2007年8月1日

『会社は頭から腐る』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478000700

本日の一冊は、元・産業再生機構COOであり、数々の修羅場をくぐり抜けてきた「産業再生の請負人」、冨山和彦さんが、その経営哲学とよりよい経営のための提言を示した一冊。

産業再生機構ということで、マクロ的な視点からの議論が目立ちますが、経営者の資質や企業再生のポイント、マネジメントの秘訣など、実業のヒントとしても読むことができます。

のっけから、「人はインセンティブと性格の奴隷である」と喝破し、持論を展開。「ほとんどの人間は土壇場では、各人自身の動機づけの構造と性格に正直にしか行動できない」というセリフは、修羅場の現実を見続けてきた著者ならではの説得力にあふれています。

さらに、「チェーン店は多くの場合、規模の経済より密度の経済の
ほうが効く」といったように、盲目に規模の経済を追求することを
戒めたり、PDCAを回さないことの危険性を訴えたり、さらには
カネボウの事例を引きながら、組織が陥りがちな罠についてコメン
トしています。

タイトルにもあるように、まさに「会社は頭から腐る」わけですが、
腐る際にはどんな経過をたどるのか、それを防ぐためにどうすれば
いいのか、教えてくれるのが本書だと思います。

いわゆる「戦時」の状況下で経営することを余儀なくされてきた著
者だけに、最近の経営書では語られない、骨太の主張が展開されて
います。

「ビジネスというのは、本気で相手をつぶそうと思って競争するもの」
「組織からはみ出す根性のない人間をリーダーにしてはいけない」

ゆでガエル状態になる前に自社の経営を何とかしたい、という経営
者、企業再生のノウハウについて学びたい人に、おすすめの一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人はインセンティブと性格の奴隷である

大ローマ帝国の将軍であったカエサルが喝破したように、人間は物
事を認識するに際しても「見たい現実を見る」生き物である

ほとんどの人間は土壇場では、各人自身の動機づけの構造と性格に
正直にしか行動できない

人それぞれの性格と仕事の特性が一致していないと、能力に関係な
く、よい仕事は達成されない

昔から「組織は戦略に従う」のか、「戦略は組織に従う」のかとい
う論争があるが、あえていえば組織も戦略も「そこで戦っている生
身の人間の本性に従う」というのが正しいと思う

人間洞察の限界への絶えることのない努力、そして己の無知を知る
謙虚さ、このはざまに経営と人間に関わる手の届かない真理が横た
わっている

チェーン店は多くの場合、規模の経済より密度の経済のほうが効く

経済構造の議論でもうひとつ重要なのが、事業の付加価値である粗
利や営業利益が構造的に大きいか、小さいかを見極めることである。
この指標が小さいということであれば、それは事業として、戦略的
自由度も小さいということになる

人を大切にするというのであれば、今、目の前にいる従業員も大事
かもしれないが、次の世代も大事ではないか。いや、本当は世代の
ほうがもっと大事なのである

会社はそもそも人間様がより幸せになるための単なる手段にすぎない

人間も集団としての組織も、放っておくと緩い方向に向かう本性を
潜在的に持っているのだ。だからこそ、その仕組みを整える必要が
あるのだ

再生は言い訳との戦い。そして、当たり前のことを当たり前にやること

再生を担う人間には、三つの能力が必要になる。事業を知っている
こと、経営を知っていること、そして人間に対する洞察力である

ビジネスというのは、本気で相手をつぶそうと思って競争するものである

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『会社は頭から腐る』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478000700
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┃▼目次▼
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┃ プロローグ 
┃ 第1章 人はインセンティブと性格の奴隷である
┃ 第2章 戦略は仮説でありPDCAの道具である
┃ 第3章 組織の強みが衰退の要因にもなる
┃ 第4章 産業再生の修羅場からの臨床報告
┃ 第5章 ガバナンス構造を徹底的に見直せ
┃ 第6章 今こそガチンコで本物のリーダーを鍛え上げろ
┃ エピローグ
┃  
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