【転職ビジネスに食い物にされる若者たち】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047101559
本日の一冊は、話題作となった『最高学府はバカだらけ』の著者、石渡嶺司さんが、転職ビジネスのカラクリと、それに翻弄される若者、企業人事の悲劇を描いた衝撃作。
※参考:『最高学府はバカだらけ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334034195/
転職者が転職すればするほど、履歴書に傷がつき、かつ平均すると年収も減らす、というのは業界関係者にとっては自明の理。
にもかかわらず、大手人材紹介会社は転職をあおり、濡れ手に粟の転職ビジネスを展開しています。
最近では、あまりにひどい人材の質の低下にクライアントが怒り、信用を低下させているようですが、そこで「転職は慎重に」と言ったところで、ボロボロにされた若手のキャリアは一体どうなるのでしょうか?
本書は、こういった転職ビジネスの「闇」の部分に切り込み、その問題点を明確にしています。
転職による見えない損失、採用担当者のホンネ、そして人材紹介ビジネスの倫理問題とも言うべき求職者リストの流用疑惑…。
隆盛を極めた人材ビジネスの弊害がクローズアップされており、転職したい人や人事担当者、業界関係者は必読の内容です。
「1億円損をする」の論証は根拠があいまいで無理がありますが、それでも問題意識としては持っていおいた方がいいと思います。
正しい意思決定をしようと思ったら、情報発信者の利害関係を考えること。そうしないと、本書に出てくる愚かな学生のようになってしまいます。
昔、父親に言われたことですが、世の中には「タダより高いものはない」のです。
本書には、タダに惹かれて人生をダメにした人々の例がいくつも載っています。
ぜひ読んで、反面教師にしていただければと思います。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「女…独身…三二… これで転職したら不幸のどん底に叩き落とされるぞ」(『エンゼルバンク』のセリフ)
関係者はほぼ全員が「転職は損」という事実を知っている。ところが、ただ一者、この事実を知らない人々がいる。それが、二〇~三〇代の転職を希望する社会人だ
「変わらない、という選択肢もあるかもしれません。でも、転職するなら若い二〇代の方が間違いなく年収はアップします」落ちたのは、この一言だ。「若いうちには冒険するべきですよ」
仕事への情熱を持てず、会社の体質にもなじめない以上、成績を上げられるわけがない
転職者を採用する企業の人事担当者は、早期転職者の商品価値を高くは評価しない。「企業にとって、転職者はある程度の専門性を持っているから評価ができる。でも早期転職者は一体何ができます?数年どころか数ヶ月で辞めて、技術や専門知識などろくにあるわけがない。そもそも、彼らは最初に入った会社にどれだけ損失を与えているか、分かっていない」
「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)の、その名も「転職による生涯所得減少率」という調査がある。二〇〇五年調査による、「転職なし」の減少をゼロとした場合、二五歳で三パーセント、三五歳で一一・一パーセントの減少となる。四〇歳では一二・五ーセントの減少である。平均すれば、必ず転職者の年収は下がる
技術を持っている上司からは、マンツーマンで指導してもらって、その技術をタダで教えてもらったほうが、絶対に得なのです。(『辞めるなんてもったいない! 入社3年たったら読む本』)
転職会社は「転職が多いほど儲かる」ということになる。単純に言えば、こういう会社にとっては「みんなが転職を繰り返す」状態が一番ビジネスになる(『大学生のためのキャリア講義 就活本を読む前に』)
「エントリー機能でいくら、マッチングでいくら、ナントカでいくら、と金を取っておいて、情報を転職サイトに流すのですか? ということはうちは就職サイトでお金を取られ、その就職サイトのリスト転用のために今度は人材流出に悩むわけですか。わが社をバカにするにもほどがあるでしょう」(食品会社・採用担当)
「俺が俺がの『が』を無くし、お陰お陰の『げ』で暮らせ」(バンダイ創業者・山科直治が好んだ法然上人の箴言)
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『転職は1億円損をする』石渡嶺司・著
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◆目次◆
はじめに
序 章 転職で人生をムダにした!
第一章 転職は1億円損をする
第二章 10分でわかる人材ビジネスのカラクリ
第三章 転職があおられるカラクリ
第四章 間違いだらけの転職観
第五章 転職サバイバル!
おわりに
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