2009年4月3日

『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』城繁幸・著

【日本の雇用を再生する秘策?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492260927

本日の一冊は、40万部突破のベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者であり、人事制度・雇用問題のプロである著者が、日本の雇用再生のシナリオを描いた一冊。

※参考:『若者はなぜ3年で辞めるのか?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334033709/

最近言われている正社員と非正規雇用の格差を是正し、健全な雇用を実現するために、一体何ができるのか。

少子化問題やニート、フリーター問題を解決するために、どんな手を打てばいいのか。

著者独自の見解が示されており、参考になります。

かつて富士通の人事部門にて、成果主義の崩壊を目の当たりにし、本当に人を幸せにする人事制度とは何かを模索し続けてきた著者。

その熱い思いが、文章の端々から伝わってきます。

著者によると、現在最も高賃金の45~55歳正社員が、年間に受け取る給与の総額は約45兆円。そのうちのたった1%、4500億円を非正規雇用側に分配することで、10万人の雇用が維持できるそうです。

ところどころ、年配の方から反発を招きそうな主張もありますが、歯切れがよく、じつに痛快な内容。

若者の現状を知ってもらうために、またこれをきっかけに人々が真剣にこの国の未来を考えるために、ぜひ世に広まって欲しい一冊です。

中小企業の経営者も、自社の人事制度を考えるきっかけとして、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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離職率上昇はたんに「将来の安定した出世で払う」という年功序列的報酬制度が破綻した結果にすぎない

原資の増加分の分配から、原資全体の再分配をするように切り替えればいい

非正規雇用の拡大も、就職氷河期世代も、みんな正社員の既得権を守るために生み出されたものであり、労使は一体となってそれを推進してきたことになる

一部業種の中には、すでに日本人労働者だけでは運営が難しい状況が見られるのも事実である。なかでも流通業は、新卒求人倍率7倍を超える不人気ぶりで、流通業だけでも30万人以上の人材が不足し
ている計算になる

「自由な生き方」にしても、もともとは求人誌は作り出したキャッチコピーであり、若者のニーズを汲み取ったというよりは、企業側のニーズを反映させたもの

高校生に対する進路意識調査によると、フリーターは「将来なりたくない職業」で男女ともに第1位

企業側は、彼ら非正規雇用からの正社員採用に前向きでない。当の経団連自身の調査でも、「積極的に採用」はわずか1・6%

大方の企業が「年齢で人の価値を決めるシステム」である以上、年を食った人間は、それだけ割高となってしまう

東大生の就職人気企業ランキングトップ10には、外資系企業が3社も入っている一方、メーカーは一社たりとも含まれていない(『週刊東洋経済』2008年11月15日号)

国民一人あたりGDPやIMDの「国際競争力調査」などで、90年代以降、順位を下げつづけている日本だが、その中でもとくに、ほかの先進国を寄せつけないものもある。それは、出生率の低さである

30代男性社員の既婚率が約60%なのに対して、非正規雇用の側のそれは30%でしかない

読売新聞社が2006年に大手企業100社の人事担当者に実施したアンケートによれば、40歳時点で課長級以上に昇格している総合職は約26%。ちなみに6割の企業は、それ以降の年齢での幹部昇格はありえないと回答していることから、過半数の大卒総合職は、いまや生涯を平社員で終える時代だといえる

ポイントとなるのは、ベースとなる「年齢給」を維持しつつ、成果分については賞与で上乗せとしている点だ。これにより年功によらない抜擢も降格も、柔軟に対応可能となる

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『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』城繁幸・著
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◆目次◆
はじめに
第1章 正社員と非正規の間にあるもの
第2章 生き残る21世紀型人材像
第3章 年功序列は日本社会も蝕む
第4章 雇用再生へのシナリオ
おわりに

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