2008年8月22日

『グラフで9割だまされる 情報リテラシーを鍛える84のプレゼン』ニコラス・ストレンジ・著

【Yahoo!ファイナンスのデータの罠とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270003944

みなさんは、アメリカのYahoo!ファイナンスと日本のYahoo!ファイナンスのデータを比べたことがおありでしょうか?

じつは、日本株は最大10年しか株価の推移が表示されないのに対して、アメリカ株は「max」まで表示できるのです。

たとえば、GEの株価であれば、1962年からこれまでの株価の推移を、すべて確認できるというわけです。

ではなぜ日本のYahoo!ファイナンスはすべてのデータを公表しないのでしょうか?

これには、おそらくいろんな事情があると思います。別に悪意はないのかもしれません。ただ、間違いないことは、これは投資家の意思決定に影響を与える、ということです。

われわれの周りには、意図的かどうかにかかわらず、さまざまな「いかがわしいグラフ」が存在します。

パワーポイントが普及した今、こうしたグラフは、作成者が統計の知識を持っているか否かにかかわらず、大量に生み出されており、たくさんの人の認識や意思決定に影響を与えているのです。

本日ご紹介する一冊は、こうした誤解を招くグラフのトリックを明らかにし、どうやったらグラフで人を欺くことができるのか、実践ノウハウを提供した、じつに過激な一冊です。

情報の提供の仕方がまずかったために起こったチャレンジャー号の大爆発、コロンビア号のクルー7人の命を奪ったボーイング社のずさんな報告書、ロンドンで大量発生したコレラにまつわる議論…。

さらに、各国で信頼されているメディアや有名コンサルティング会社のレポートでさえも、グラフには操作がなされている、という事…。
(ちなみに挙げられているのはマッキンゼーとBCGの事例です)

こうした事例を読むだけでも、「伝え方」というのがいかに大事か、考えさせられますよね。

世にプレゼンテーションの本は山ほどありますが、大切なのは、何のために、どうやって伝えるか。

人を動かす人になるために、また安易にだまされないためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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レトリックは人の心を質的に操るものだが、図表はそれを量的に操るもの。そしてレトリックの人気が下降線をたどるにつれて、図表人気は高まるばかり。それは、データに基づいた議論が求められるようになったためだ。図表化によって、数字もついにモノがいえるようになった

たいていは、横軸に細工をすることによる。たとえば、本質的に比べられないものどうしを比べたり、時間軸の刻み方を不均一にするなどだ

棒グラフには、願ってもないあいまいさがある。そもそも値を表すのは長さなのか、それとも面積や体積なのかがはっきりしないということだ

折れ線グラフに手心を加えるうえで最も簡単で効果的な方法は、時間を表す横軸の刻みを不均等にすることだ

◆チャレンジャー号の悲劇を防げなかった説明13ページの説明資料「懸念」といわれて、人はどう反応するか? そんな「懸念」をもたらす原因に注目するのが人情というものだ。今回の場合、それは資料の2ページ目に記されていた。1981年11月から、直前の1986年1月12日までの7回の打ち上げのうち6回で発生した、大小さまざまなOリングの不具合報告である。Oリングで問題が発生しなかったほかの17回の打ち上げについては、そっくり無視された

平均を使って人をだますには、自分の都合のよい標本(元)を選んで母集団をつくればよい

自分の主張を強化するように、期間の設定や絶対単位か割合かなど都合のよいユニットを選べば、議論をほしいままに誘導できる

複数の直方体を比較するときには、もととなるデータを何で表しているのか(高さか、面積か、体積か)を知っておくことが重要だ

イラストの面積をめぐる幻想の特殊効果は、えてして見過ごされがち

棒グラフに模したイラストの頂点に丸みを帯びさせれば、人の目は横幅が最も太い部分に注目する傾向があるので、先端部がどこまで届いているのかは、いっそうわかりにくい

対数目盛りを使うという方法は、実に数学的にもっともらしく見える巧妙なだましのテクニック

あまり知られていないことだが、円グラフには格好のつけ込みどころがある。「何が全体(100%)を構成しているのか」を見落とす人が多いことだ

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『グラフで9割だまされる 情報リテラシーを鍛える84のプレゼン』ニコラス・ストレンジ・著
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◆目次◆

まえがき
第1章 チャートの魔力をあなどるなかれ
第2章 図表が引き起こした大惨事
第3章 値を歪める――データに手を入れる
第4章 値を歪める――図表化によるだまし
第5章 値を歪める――データ項目と時間
第6章 軸を歪める――カテゴリーや時間
第7章 チャート全体を歪める
訳者あとがき

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