【これぞ野村流!人間教育が一流のプロを作る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478011303
先日、札幌のホテルで日本シリーズの野球中継を観ていたら、ゲストで登場した新庄選手と清原選手のビジュアルが汚い!
いくら引退したとはいえ、こんなにガラが悪くては、子どもたちに悪影響を与えるのではないかと心配してしまいます。
やはり一流の人間には、人としての品格も求められるのではないかと思うのです。
そんなことを考えていた折、書店で目に入ったのが、本日ご紹介する、野村克也監督の『弱者の兵法』。
氏によると、「ヒゲや長髪・茶髪はなにより目立ちたいという自己顕示欲の現れであり、野球選手は野球で目立つべきである」。
あのイチロー選手をはじめ、現役選手や監督を名指しで批判し、往年の名選手の例を引きながら、現在の日本のプロ野球界に欠如している戦略思考やプロフェッショナルとしての心意気、哲学を説いています。
「プロフェッショナルの『プロ』とは、プロセスの『プロ』」「グラウンドは仕事場であり、そこではユニフォームが正装」「人間的成長なくして技術的進歩なし」「進むときは上を向き、暮らすときは下を向く」
何を堅苦しいことを、と思う向きもあるかもしれませんが、本書を読むにつれて、その考え方が一流になれない理由だと、痛感させられるはず。
バッティングピッチャーとして一日500球を投げたという稲尾、飲み会の後、深夜まで猛特訓を続けた王、野村監督の近所に越してまで野球漬けの毎日を送り、平凡な選手から日ハムの四番を打つまでに成長した柏原…。
偉人たちの努力と気迫が伝わってきて、思わず身が引き締まる内容です。
また、注目のマネジメント理論についても、「中心なき組織は機能しない」「人は貶されてこそ育つものである」「監督は自分自身に負けてはならない」と、持論を明確に主張。
これを読んで、なぜ野村監督が人を育てられるのか、あの楽天をリーグ2位にまで導けたのか、その理由がわかった気がします。
個人的には、江夏を口説いたくだりの名ゼリフ「一度でいいから、おまえと野球をやってみたいもんだ。おまえが投げて、おれが受ける。これは芸術になるぞ」が気に入りました。
野村流マネジメントを学びたい人はもちろん、一流になるための心構えを学びたい方も、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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中心選手はたんに技術的にすぐれているだけでなく、人格や日頃の行いにおいてもほかの選手の模範とならなければいけない。「野村はエースや四番に厳しい」とよく指摘されるが、これはひがみやそねみではなく、私が彼らに「鑑」となることを求めるからである
極論すれば、全日本のようなトップ選手を集めてチームを編成したとき、監督というものは試合では何もする必要がないといっても過言ではない。基本的には選手にまかせておけばいい。監督の仕事とは、そこにいたるまでなのである
野球は“たら・れば”のスポーツである。結果論をいってもしかたがない。だが、“たら・れば”のスポーツだからこそ、勝つためには極限までリスクを抑え、可能な限り成功する可能性の高い選択肢を選ばなければならない。それは、弱者の兵法の鉄則でもある
プロフェッショナルの「プロ」とは、プロセスの「プロ」でもあるといえる。プロセスによって、人間は成長するのである
ヒゲや長髪・茶髪はなにより目立ちたいという自己顕示欲の現れであり、野球選手は野球で目立つべきである
野球選手にとってグラウンドは仕事場であり、そこではユニフォームが正装
人間がもっとも美しく見えるとき──それはひたむきに、一所懸命なにかに打ち込んでいるときだと私は思う。その姿に人々は胸を打たれる。感動を覚える
エースであるならば、中心選手であるならば、チームのために意気に感じるのは必要な資質
伸び悩んでいる選手には共通点がひとつある。それは、「自己限定」をしていることだ
◆稲尾のピッチング哲学
「ピッチャーは、どういうかたちであれ、バッターをアウトにする ことが仕事である」
「ゲームのなかでは必ずしも三振がベストではない」
試合における監督の仕事とは、つきつめれば危機管理である。したがってマイナス思考であるべきだと私は思う。実際、名監督と呼ばれた人のなかにプラス思考はいないのではないか
選手は監督の「敵」であると私は考えている。というのは、監督がチームという組織を第一に考えるのに対して、選手はどうしても自己中心的に考えるからだ
人を遺すことが指導者の最大の条件
上ばかり向いていると、自信が過信やうぬぼれになっていることに気がつかない。だから、ふだんは下を向いて暮らすべきなのである
人は貶されてこそ育つものである
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『弱者の兵法』アスペクト 野村克也・著
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◆目次◆
序 章 日本の野球はベースボールを超えた
第一章 プロフェッショナルとは何か?
第二章 全知全能を懸けてこそ弱者は強者になる
第三章 指導者の役割とは何か?
第四章 「無形の力」が弱者を勝利に導く
第五章 人間教育が真に強い組織の礎を成す
あとがき 真のワールドシリーズ実現に向けて
ドラッカー名著解題
索引
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