本日の一冊は、久々のリクエスト本です。
著者はベストセラーとなった『日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日』のベンジャミン・フルフォードさん。
参考:『日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日』
http://tinyurl.com/3v3rs
本職はジャーナリストで、1999年からは、アメリカの経済誌「フォーブス」の太平洋支局長を務めているそうです。
もともと日本にあこがれてやってきたという著者が、留学や仕事を通じて見た、日本社会の裏側。そしてそれが経済にもたらしている影響について、わかりやすくマンガで解説しています。
ファンキーな絵柄を伝えられないのは残念ですが、本日はその主張のエッセンスだけ、抜き出してみたいと思います。
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本日の赤ペンチェック ※本文より抜粋
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私は、日本で長年ジャーナリスト活動をしてきたから、日本の大メディアの特徴をよく知っている。それは、端的に言うと、「国民の味方ではなく、支配層の味方」ということに尽きる。
日本のメディアは、バッシングはするが、その対象を次々に替えていくだけで問題の本質に迫ろうとしないから、その問題が騒がれなくなっただけで、それが解決したかのような誤解misunderstandingを国民に与えてしまう。
ヤクザが支配するウラ社会とオモテ社会の関係は、バブル期に急速に深まった。それ以前の日本では、ウラ社会はオモテ社会の陰に存在するだけで、実体経済に影響を与えることは少なかった。しかし、バブルが崩壊し、不良債権が問題化してしまうと、そうはいかなくなった。なぜなら、不良債権はヤクザと銀行、不動産業界、ゼネコン、政治家、官僚などがタッグを組んでつくりだしたものだったからだ。
関西は「政・官・業・ヤクザ」が、その本領specialityをいかんなく発揮したため、次々に無用の公共事業useless public worksが行われた。赤字を瀬戸内海に垂れ流している3つもある巨大ブリッジ、大阪湾のベイエリアに建設された誰も使わない世界貿易センター、太平洋トレードセンターなど、数え上げればきりがない。
政治家とヤクザの結びつきties to the gangster worldは強く、それも長老クラスになるほど緊密cozyになる。こうした実態を政治家側から、私にナマナマしく証言してくれたのは、元衆議院議員で億万長者billionaireの糸山英太郎氏だ。
日本で「負け組」が増えているのは、欧米社会のように、負けても再度トライできる仕組みや、平等な機会(機会均等)equal opportunityがないからである。
欧米の民主主義には、敗者復活の原則がある。また、アメリカは「チャンスの国」the land of opportunityを自認しているから、破産しても身ぐるみ剥がされて、すべてを失うということはない。
日本の社会が2極化し、「負け組」と「勝ち組」が固定fixしてしまったという確かなデータがある。これは、2003年に内閣府の外郭団体である「家計経済研究所」が発表したものだ。(中略)調査では、所得格差が広がっているだけではなく、その所得格差が固定化される傾向がハッキリと見てとれるのだ。
所得格差が開く一方で、しかもそれが固定化してしまったということは、もともとの支配層ruling classが、「勝ち組」として下を支配controlしているということではないだろうか?
なぜイギリスとアメリカで、人々のあいだに貧富の差が拡大したのか。これら2つの国では、経済のなかに製造業が占める割合が小さくなっているからだ。
いまの日本は「努力もしない」人間たちが、「勝ち組」生活を満喫enjoying the rich lifeしている。その典型が公務員たちofficialsである。
彼らは、日本でもっともアタマのいい人々(と言われている)だから、その特権を維持するためには、とんでもない秘策を編み出す。それは、本当は「焼け太り」なのに、「改革」に見せかけるという壮大な茶番劇farceだ。
「改革」と言いながら、自分たちだけはなんの痛みも感じず、堂々と天下る。そして彼らはほとんど死ぬまで、国民の税金our taxをしゃぶり尽くす。特にひどいのが、道路公団問題で120%の成果を得た国土交通省だろう。国交省では、259人の退職者のうち、なんと217人が天下っている。
ニセ改革者fake reformerであり、いまや「泥棒国家」kleptocracyのリーダーである小泉純一郎首相は、これまで数々の貴重な名言を残してきた。その最たるものが、「改革は進んでいる」という大ウソだ。
改革というのは、じょじょにやるものではない。一気にやるもので、それは韓国やイギリスの例を見ればわかる。だから、改革には勇気Courageと信念faithがいる。この勇気と信念が、小泉にはなかったというしかない。
いまの日本に、これ以上インフラを整備する財源base moneyがどこにあるのだろうか? あるとすれば、それは国民が持っているとされる個人資産individual assetsの約1400兆円だけである。
国家財政が破滅的な赤字だというのに、なぜ日本では、ムダな公共工事public worksが続けられるのだろうか?その答えは、この国の財政fiscal policyが根底からしてインチキtricky systemだからである。
この国には「一般会計」general accountとは別に、「もうひとつの予算」と呼ばれる「特別会計」special accountがあるからだ。
「特別会計」をわかりやすく言えば、一般企業の「裏帳簿」hidden bookであり、つまり、これがあるおかげで、日本政府はいくらでも借金を隠せるし、不良債権を飛ばすこともできるようになっている。
国債残高は483兆円とされているが、じつはまだ政府が借金できる財政投融資に使う「財投債」というものがある。これは、政府が公共事業のために使うお金を調達する目的で発行される。それでこの「財投債」まで含めると、政府部門だけでも、その借金は600兆円を超えてしまうのだ。
ウソにウソを重ねてすべてを「先送り」してきた結果が、天文学的な大借金と債務超過である。つまり、この先、日本は景気のちょっとした変動で、「破産宣告」declaration of bankruptcyしなければならない事態に追い込まれると考えていいだろう。
金融危機以来のこの数年間では、自由経済open economyはますます規制regulateされ、官僚の権限powerは強まり、政治家の利権concessionは減らずに逆に増えたのではなかろうか。民営化privatizationも名ばかりで、官僚の天下り先the golden seat(post retirement jobs)が増えただけだ。
小泉首相がいくら「景気回復は構造改革が進んだからだ」と強調emphasizeしてみせても、それが、中国経済のおかげなのは明白だ。実際、2003年の後半になってから日本経済は回復し、各種の経済指標も上向いたが、それを支えたのは中国経済である。
「購買力平価」に置き換えれば、もうそこ(中国)には日本やアメリカと変わらないマーケットができあがっていることになる。
いまの日本を世界的視点で見ると、かたちの上では「世界第2位の経済大国」ではあっても、単なる「アメリカ一辺倒の国」で、世界に対してもなんのコミットメントcommitment(関与)もしていない国家である。
私が日本に望みたいことは、できるだけ早くアメリカから独立get independenceして、国際社会international communityにおける立派な大人になってほしいということだ。
ーマンガ部分より抜粋ー
衰退するのは経済の分野ばかりではない
いまの日本は「3重苦」に陥っている
「3重苦」の1番目は総人口の減少である
「3重苦」の2番目は超・高齢化社会の出現だ
「3重苦」の3番目はインチキと八百長のツケすなわち日本の巨大
財政赤字問題である
国の財政が破綻したのも同然なのに日本の金利は上昇しないしインフレもやってこない
それは日本がいま国家総がかりで国債の暴落を防いでいるからだ
国内金融機関が永遠に国債を買い続けるなどということができるわけがない
いずれ金利は上昇しすさまじいインフレがやってくることになる
ハイパーインフレとか預金封鎖などと言われているのは絵空事ではないのだ
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週刊誌の中吊り広告に登場しそうなトピックを、関係者の証言から紐解いた内容がほとんどで、分析手法はきわめてジャーナリスティックです(つまり、科学的ではない)。
若干、偏った視点で経済全体を分析しているため、以前に紹介した『ドル暴落から、世界不況が始まる』『知識資本主義』、あるいは類書と併読することをおすすめします。
参考:『ドル暴落から、世界不況が始まる』
http://tinyurl.com/5qkn2
参考:『知識資本主義』
http://tinyurl.com/6k7hq
というわけで、本日の一冊は、
『まんが 八百長経済大国の最期』
http://tinyurl.com/49yug
です。
某有名経済紙が著者の記事をもみ消そうとした話や、白書を刊行しているG社に関係筋から圧力がかかった話など、業界の裏ネタもちりばめられており、出版業界の方は、また違った視点で楽しめるはずです。
まんがだけを読んでも要点は把握できるため、普段政治・経済に関心のない方でも、エッセンスだけを学べるのが特長です。
目次
はじめに
Part1 ママチャリ外国人記者が行く
Part2 「勝ち組」と「負け組」の国
Part3 「問題先送り」という得意技
Part4 あなたは「泥棒国家」で暮らしている
Part5 世界は日本抜きで動く
Part6 八百長経済大国の最期
おわりに
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