【売り込めない時代のマーケティング手法とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484131021
先日、紹介した『何が、会社の目的(ゴール)を妨げるのか』に、ゴールドラット博士のこんな言葉が載っていました。
※参考:『何が、会社の目的(ゴール)を妨げるのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478024014
<釘を打つのが得意な人には、すべてのものが釘に見えてしまう>
ついこの間、勉強目的で訪れたセミナーでは、講師の方が「これからはマーケティングの時代だ」とおっしゃっていたのですが、土井はそうではないと思います。
これからはコミュニティの時代であり、誠実な企業、商品が勝つ時代。
情報がオープンになっていく時代にあって、マーケティングはむしろ力を失っていくのだと思います。
本日紹介する一冊は、そんな時代に企業がどうやって消費者や社会と関わっていけばいいか、ヒントを示した一冊。
著者のスコット・グッドソンは、文化的ムーブメントを専門に扱う広告代理店「ストロベリーフロッグ」の創設者であり、ファイザーの「心疾患と闘うベビーブーム世代」ムーブメント、ドイツの小型自動車メーカー、スマートの「スマート・カー」キャンペーン、アシックスの「オニツカタイガー」ブランドのマーケティングなどを手掛けた人物。
本書では、氏が実際に手掛けたキャンペーン事例に加え、フォルクスワーゲンの歴史に残る「Think Small」キャンペーンなど、「ムーブメント」を使って成功した事例をいくつも紹介し、ムーブメント・マーケティングの仕掛け方を解説しています。
氏が、クライアント企業に質問する内容や、仕掛けの手順など、参考になる情報がたくさんありましたが、一番気づきが得られたのは、以下の点。
<個人を説得する最善の方法は、その個人を取り巻く人々に影響を及ぼすことである>
本書を読んで、これからのマーケティングのあるべき姿が、明確になった気がします。
マーケター、経営者はぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ムーブメントは、“芽生えつつあるトレンド”を中心に形成される傾向がある(<<ウォール街を占拠せよ>>運動の場合、上位一パーセントの富裕層に含まれない“九九パーセント”が、何らかの声を上げずにはいられないほど苦しんでいたという現状があった)
企業は、ムーブメントに便乗しようとするのではなく、適切なムーブメントを正しく支援・促進することによって、より高い目的意識を獲得できる
「混乱の時代には、人生に意義を与えてくれるものが発展する傾向があります。大衆がムーブメントに魅力を感じる第一の要因はそれです。これから先、世界がさらに不安定化し複雑になれば、ムーブメントはますます大きな役割を果たすようになると思われます」(未来研究所ボブ・ヨハンセン所長)
個人を説得する最善の方法は、その個人を取り巻く人々に影響を及ぼすことである
ムーブメントには“部内者”と“部外者”がいる
ムーブメントやコミュニティで信頼を勝ち得たければ、企業は正しいことを行い、その行いに対する透明性を確保するとともに、自己宣伝や誇大広告を避けなければならない
「フォルクスワーゲンを買うことで、流行に反する行為を逆に楽しんでもらえればと思ったんです。流行に反するというのは、自動車産業が作り上げた趣味に逆らう、隣人と張り合うだけの消費行動から手を引く、ということです」(ユリアン・ケーニヒ)
そもそもムーブメントというものは、その性質からして、何かに賛成したり反対したりする傾向が強い
子供だけを相手にしていたら、単なる一時的流行に終わってしまうかもしれない。しかし母親を巻き込めばムーブメントになる。任天堂はこの事実をよく知っていたと言える
わが社では折に触れ、自社ブランドの目的や理念を明確化していない顧客企業に対し、次のような基本的な問題を再考するよう促している。御社は大衆の生活にどのような影響を及ぼしているか? そもそもなぜこのような事業を始めたのか? 御社のブランドはどんな価値観を指針としているのか? そのブランドで最終的に何を達成したいのか? 御社は何が正しいと信じているのか? 御社のブランドはどのような考え方を支持しているのか?
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『ムーブメント・マーケティング』スコット・グッドソン・著 阪急コミュニケーションズ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484131021
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◆目次◆
第1章 ムーブメントとは何か
企業にとって今、ムーブメントが重要である理由
第2章 <<小さいことが理想>>から<<リアル・ビューティ>>まで
ムーブメントとブランドの歴史
第3章 ムーブメント参加者の心理を知る
大衆を駆り立てる動機と意識
第4章 ソーシャルメディアの活用
ムーブメントへと発展するために必要なもの
第5章 芽生えつつあるトレンド
ムーブメントの源を見つけ、ビジネスと結びつける方法
第6章 ムーブメントの口火を切る
本格的に発展させるために企業がすべきこと
第7章 火がついた後は何をすべきか
ムーブメントを維持し、グローバルに発展させる
第8章 ムーブメント時代の幕開け
VUCA化する世界に不可欠なムーブメント・マーケティング
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