2007年2月14日

『ハーバード流人的資源管理入門』

【】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903241408

本日の一冊は、ハーバード・ビジネススクールでリーダーシップや経営戦略、投資を教えるD・クイン・ミルズ教授が、人的資源管理の基本と、それを実行に移すためのポイントを示した一冊です。

同様のトピックについて論じた本はたくさんありますが、本書の特徴は、ライン・マネジャーと人事部門の協力関係について述べた点でしょう。

ラインマネジャーの役割と、それをサポートする人事部門の役割を明確に示し、どのように協業することが人的資源管理を成功に導くのか、詳しく論じています。

経営戦略と人的資源管理の融合、そして適切な人材の採用、配置、育成、評価まで、じつにさまざま点について論じており、じつに興味深い論考です。

将来の成長のプランと、人的資源管理の関係がわかっていない経営者、やみくもに研修を実行しているだけの人事担当者は、一度本書を読んで、基本に立ち返る必要があるでしょう。

本書から感じられるのは、真に人を育成し、自己実現をサポートすることで、企業も伸びていけるという肯定的な見方です。

個人を育成し、知識をシェアすることで、真に強い組織を作り上げることができる。そのために経営者、マネジャーが何をなすべきか、強く意識させられる一冊です。

ちょっと文章が読みにくかったり、法制度、人種差別の問題など、アメリカよりのトピックがあったりするのが玉に瑕ですが、経営者、マネジャー、人事担当者は必読の一冊です。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

訓練とは、物事をどのように行うかを教えることである。教育は、
それになぜかが加わる。この違いは重要である。ほとんどの組織で
は幹部と有望な幹部候補だけが教育を受ける。それ以外の社員が受
けるのは訓練である

◆人的資源計画で重要な3つの活動
・適切なスキルを備えた人材を特定し、適正な数だけ揃える
・彼らの勤労意欲を高め、優れた業績を達成する
・事業目標と人的資源計画のお互いの連動をはかる

◆ある大手企業のCEOが教えてくれた採用のコツ ※一部紹介
1.将来大きく伸びそうな候補者を探す。仕事でも、仕事以外でも
  自分に対する基準を高く保っている人材
2.履歴書に、候補者がきわめて優れた分野が示されている

(研修の)真価を評価するためには、次の三つの評価を行うとよい。
第一に、参加者が何を学んだかを直接テストする。第二に、学んだ
ことを使って職場で以前と異なる行動をとっているかを研修後に調
査する。第三に、研修後、個人あるいはグループの業績は向上した
かを評価する

組織が学習する方法はいくつかあるが、その主なものは、個人が学
習し、個人から集団へと知識を移転する方法である。その仕組みが
整っていれば、組織にとって大きな強みになる

メンタリングは、後輩にとって非常に貴重な経験となることが多い。
経験を積んだ人に自分自身のキャリアについて、あるいは自分が抱
えている問題について質問を投げかけ、相談する機会である

◆社員からのインプットを活用する企業の促進策 ※一部紹介
・提案用紙、コメント記入用紙を配布する
・有益な提案には小額の謝礼を出す
・アイデアが実行に移されたら、多額の報奨金を出す

給料を補足する目的の賞与は、社員の業績に基づく場合が多い。こ
れは一般的に三種類ある。標準的な一時金、利益分配、成果分配で
ある。こうしたものに多額の費用をかける企業は多いが、残念なが
らモチベーション効果は大方失われている

◆社員のストレスが高まる状況 ※一部紹介
・長期間にわたってやることが多過ぎる
・仕事ぶりや出来映えに関するフィードバックが不十分である
・努力したこと、達成したことを認めてもらえない

————————————————
『ハーバード流人的資源管理入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903241408
————————————————

■目次■

序章 人的資源管理の重要性
第1章 チームの編成と育成
第2章 チームへのインセンティブ
第3章 公正な待遇
第4章 ワーク・ライフ・バランス

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー