大差がつく>
同社の社員勉強会は、まさにそんな「わかっている社員」を育てるための仕組みです。
なかでも、大事なのは日々の数字を意識することで、そのコアとなっているのが、「収支日計表」です。
同社にとって、収支日計表には、こんなメリットがあるようです。
<日々収支を続けていくと、パートさんのシフト調整の精度は確実に高まる。毎日の作業の進み具合を見ながら、毎日の収支を数字で把握することによって、作業量に応じたパートさんの配置の適正水準が読めるようになるからだ>
物流業にとって大きいのは人件費と燃料費だそうですが、この収支日計表には、ほかにも設備の減価償却費、水道光熱費、リース料、保険料、家賃、税金、本社の管理部門の人件費も含まれているそうで、まさに経営幹部養成の強力なツールです。
見た目は、普通に書店で見たらスルーしそうな本ですが、じつはスズキの鈴木修会長も絶賛のビジネス書。
将来の幹部候補を目指す方、幹部候補を育てたい経営者に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆日々収支3つのルール
1.毎日、収入と支出を把握する
2.すべての費用を反映する
3.押しつけないで自主性に任せる
生産性の取り方はいろいろありますが、一般的には「1人の作業者が1時間でこなした作業量(物量)」です。つまり「物量」を「延べ総労働時間」で割る。延べ総労働時間(MH)というのは、「人数(MAN)」×「時間(HOUR)」です
例題2
物量予測が10000件でそれに合わせた人員を100人集めています。現状生産性は、10件です。始業時間は8:00、休憩時間は1時間とすると、何時に終了する計画になるでしょう?
(全員が同時間作業することとする)
(式)10000÷100÷10=10
10+1+8=19
生産性を12にするためには、たとえば物量が1万件だったら、どのくらいのMHで作業を終わらせればいいかという目標を算出します。つまり「必要なMH」がわかる。それに応じて人員を配置していきます
パートさん採用には3時間程度の短時間希望者も積極的に受け入れる工夫に加え、採用時に「急に出勤してもらったり、予定より早く帰ってもらったり、そういうお願いをすることがあります」とあらかじめ説明して、納得した上で働いてもらっている
生産性が向上したときも、見た目の数字のみで判断すると、大きな間違いにつながりかねない。たとえば、同一商品を大量に出荷する「特需」が舞い込むと、作業効率が上がり、生産性が向上することがある
商品をピックしていない時間=歩行時間=ムダと考え、これを削減する
支出を抑えることができれば、売り上げが増えなくても、利益を増やせる。要するに、コスト競争力があって、利益率が高い会社になれる。すると、他社よりも安い料金で仕事を引き受けることができるから、事業を拡大していける
どうすれば知恵を引き出せるか。重要なのは「聞くこと」です。どの作業がうまくいかないのかを聞いて、どうすれば楽になるかを言ってもらう。それだけで改善案が見つかる
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『すごい社員勉強会』大須賀正孝・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249522
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◆目次◆
はじめに
第1章 日々収支 毎日の収支を「勝ち」「負け」で追いかける
第2章 全員参加 知恵を集めるために知恵を使う
第3章 コミュニケーション 聞くことから始める
第4章 チームワーク 本社部門でも現場力を磨く
第5章 社員勉強会のまとめ どこに行っても通用する自分の財産にする
おわりに
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