2010年12月6日

『シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略』 レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース・著 vol.2329 

【『FREE』に続く注目作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814543

本日の一冊は、あのベストセラー『フリー』に続く、NHK出版のビジネス新潮流モノ。

※参考:『フリー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047

テーマは、ソーシャルネットワークの普及と環境問題の影響により、急速に関心が高まりつつある「シェアリング・エコノミー」です。

本書を読むまでもなく、最近は若い人を中心に、「所有する」から「利用する」「シェアする」に価値観が移りつつありますが、本書では、その「シェアリング・エコノミー」の最先端を、アメリカの事例をもとに紹介しています。

一泊三〇〇〇ドルのイギリスのお城や、エスキモーのイグルー、ボートやヴィラ、デザイナーズマンションまで、あらゆる物件がシェアできるP2P市場、エアビーアンドビー・ドットコムはじめ、さまざまなサイトが紹介されており、ビジネストレンドの明らかな変化を感じることができます。

既にCD販売から楽曲のダウンロードへシフトした音楽市場、そしてこれからやってくる電子書籍の出版界への影響を考えると、本書のアイデアの重要性は、説明するまでもないと思います。

同じような目的をもつ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金といった、目に見えにくい資産を共有する。

こんなコラボ消費の世界を実現するには、「クリティカル・マスの存在」「余剰キャパシティの活用」「共有資源の尊重」「他者との信頼」の4要素が必要。

また、企業が成功するには、新しい報酬モデルの実現や、新しい顧客との関係構築も不可欠となるでしょう。

本書では、シェアモデルで成功している実際の企業の例を取り上げながら、われわれがどうやってこの新しい経済に対応すべきか、ヒントを提示しています。

記述が冗長なのと、『FREE』にはあった「野心」というエッセンスが欠けているため、精彩を欠く部分はありますが、それでも読んでおいて損のない内容。

発売は16日ですが、これは、今すぐ予約したい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「サイトを立ち上げた時には、ツリーハウスやエスキモーのイグルー、ボートやヴィラ、それからデザイナーズマンションなんて、貸したがっている人がいるなんて思いもしなかったよ」チェスキーは驚きを隠せない

コラボ消費の二一世紀には、評判や、属するコミュニティ、何にアクセスできるか、どうシェアするか、また何を手放すかが、人を定義するだろう

社会学者のロバート・K・マートンは、意図せざる結果をもたらす五つの要因を挙げている。無知、過ち、目先の利益、基本的価値観、
そして自滅的予言だ

同じような目的をもつ人たちが集まり、時間や空間、技術やお金といった、目に見えにくい資産を共有する―これがコラボ的ライフスタイルモデルだ

自家用車を持たない生活が、参加者のお財布や健康、そしてコミュニティにもよい影響を与えたことがわかった。参加者の公共交通機関の利用は九八パーセント増え、自動車での移動距離は六六パーセント減り、自家用車の付帯費用も平均で六七パーセント節約されたコラボ消費のさまざまな例を見てゆくと、どのサービスにも、その根底に四つの大切な原則があることがわかる―それは、「クリティカル・マスの存在」「余剰キャパシティの活用」「共有資源の尊重」、そして「他者との信頼」だ

余剰キャパシティは、自転車や電動ドリルなどのものに限らず、目に見えにくい時間やスキルや空間、あるいは電力などのコモディティにもあてはまる。イギリスのランドシェアや、アメリカのヤードシェア、シェアードアース、アーバン・ガーデンシェアといった同じようなサービスは、農作物を育てたくても土地のない人たちと休耕地を結びつけ、さらに菜園づくりを手伝う時間やスキルのある人をつないでいる

コミュニティのために役立つことをすれば、それによって自分の社会的な価値が高まることを、私たちはデジタルな経験をとおして学びつつある

私たちは、CDが欲しいのではなく音楽を聴きたいのだ

ライブワークの戦略デザイナー、デヴィッド・タウンソンは、サービス・エンヴィーとは「モノよりサービスを欲しがらせること」だと言う。そして、そのためには持っているものではなくて利用しているサービスをとおして自分がどんな人間かを相手に表現できるようなサービスをつくる」ことが必要だ

販売数ではなく、利用頻度を最大化する経済にシフトすれば、環境メリットとビジネスメリットは一致する。企業は会員費やマイクロペイメント(少額課金)を新しい収益の柱にできる

「世の中にいらないものなんてない。使えるものが、ただ間違った場所にあるだけ」(フリーサイクル創業者 デロン・ビール)

リユースのもうひとつのメリットで、また思いがけない結果でもあるのは、そこにコミュニティができることだ

「消費者は、コミュニティの一部になりたがっている」(ナイキ・ブランド チャーリー・デンソン社長)

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『シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略』レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース・著 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814543

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◆目次◆

パート1 新しいシェアが生まれるまで
第一章 もうたくさんだ
第二章 ハイパー消費の時代
第三章 「私」世代から「みんな」世代へ
パート2 グランズウェル
第四章 コラボ消費の登場
第五章 所有よりもすばらしい―プロダクト=サービス・システム
第六章 因果応報―再分配市場
第七章 みんな一緒―コラボ的ライフスタイル
パート3 何が起こるか?
第八章 コラボ・デザイン
第九章 コミュニティはブランドだ
第十章 シェアの進化
日本語版解説 小林弘人

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