2012年12月13日

『イノベーション・オブ・ライフ』クレイトン・M・クリステ ンセン、ジェームズ・アルワース、カレン・ディロン・著 vol.3068

【クリステンセン教授のハーバード最終講義】
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本日の一冊は、不朽の名著『イノベーションのジレンマ』の著者であり、ハーバード・ビジネススクールの看板教授、クレイトン・M・クリステンセンによる注目の新刊。

※参考:『イノベーションのジレンマ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798100234

濾胞性リンパ腫というガンに似た病気を患った著者が、2010年の春、ハーバード・ビジネススクールの最終講義で語った内容がもとになっています。

「戦略」の理論を通じて、人生を充実したものにする方法を学ぶというユニークな試みで、なぜわれわれが人生で窮地に追い込まれるのか、どうしたら納得の行く人生が送れるのか、そのヒントを示してくれています。

「将来自分に起きてほしいと望むこと」ではなく、「自分に起きると理論が予測すること」を考える。

これができないために、どれほど多くの人がキャリアや結婚、子育てで失敗していることか。

かつて著者の同級生だったスキリング(マッキンゼー史上最年少でパートナーに昇格し、エンロンCEOとして一億ドルの年収を得るが、一連のスキャンダルに関わったとして刑務所行き)をはじめ、さまざまな失敗例を読んでいると、生きる上で「理論」がいかに重要か、痛感させられます。

<優れた理論は、「気が変わる」ことがない>
<理論の力を借りないのは、六分儀もなしに海をさまようようなものだ>
<理論が提供する助言が信頼できるかどうかを判断するには、アノマリーを探すのが一番>

ベースとなっているのは戦略の定石と、ハーズバーグの「動機づけ要因」、イノベータのジレンマ、良い資本と悪い資本の理論、RONAの罠、マッコールの理論など。

これらを学ぶことで読者は、うまくいく戦略とそうでない戦略の違い、成功するキャリアとそうでないキャリアの違い、さらには良い家庭教育とそうでない家庭教育の違いを学ぶことができます。

著者の教養に支えられた、含蓄のある言葉の数々。そして学生に対するあたたかい眼差し。

人生を豊かなものにしたいと願うなら、これは「買い」の一冊。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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優れた理論は、「気が変わる」ことがない。一部の企業や人だけにあてはまり、ほかにはあてはまらないということはない

理論の力を借りないのは、六分儀もなしに海をさまようようなものだ。目の前にあるものの先を見通せなければ、人生を成り行きに任せ、荒波に揉まれるがまま生きていくことになる。優れた理論は、わたしたちをビジネスだけでなく人生でも、賢明な決定に導いてくれる

戦略をつくる最後の要素が、実行だ。戦略は資源が配分されて初めて、実行に移すことができる。善意だけでは何も始まらない。自分の時間とお金、能力を、自分の意向に沿った形で実際に費やさない限り、意図した戦略を実行していることにはならない

理論が提供する助言が信頼できるかどうかを判断するには、アノマリーを探すのが一番だ。アノマリーとは、理論では説明できない事象を言う

本当の幸せを見つける秘訣は、自分にとって有意義だと思える機会をつねに求め続けることにある。新しいことを学び、成功を重ね、ますます多くの責任を引き受けることのできる機会だ

自分を動かすものが何なのか、それを理解することは、満ち足りた人生へと向かう、重要な一歩だ

戦略は必ずと言ってよいほど、予期された機会と予期されない機会が組み合わさって生まれる

この予測が実現すると現実的に期待するには、どの仮定の正しさが証明される必要があるだろう?

実際、失敗した事業の根本原因を調べると、長期的成功をもたらす取り組みよりも、ただちに満足が得られるような取り組みに飛びつく傾向がくり返し見られる

成功できたのは、当初の戦略が失敗したあともまだ資金が残っていたために、方向転換して、別の手法を試すことができたからだ。これに対して、失敗する企業のほとんどが、ありったけの資金を当初の戦略に注ぎこんでいる

未来をアウトソーシングしてはいけない

人生の困難に自力で立ち向かうことでしか得られない、貴重な教訓があるのだ

あなたが人生を評価するものさしは、何だろう?

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『イノベーション・オブ・ライフ』クレイトン・M・クリステンセン、ジェームズ・アルワース、カレン・ディロン・著 翔泳社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798124095

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◆目次◆

序講
第1講 羽があるからと言って……
第1部 幸せなキャリアを歩む
第2講 わたしたちを動かすもの
第3講 計算と幸運のバランス
第4講 口で言っているだけでは戦略にならない
第2部 幸せな関係を築く
第5講 時を刻み続ける時計
第6講 そのミルクシェイクは何のために雇ったのか?
第7講 子どもたちをテセウスの船に乗せる
第8講 経験の学校
第9講 家庭内の見えざる手
第3部 罪人にならない
第10講 この一度だけ…
終講
謝辞
訳者あとがき

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