【技術者の試行錯誤から変革の本質を学ぶ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582767095
以前、上海に行った時、街を見ていて、まだまだ改善の余地があるのを知り、じつにワクワクしました。
最近は、同様のことをみなさん感じているのでしょう。新興国、途上国に行ってビジネスをしようというのが一つのトレンドになって
います。
しかしながら、ビジネスで成功を目指すのであれば、一度立ち止まって、「人の行く裏に道あり、花の山」を実践したいもの。
「もう改善の余地はない」と思われるものにも、必ず改善の余地があり、また革命の糸口が隠されているものです。
本日ご紹介する一冊は、われわれが当たり前のように使っているゼムクリップや鉛筆、ジッパー、アルミ缶など、さまざまな日用品がどうやって今日の形に至ったのか、そのプロセスを解説しています。
それがクリップであれ、アルミ缶であれ、あまりに機能や強度を重視しすぎると、材料とエネルギーの浪費につながるし、またクリップの場合で言うと、形状を間違うと紙を損傷したり、妙にかさばったりする。
現在われわれが見ているものは、そんな技術者たちの試行錯誤の結果、進化した形状であり、まだまだ発展途上のものなのです。
しかしながら、新しい素材の発見や技術の進歩により、商品はいくらでも変わりうる。
また、発想の転換がなされれば、従来支持されていたものの優位性は一晩で覆され、新しい商品が普及することもあり得るのです。
本書では、こうした技術の問題に触れながら、ビジネスで革命を起こすための視点を提供。
現在ある定番商品を押しのけ、自社が定番商品を開発するためのヒントを与えてくれる、貴重な一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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飲料缶を設計する場合、技術者は、手荒な輸送や取り扱いがなされても中身が汚染されたり漏れたりしないような缶を作らなければならないばかりか、その缶を開けやすく、注ぎやすく、飲みやすいものにしなければならない。そのうえ、アルミ缶は非常に便利だが、材料とエネルギーの膨大な浪費になりかねない典型例でもあるし、缶を片づけようとすれば、深刻な廃棄物処理の問題が生じる
われわれが周囲のすべてのものに満足していたら、改良しようという気が起きず、世の中は何の変動もない場所になるだろう
一部の技術者は次のように考えている。よりいっそう安価な建築をめざそうとしないせいで、技術の専門家たちは無責任にも、かぎりある資源を飲料缶から橋までのあらゆるものの過剰設計に充てることになるだろう、と
高層ビルのエレベーターを支える太いワイヤーケーブルは、かなり長いために弾力性が拡大される。したがって、そのせいで起こる大きな跳ね返りを、エレベーター・システムを設計する時にきちんと考慮に入れておかないと、乗客を不安におとしいれる恐れがある
新たな製品が従来品にまさる明らかな強みをもつ場合にかぎって、新型は旧型に取って代わるものだ。優位に立つための最も直接的で有効な手段は、既存の技術の欠点や弱点を指摘し、新型では旧型の欠点がどのように取り除かれるかを示すことだ
息の長い製品がすっかりおなじみのものになっているという事実は、その利用にともなう何らかの不都合や問題に、人間のほうが順応していることをも意味する
材料の節約は、もう一つの方法で実現できる。つまり、個々のクリップに使う針金の量を減らすのである
ガリレオがやってみせたように、仮定と計算と結論を隠しだてせず明確に書き記しておけば、同じ問題や似かよった問題に取り組む後続の工学者や科学者は、先人の研究を確かめて足がかりにし、そうすることで知識水準と技術水準をさらに押し上げることができる。先人より遠くを見わたせるこの積み重ねの効果を、アイザック・ニュートンは、巨人の肩に立つことになぞらえた
問題とその分析が複雑になればなるほど、われわれは分析結果ばかりに気をとられやすくなり、したがって分析のよりどころである根本的な前提を忘れてしまう
缶の中身に加わりそうな最大圧力を知っていれば、それだけの圧力を封じられるアルミ壁の薄さの限界を算出できる
技術者が最高の成果をあげるのは、製品の未来の顧客―航空会社であれ乗客であれ―と意見を交換するときなのである
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『ゼムクリップから技術の世界が見える』ヘンリー・ペトロスキー・著 平凡社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582767095
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◆目次◆
1.ペーパークリップと設計
2.鉛筆の先と分析
3.ジッパーと開発
4.アルミニウム缶と失敗
5.ファクシミリとネットワーク
6.飛行機とコンピュータ
7.水と社会
8.橋と政治
9.建物とシステム
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