2009年10月28日

『インセンティブ』タイラー・コーエン・著 vol.1927

【隠れた名著を発見しました】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822247740

──カネで愛や献身は買えない。

そんなことは、言われなくてもわかっていることですが、ではその愛や献身を手に入れたいときにはどうすればいいのでしょうか?

あなたが好きな人に振り向いて欲しい時、家庭内での尊敬が欲しい時、部下の献身的なコミットメントが欲しい時…。

そんな時に役立つのが、本日ご紹介する『インセンティブ』です。

最近、経済学の分野では、お金でうまく解決できない問題を解決する手段として、この「インセンティブ」(誘因)が注目されています。

以前、日本で邦訳が出てベストセラーとなった『ヤバい経済学』も、このインセンティブを扱った内容で、一躍話題となりました。

※参考:『ヤバい経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313788/

本書の内容も、この『ヤバい経済学』と一部内容が重複する部分がありますが、インセンティブを広く扱った書として、一読に値する一冊だと思います。

著者は、米国ジョージ・メイソン大学の経済学教授であり、世界的に人気のあるカリスマブロガー。

本書では、ビジネスにおける報酬システムの問題や、家庭内における献身の問題、買い物や食事をする際に店員を味方につける方法など、幅広い内容について、考察を加えています。

子どもに皿を洗わせるにはどうするか、社員が成果のあがるプロセスを共有するにはどうするか、会員制ビジネスを継続させるにはどうすればいいか。

日常生活からビジネスまで、幅広く役立つ「インセンティブ」の話が満載。

表紙は目立ちませんが、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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食器洗い機に洗い終わった皿が残っているあいだは、皿は洗われない

ある種の仕事では、内的な動機こそが重要で、報酬を支払うと逆効果になる場合もある

生徒に教室を掃除させるのに、二つの方法を比べた実験がある。ひとつは、きちんと片付けなさいと指示する方法。もうひとつは、きちんと片付けられたねとほめる方法だ。指示する方法では効果が見られなかったが、ほめる方法だと三倍もゴミが集まった

取引という行為そのものが、人間が特に大事にしている価値観と衝突する

報酬や罰則で人を思い通りに動かそうとするなら、相手の社会的な背景を理解しなければならない。その社会では、人は基本的に「協力する」ものだと思われているのか、それとも「裏切る」ものだと思われているのだろうか

追加的な努力で成果が著しく向上する作業については、金銭的な報酬を提示する

報酬を受け取ることが社会的評価につながる仕事については、金銭的報酬を支払う

社会が豊かになるにつれて、重要なのはモノの不足ではなくなる。文明が高度に発達した現代社会で目立つ不足といえば、「関心」と「時間」の不足だ

美術館にとって大事な寄付者は、お金持ちの有力者なのだ。有力者を喜ばせない美術館は、地盤が沈下していく。そう、美術館にとってのインセンティブは、有力者を喜ばせることにあるのだ

本の売れ行きは内容と無関係な場合が多い。ロンドンで行われたある調査によれば、本を購入した人の三分の一以上が「賢いふりをするためだけに」本を買うことがあると認めている

シグナリングはどれだけコストをかけたかがすべてだ

プレゼントされたものを女性が大事にするのは、男性がふだん気にかけないものをわざわざ贈ってくれるからでもある。妻に「宇宙空母ギャラクティカ」のDVDを全巻プレゼントしようものなら、たとえ後になって気に入ったとしても、自分の趣味しか考えない身勝手な男だと非難される

家庭では、現金という直接的なインセンティブの役割は限定的で、互いを信頼し、協力し合ううえで決定的な役割を果たすのはシグナルだ

会員制のスポーツジムは、業界全体が自己欺瞞の上に成り立っているようだ。たいていの会員が、実際よりもジムに通う回数を多く見積もっているのだ

デートや洋服のコーディネート、友だちや夫か妻、子どもと接するとき、自分のどこがまずいのかなどと聞こうとは思わない。率直に指摘されると、傷つき、やる気がなくなるのが怖いのだ。けれど、われわれは、いまとは違う自画像、違う物語に投資する必要がある

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『インセンティブ』日経BP社 タイラー・コーエン・著
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◆目次◆

第1章 バナナなら買える。けれど、市場にないものも欲しい
第2章 世界をうまく動かす方法──基本編
第3章 世界をうまく動かす方法──応用編
第4章 芸術を真に楽しむために「足りないもの」は何か?
第5章 シグナルは語る──家庭でも、デート中も、拷問のときも
第6章 「自己欺瞞」という危険だが不可欠な技術
第7章 とにかくおいしく食べるきわめつけの極意
第8章 七つの大罪の市場──その傾向と対策
第9章 クリスマス・プレゼントは世界を救うだろうか?
第10章 内なるエコノミストとわれらの文明の未来

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