2011年11月7日

『アート・スピリット』ロバート・ヘンライ・著 Vol.2665

【これぞ不朽の名作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/433605410X

本日の一冊は、1929年7月12日に亡くなった、アメリカ美術界の指導者的存在、ロバート・ヘンライ唯一の著書。

ロバート・ヘンライの教え子には、マン・レイや、20世紀アメリカの具象絵画を代表する人物、エドワード・ホッパーなどがいますが、確かに「大勢の熱烈な信奉者を引きつけた」というだけあって、恐ろしいほどの名言家です。

本書は、若き芸術家のバイブルとして、1923年の刊行以来、愛されてきた名作ですが、絵画の手ほどきを超え、生きることや芸術、仕事、創造など、さまざまな人間活動に通底する、普遍の真理を説いた作品となっています。

土井の関心は最近、100万部売れる本から100年売れ続ける本に移っていますが、本書に書かれている教えや言葉は、100年残る力を持っていると思います。

金銭や実利を超えて、人間が欲しているもの。

だけれども、多くの人が手に入れられずに人生を終えてしまうもの。

本書には、そんなエッセンスが詰まっています。

読者は、絵を描くことを例に、どうすれば優れた創造者になれるか、優れた作品を創るために欠かせない視点とは何か、学ぶことができるでしょう。

芸術に詳しい知人が勧めてくれた一冊ですが、これは当たりでした。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

芸術を学ぶ者は最初から巨匠であるべきだ。つまり、自分らしくあるという点で誰よりも抜きんでていなければならない

拒絶を恐れるな。すぐれたものをもつ人間はみな拒絶を通過してきた

作品は記憶から生まれるものだ。記憶とはその大切な一瞬をよみがえらせることである

レンブラントの素描では、たった一つの影や一本か二本の線だけで完全な空間が──つまり、背景や環境が──描かれる。それができるのは、さまざまな物のうち、何を描き、何を省くべきか、選別する能力をもっていたからである

ただ受け取るだけなら、奴隷でもできる

美しい物があるわけではない。だが、すべての物は、それを見て快感を起こすような、感受性と想像力にあふれた心がやってくるのを待っている。それが美である

むずかしいのは、表現することよりも、見ることである。美術作品の価値はひとえに、目の前のものを見る画家の能力にかかっている。モデルがすばらしく見えるのは、それをとらえた画家の目がすばらしいからである

花や果物などの静物や風景を描いた名作にはすべて、人が無意識に探し求める人間的な形体が織りこまれている。人は見るものすべてを擬人化し、そのなかに自分自身を見るのである

本物の芸術家は、自分の作品を人びとと話しあうための道具と考えている

自分を教育できて、教えられることに向かない人には、別の道もある。まず、師につくべきである

よい意志は生き残り、いつか世に知られるだろう

絵を描くことにおいて、人が学ぶべきはあらゆる経験からの選択にほかならない。自分自身だけでなく、あらゆる年代の他人の経験から、本質的な美を選びだすことだ

多くをなしとげるには、わずかな行為で足りる

構造についての完全なる理解こそ、魔法のような構図でアイデアを表現する画家にとって欠かせない要素である

アイデアを生むには想像力が必要だ。
アイデアを表現するには科学が必要だ。
その両方を満たすには、よく調べ、よく読み、よく考えなければいけない

仕事のための倉庫になりなさい。そして、敗北を乗り越えることさえ楽しみとしなさい

————————————————
『アート・スピリット』ロバート・ヘンライ・著 国書刊行会
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/433605410X

————————————————-

◆目次◆

※多すぎるので割愛します

この書評に関連度が高い書評

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー