2007年10月15日

『ヒトデはクモよりなぜ強い』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246078

本日の一冊は、中央集権的な組織(クモ)と分権型組織(ヒトデ)のどちらが強いのかを論じた、衝撃的な組織戦略論です。

分権型組織としてたびたび本書で紹介されるアパッチ族を例に説明すると、「アパッチ族は、何百年も征服されることなく戦い続けた」。

「アパッチ族が生きのびたのは、『政治権力を分散して、なるべく中央集権を避けていた』から」なのです。

著者によると、「分権型の組織が攻撃を受けると、それまで以上に
開かれた状態になり、権限をそれまで以上に分散させる」。

つまり、分権型の組織では、次から次へとリーダーが生まれ、やが
ては巨大な組織をも倒してしまう。

これが、アメリカのレコード会社MGMがナップスターに勝ったも
のの、海賊行為や音楽シェア行為を撲滅できなかった理由なのです。

であれば、そのような分権型企業を作りたい、と思うのが人の情で
すが、事はそんなに簡単ではありません。

分権型組織やコミュニティの構築をスムーズに進めるには、いくつ
かポイントがあるのです。

本書では、そのコミュニティ成立のためのポイントを、「触媒」や
「イデオロギー」などいくつかの要素に分解し、秘訣をまとめています。

こうした分権型組織をどうやって破るか、という視点も提供されて
いるので、じつに興味深く読むことができます。

経営者、経営コンサルタントは必読の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ヒエラルキーが存在しなかったら何が起きるのか。秩序が乱れ、混
乱すると思うかもしれない。ところが多くの分野で、伝統的な意味
での指導者をもたない、けれども力強い集団が、業界や社会の、従
来のやり方をひっくり返している

アパッチ族には、他の部族における首長にあたる存在の代わりに、
ナンタンと呼ばれる精神的および文化的な指導者がいた。ナンタン
は行動で規範を示すだけで、他者に何かを強要する権限は持たなか
った。部族のメンバーは、ナンタンに従いたいから従うのであって、
強制されたからではない

ナンタンをひとり殺すと、また別のナンタンが登場する。アパッチ
族には、社会全体を守る唯一無二の人物は存在しない

分権型の組織が攻撃を受けると、それまで以上に開かれた状態にな
り、権限をそれまで以上に分散させる

二〇〇五年にハリケーンカトリーナがニューオーリンズを襲ったと
きも、最も正確な情報をもっていた現場の人間には、大規模な救助
計画を実施する権限がなかった

業界内で権力が分散すると、全体の利益が減少する。ヒトデ型組織
を導入するのは、利益をあきらめるに等しい。だからこそ、業界全
体を取り囲むヒトデの出現には、注意が必要なのだ

開かれた組織に招かれた人たちは、自動的に、その組織の役に立つ
ことをしたがる

みんなが自分自身を律すると、規範は規則より力を持つことになる

分権型の組織をまとめる接着型の役割を果たすのは、「イデオロギー」だ

人の役に立ちたいという気持ちは、彼ら(触媒)が人々をつなぐ能
力を発揮するための燃料のようなものだ

アメリカ人は、アパッチ族のナンタンたちに畜牛を与えて、その社
会を壊したのである。簡単なことだった

組織に所有権という概念が入ってくると、その途端にすべてが変わ
る。ヒトデ型組織がクモ型組織に変わるのだ。組織を集権型にした
いと思ったら、触媒に財産を与え、資源を好きなように分配しなさ
いと言えばいい

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『ヒトデはクモよりなぜ強い』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246078
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┃▼目次▼
┃ 
┃ 第1章 MGMの失敗とアパッチ族の謎
┃ 第2章 クモとヒトデとインターネットの最高責任者
┃ 第3章 ヒトデでいっぱいの海
┃ 第4章 5本足で立つ
┃ 第5章 触媒のもつ不思議な力
┃ 第6章 分権型組織と戦う
┃ 第7章 ハイブリッドな組織
┃ 第8章 スイートスポットを探して
┃ 第9章 新しい世界へ
┃ 
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