http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352096
本日の一冊は、野中郁次郎、堺屋太一、田中直毅といった論客たち
が、明治以降の日本を代表する企業家たちを分析した一冊。
盛田昭夫、本田宗一郎、松永安左エ門、小林一三といった偉大な14
人の企業家がいったいどんな人物であったのか、なぜ彼らは偉業を
成し遂げることができたのか、その秘密に鋭く迫っています。
どの人物も経営書ではよく引用される人物のため、この一冊をきち
んと読んでおけば、他の本を読む際の助けにもなります。
よくまとまっていて便利な一冊ではあるのですが、惜しむらくは、
書き手によってクオリティにばらつきがあること。
野中郁次郎さんが語る本田宗一郎や、堺屋太一さんが語る小林一三
などはじつに読み応えがありましたが、作家の方が書いた文章は、
正直掘り下げが足りない印象です。
とは言え、これほどの情報がコンパクトにまとまっているのはなか
なか便利。うんちく本としてもキープしておきたい一冊です。
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■ 本日の赤ペンチェック
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<盛田昭夫>
いつも自分を最高度に研ぎ澄まし、そのことによって部下の潜在能
力までも引き出す――。これが企業家・盛田昭夫の神髄である
<本田宗一郎>
多くの日本企業で失われてしまったもの、それは夢の力により活力
を引き出すこと、未来へ向けて社員に希望を持たせ、情熱を持って
実践させる経営者の姿勢である。今、われわれが本田宗一郎に学ぶ
べきものは、そこにある
「他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。自分が悩まない
人は、他人を動かすことができない。私はそう思っている。自分が
悩んだことのない人は、まず、人を動かすことはできない」(『私
の手が語る』より)
<松永安左エ門>
松永安左エ門は、その生涯の節目において時代の本質を洞察する鋭
い力を示し、かつそれを現実の成果として実らせてきた。この洞察
力の源泉はどこにあったのか。彼の伝記などからうかがえる奔放な
印象とは異なり、それは意外にも「研究」にあったのではないか。
そうはいっても普通の学者や研究者がやるような研究ではなく、時
代を見抜くための研究である
<小林一三>
小林は電車(鉄道)を、人と物を運ぶ運輸業ではなく、地域と文化
を育てる開発事業と考えていた
<渋沢栄一>
「学を好む士大夫は自己一身のために飽安を求めざる」と渋沢は引
用し「美食に飽満し安逸に楽居するは君子ならずともなすまじきこ
となり。世のいわゆる成金者流が金に任せて衣食住に贅沢を極むる
のみならず、一夜に万金を散じて婬酒に耽るもあり。顧みて他の一
面を見れば糊口にも窮する民あり。社会の不安ここに生ず。階級打
破の声もここに発す。資産対労働の衝突もここに出づ」と指摘した
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『経営に大義あり』
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■目次■
盛田昭夫―部下のやる気を鼓舞する天才(江波戸哲夫(作家))
本田宗一郎―本質を見抜き、伝える賢慮型経営者(野中郁次郎(一橋大学
教授))
松下幸之助―悲惨な体験を成功の礎に(津本陽(作家))
大原孫三郎―稀代の社会事業家(猪木武徳(国際日本文化研究センター教
授))
鮎川義介―仲間内資本主義から大衆資本主義へ(岡崎哲二(東京大学教授
))
松永安左エ門―「ボーンアゲイン」の生涯(今井賢一(スタンフォード日
本センター理事))
小林一三―「夢追い人」が企業家に(堺屋太一(作家))
金子直吉―現場主導の分権経営(加護野忠男(神戸大学教授))
益田孝―「総合商社」の祖(小島英記(作家))
伊庭貞剛―日本型CSRの先駆者(武田晴人(東京大学教授))
松本重太郎―拡大路線で墓穴を掘った「西の渋沢」
渋沢栄一―パブリック精神を体現
安田善次郎―細心・怜悧な銀行家
岩崎弥太郎―詩人の魂と企業家精神
群像の軌跡
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