2006年6月6日

『それでも人生にイエスと言う』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456965245X

本日の一冊は、『夜と霧』のV・E・フランクル博士による、もう
一つの不朽の名著です。

※参考:『夜と霧』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4622006014

ご存知の方も多いと思いますが、フランクル博士は、第二次大戦下
に、ナチスによって捕えられ、強制収容所に送られました。

本書には、劣悪野蛮な環境で、何度も死に直面しながらも奇跡の生
還を果たした著者の、人生の哲学が詰まっています。

大勢の仲間の死を間近で目撃し、自らも悲惨な状況を体験した著者
だけに、その言葉には、じつに重みがあります。

たとえば、「人間は楽しみのために生きているのではない」という言
葉。

多くの人が自らの幸せに執着し、拝金主義に陥っている現在だけに、
じつに示唆に富んだ言葉だと思います。

このように本書には、最近の自己啓発書ではなかなかお目にかかれ
ない骨太の主張が散りばめられています。

人は死を意識することで強く生きられる。

そのことを本書は教えてくれているのかもしれません。

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■ 本日の赤ペンチェック
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ついこのあいだ起こったどんなにおぞましい出来事の中でも、そし
て、強制収容所の体験の中でも、その人がどんな人間であるかがや
はり問題でありつづけたのです

まさしく模範になる人間が少ないために、その少数派はとほうもな
い責任を担っているのです

すべては、創造性を発揮し、言葉だけではなく行動によって、生き
る意味をそれぞれ自分の存在において実現するかどうかにかかっている

しあわせは、けっして目標ではないし、目標であってもならないし、
さらに目標であることもできません。それは結果にすぎないのです

私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問い
を出し私たちに問いを提起しているからです。私たちは問われてい
る存在なのです

私たちはさまざまなやりかたで、人生を意味のあるものにできます。
活動することによって、また愛することによって、そして最後に苦
悩することによってです

人生のルールは私たちに、どんなことをしても勝つということを求
めていませんが、けっして戦いを放棄しないことは求めているはず

苦難と死は、人生を無意味なものにはしません。そもそも、苦難と
死こそが人生を意味のあるものにするのです

私たちのさまざまなあり方は不完全であるからこそ、唯一のものになる

内面的に成功するかどうかこそ問題なのです。そして、その内面的
な成功は外面的な成功がなくても成り立つのです

ニーチェの言葉を思い出すと、かつて彼は「生きることに内容、つ
まり理由がある人は、ほとんどどのような状態にも耐えることがで
きる」といいました

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『それでも人生にイエスと言う』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4393363604
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■目次■

1.生きる意味と価値
2.病いを超えて
3.人生にイエスと言う

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