【プロ作家が教える、ストーリー作りの秘訣】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041102529
本日の一冊は、『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、『無間人形新宿鮫IV』で直木賞を受賞し、デビュー以来30年以上にわたり活躍している作家の大沢在昌さんが、売れる作家の全技術を公開した一冊。
なぜこれを「ビジネスブックマラソン」で? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、じつはこの本、仕事の心構え・教訓としても読むことができるのです。
<作家は、なるよりもあり続けるほうがはるかに難しい>とオビにあるように、継続するための考え方やインプットの重要性、さらには精神的な部分まで、きちんとカバーされています。
また、ビジネスにおいて「伝える」ことは非常に重要なわけですが、ここには、プロの作家ならではのテクニックと秘訣が散りばめられています。
もともと小説家志望の方のために作られた講義録のため、ビジネスの文脈に読み換えるのに若干の工夫が必要ですが、商品や会社のストーリー作り、心をつかむコピーの書き方と思って読めば、思わぬヒントが見えてきます。
・人に伝える際は、視点の乱れをなくす
・直接伝えるよりも、周辺やリアクションを使って伝える
・物語のあたまと終わりで主人公に変化を起こす
・神の視点はダメ
・あえて一行加えることで重要であることを伝える
・「発想」は一回きりのものであるのに対して、「着眼点」と「情熱」はその作家の武器になる
これを読めば、商品のすべてを知っている人が書くと売れないコピーができ上がる理由(神視点だから)、ダイエットのCMが主人公に変化を起こすことで成り立っている理由がよくわかると思います。
下手なストーリーマーケティングの本を100冊読むより、これ一冊読めば、優れたコピーに必要な考え方が一発でわかる。
仕事でマーケティングに携わっている方は、ぜひチェックしてみてください。
著者を目指す方は、「必読」の一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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まずは自分の日本語力を疑うこと、そして辞書を引くことをぜひ習慣にしてください
一人称で書く目的の一つは、視点の乱れをなくすということです。日本では神の視点は受け入れられないし、特に新人賞では損をします
例えば、「私」という語り手に対してある女性が、「これまで何人の女を泣かせてきたの?」と言えば、この「私」はモテそうなやつだなと読者は思うし、別の男に、「おまえが悪いやつとは知っていたけど、こんなにひどいとは思わなかった」と言わせれば、相当悪い人なんだという印象を読者に与えられます。つまり、会話でキャラクターを立てていくという手法です
嫌な人間を書こうとすればするほど嘘っぽくなってしまう。なぜかというと、嫌な人間というのは、実は自分のことを嫌な人間だと思っていないんですね
「ザ・惨め」という書き方をしても読者にはなかなか伝わらない。むしろ、本人はちっとも惨めだと思っていないのに周りから「この人、イタイ」と思われているほうが、ずっと惨めな印象になります
物語のあたまと終わりで主人公に変化のない物語は、人を動かさない
作家になるということは、コップの水なんです。コップの中に読書量がどんどん溜まっていって、最後にあふれ出す。それが書きたいという情熱になるわけで、コップ半分くらいで書き出しても、空いた部分は埋められません
どうして神の視点がダメかというと、神視点である限り、読者は小説につき合う必要がないじゃないですか。オチもラストも謎も、神視点はみんな知っているわけですから、読者は登場人物と感情を共有できなくなります
主人公に残酷な物語は面白い
答えを出さないで作った設問は、自分で考えもしなかったような答えが出てくるため、読者を驚かせる力を持つ
<「ずっと君が好きだった」/Aは言った。>と、わかり切っているけれど、あえて「Aは言った」の一行を加える。そうすることで、その告白が重要な意味をもっているということが読者に伝わる
「発想」は一回きりのものであるのに対して、「着眼点」と「情熱」はその作家の武器になる
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『売れる作家の全技術』大沢在昌・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041102529
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◆目次◆
第一部 講義
第一回 作家で食うとはどういうことか
第二回 一人称の書き方を習得する
第三回 強いキャラクターの作り方
第四回 会話文の秘密
第五回 プロットのつくり方
第六回 小説には「トゲ」が必要だ
第七回 文章と描写を磨け
第八回 長編に挑む
第九回 強い感情を描く
第二部 受講生作品講評
課題A(原稿用紙四〇枚)ラストで「ひっくり返す」物語を書く
課題B(原稿用紙五〇枚)「自分の書きたい世界」を書く
課題C(原稿用紙四〇枚)テーマ競作「バラ」と「古い建物」
を入れた物語を書く
課題D(原稿用紙三〇枚)テーマ競作「恐怖」の感情を書く
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