2009年11月9日

『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』クリス・アンダーソン・著 vol.1939 

【BBM史上最も読ませたくない本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047

かつて日本マクドナルドの創始者、藤田田は、ベストセラーとなった自著『ユダヤの商法』で「商売は女と口を狙え」と言い切りました。

※参考:『ユダヤの商法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4584001979/

これは、一見男性客メインのビジネス書でも同じことで、男性にだけ売れる本は、決して大ベストセラーにはなりません。

なぜなら、女性は良い情報を口コミするのに対して、男性は隠してしまうから。

土井は、男性の割には比較的教えたがりな方で、それゆえにBBMを書いているのですが、これまで2000冊近くの本を紹介していて、本日ご紹介する本ほど人に教えたくない本はありません。

なぜなら、本書には、土井が教えるよりもむしろ使いたい、お金儲けのヒントがギッシリ詰まっているから。

ただ、土井にとってラッキーなのは、この本が11月21日の発売で、それまでにいろいろと手を打てることです。

この本を書いているのは、あの世界的ベストセラー『ロングテール』の著者であり、「ワイアード」誌の編集長でもあるクリス・アンダーソン。

ネットビジネスの世界では、知らない人はモグリと言われるほどの有名人です。

本日ご紹介する『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』は、インターネットが生み出したビジネス「無料化」の潮流と、その成功事例を取り上げた、今、洋書で話題の一冊。

※参考:『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047/

邦訳の出版を心待ちにしていただけに、見本が届いた時には跳び上がって喜んだ、そんな一冊です。

で、肝心の内容はどうかというと、……面白い。

カミソリを無料配布(都市伝説との噂も)することにより、替え刃を売ったジレットにはじまり、古今東西の「フリー」がいくつも紹介されており、じつに刺激的なケーススタディ集。

映像を無料配信することで、DVDの売り上げを230倍にしたモンティ・パイソンや、不正コピーの客を有料客に変えたマイクロソフト、フリーモデルで巨大企業となったグーグルなど、さまざまな事例がこのモデルの正しさを証明しています。

先日、エリエスの5周年セミナーで、つんく♂さんの「お茶買う?」の話を聞いた人が本書を読めば、これまで見えなかったビッグビジネスのチャンスが見えてくるはずです。

そして、何と言っても本書の白眉は、クリス・アンダーソンによる、フリー、お金、希少性に関する考察。

この考察は、資本主義社会に生きるわれわれに、お金を払うことの本質と、ビジネスで儲かるしくみの本質を伝えてくれます。

そして、起業家への教訓は、われわれが現在の価値システムを変容させることにより、いくらでも富を生み出せるということ。

第2のグーグルを目指す起業家には、必読の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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三カ月後に、この無鉄砲な無料映像配信の試みはどんな結果となっただろうか。モンティ・パイソンのDVDはアマゾンの映画とテレビ番組のベストセラーリストで二位にまで上がり、売上げは二三〇倍になった

無料サンプルは売上げに貢献したが、それ以上にジレットを助けたのは、そのビジネスモデルだった。無料で配った安全カミソリはやがて替え刃の需要をつくったのだ

どうして英語では「free」というひとつの単語になったのだろう。(英語のfreeには「自由」と「無料」の2つの意味がある)驚くことに、その古い英語のルーツは「friend(友人)」と同じだという

◆フリー(2)
二者が無料で交換をすることで市場を形成し、第三者があとからそこに参加するためにその費用を負担する

キャッシュバックを受けると、私たちは単純にお金を節約したときとは違った心理状態になる

デンマークのあるスポーツジムは、会員が少なくとも週に一度来店すれば、会費が無料になるプログラムを実施している。だが一週間に一度も来店しなければ、その月の会費を全額納めなければならない。その心理効果は絶大だ。毎週通うことで、自信がつくし、ジムも好きになる。いつか忙しいときが来て、来店できない週が出てくる。そうすると会費を支払うが、そのときは自分しか責められない。行きもしないジムに会費を支払うというありがちな状況とは異なり、このジムの会員は脱会したいと思うよりも、もっとジムに通おうという気持ちを強くするのだ

今日、市場に参入するもっとも破壊的な方法は、既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させることだ。つまり、既存ビジネスが収益源としている商品をタダにするのだ

人間はものが潤沢なことよりも、稀少なことを理解しやすいようにできている。なぜなら私たちは生存のために、脅威や危険に過度に反応するように進化してきたからだ

年をとって時間とお金の関係が逆になると、正規のダウンロードにかかる九九セントはたいした金額に思えなくなる。そうすると、フリーミアムの世界において、お金を払う顧客になるのだ

私たちが有料のものを選ぶ理由は、目当てのものが得られないリスクを下げるためだ

潤沢な情報は無料になりたがる。稀少な情報は高価になりたがる

コンサート・ビジネスも盛況だが、その原動力のひとつは無料音楽がファン層を拡大していることだ

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『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』NHK出版 クリス・アンダーソン・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047
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◆目次◆
第1章 フリーの誕生
無料とは何か?
第2章 「フリー」入門
第3章 フリーの歴史
第4章 フリーの心理学
デジタル世界のフリー
第5章 安すぎて気にならない
第6章 「情報はフリーになりたがる」
第7章 フリーと競争する
第8章 非収益化
第9章 新しいメディアのビジネスモデル
第10章 無料経済はどのくらいの規模なのか?
第11章 ゼロの経済学
第12章 非貨幣経済
第13章 (ときには)ムダもいい
第14章 フリー・ワールド
第15章 潤沢さを想像する
第16章 「お金を払わなければ価値のあるものは手に入らない」

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