2010年8月3日

『つながり―社会的ネットワークの驚くべき力』 ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー・著 vol.2204 

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ドットコムバブル崩壊後、2年経った2002年、アマゾン黒字化のニュースを受けて、再びネットビジネスが盛り上がりました。

その際に、ちょっとしたブームになったのが、アルバート・ラズロ・バラバシの『新ネットワーク思考』をはじめとする、一連のネットワーク研究です。

※参考:『新ネットワーク思考』
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これにより、人間社会における「六次の隔たり」と呼ばれる現象や、「弱い絆」の重要性などが知られるようになりましたが、このような研究はいまも続いており、SNS全盛の今、われわれに重要な示唆を与えてくれています。

ところで話は変わりますが、もし、あなたの携帯電話の通話履歴から、あなたが誰とつながっていて、その人がさらに誰とつながっているかわかったら、一体世界はどんな風に見えるでしょうか?

さらに、あなたが肉体関係を持った相手が過去に誰とセックスをしていたか、肉体関係のつながりがすべてわかったら、一体世界はどのように見えるのでしょうか?

じつは、アメリカにはこんな研究成果が山ほどあるのです。

本日ご紹介する一冊は、医学博士と政治学者がタッグを組んで、人間のネットワークについて、最新の研究成果をまとめたという、一風変わった内容。

人とのつながりが、個人の幸せや健康、平均寿命、肥満、禁煙、投資活動、購買にどう影響するのか、データを交えながら論じており、じつに興味深い内容です。

本書によると、われわれの言動は友人の友人の友人にまで影響を及ぼし、たがいに認め合う友人が肥満になると、自分が肥満になるリスクも高まる。

こういった事実から、マーケティング活動を行うにはどのターゲットにどうアプローチすべきなのか、ヒントがたくさん見つかります。

あなたが長生きするかどうかも、お金に一生困らないかどうかも、つき合う人間次第。

自分がネットワークのどこに身を置くか、そしてどんな行動をすれば人に影響を与えられるのか。

具体的なヒントが見つかる、じつに読み応えある一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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たった一人で見上げている「群衆」とともに立ち止まった人は四%だった。一方、一五人の刺激群衆がいる場合に立ち止まった人は四〇%だった

社会的ネットワークにおける影響の広がりは、いわば「三次の影響のルール」に従うことがわかっている。私たちのあらゆる言動は、さざ波を立てるようにネットワークを進んでいき、友人(一次)、友人の友人(二次)、さらに友人の友人の友人(三次)にまで影響を及ぼすケースが多い

肯定的な感情はグループの団結を強めるのに特に役立ち(「私は幸せだ。一緒にいよう」)、また、否定的な感情はコミュニケーションの道具として役立つ(「煙のにおいがする。怖いな」)のではないかと考えられている

他人の表情を真似ると、それだけで他人と同じことを感じるようになる

においは―現実のものであれ想像されたものであれ―現代においてMPI(集団心因性疾患)を発生させる引き金となることが多い

たえず孤独を感じている人は、二年から四年のうちに平均して約八%の友人を失ってしまう

男子の比率が高いクラスを卒業した男性ほど、五〇年後の生存率が低いことがわかった

魅力的な「ガールフレンド」と一緒に写っている男のほうが、そうでない男より魅力的だと判定された

妻を失って一年以内の男性の死亡リスクは三〇?一〇〇%も上昇する

人びとがリスクにさらされるかどうかは、その人がどんな人であるかより、誰と知り合いであるかで決まるのだ

たがいに認め合う友人が肥満になると、自分が肥満になるリスクも三倍近くになる

人から人へと広がるのは、社会科学者が規範と呼ぶもの、つまり、何が適切であるかに関して共有される期待値なのだ

人間には、他人が将来買いたがるものに投資しているのだという自信が必要なこともある。つまり、市場は本質的に主観で動くのだ

ひとたび世界が協力者ばかりになると、フリーライダーがきわめて生まれやすくなり、何の貢献もせずに(寄生生物のように)協力の果実を享受するようになる。人口に占めるフリーライダーの割合が圧倒的になれば、彼らが利用する相手はもはやいなくなってしまう。すると、一匹狼が再び優勢になる

愛する人を亡くした人のみならず、社会的に孤立した人びとは、周囲の世界を擬人化する傾向がある

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『つながり─社会的ネットワークの驚くべき力』ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー・著 講談社
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◆目次◆

第1章 真っ只中で
第2章 あなたが笑えば世界も笑う
第3章 ともにいる者を愛す
第4章 あなたも痛いが私も痛い
第5章 お金の行方
第6章 政治的につながって
第7章 人間が持って生まれたもの
第8章 おびただしいつながり
第9章 全体は偉大なり

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