本日の一冊は、インデックス・コミュニケーションズ(旧オーエス出版)のエース編集者、Kさんが、「今年の最高傑作」と主張する一冊です。
最近乱発されているユダヤ人モノに抵抗感をおぼえるというユダヤ人の著者が、偏見のないありのままの姿のユダヤ人像を伝えるために、またユダヤ人大富豪たちの成功の秘訣である「考え方(ユダヤ人の頭のなか)」を伝えるために、筆をとったという注目の書です。
前半部分では、ユダヤ人実業家の活躍の現状や、ユダヤ人の歴史を、後半部分では、本書の主題である、「ユダヤ人の頭のなか」を解説しています。
では、そのユダヤ人の考え方というのは、一体どんなものなのでしょうか。さっそくポイントを見ていきましょう。
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本日の赤ペンチェック
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たとえ周りの全員に絶望的だと言われようと、負けるかもしれないと考えることを拒否し、力ではなく知恵を使うことによって、状況を一変させるアイデアをつかむことだ(ニルトン・ボンダー:ブラジルのラビ)
伝統的にユダヤ教では、「世界は目に見えるものと見えないもので構成されている」とされています。そして、イディシエ・コップ(ユダヤ人の頭のなか)を使うことによって、目に見えることの裏に隠されたことや、隠されていることを指し示す、目に見える現象を知ることができるのです
イディシエ・コップの5つの要素
・実践能力―環境変化に対して、実用主義と適応性をもって対処する
・無制限思考脳力―独立独歩で思考する能力を鍛える
・頭脳鍛錬フリーク―読解力、分析的思考を鍛え、学習する癖をつける
・頭脳に国境なし―自分の文化を維持しながら、世界に飛び込む
・ココロは頭脳の一部―個人的及びコミュニティーレベル両方で、他人を思いやる
舌の先には、世界が広がる(イディッシュ語の格言)
何かいいことが起きるに違いないと信じ、そのために生き残りたい
と切に思うこと
ビジネスの場面での「サバイバル」
・環境変化とともに出現するチャンスを見つけること
・顧客第一主義の精神を持ち、競合に勝つこと
・損切りすること
「知らないことは何かを知れ」。あなたの知識の限界を知れ(中略)
そうすれば、今の状況を改善することができるのです
自分のアタマの中にある「ゲットー」から抜け出せ
そうすれば、思いもよらないチャンスが訪れる
身の丈に合ったリスクだけ取れ
そして、常に失敗した場合の予備プランを用意しよう!
逃げて生き延びる者には、また戦うチャンスがやってくる(ソロス)
損害を与える場合には、一気にやるべきである。そうすれば、痛みを味わわせることも反抗されることも少ない。反対に、恩恵を与えてやる場合は、少しずつすべきである。そうすれば、恩恵のありがたみが長く存続する
物事をシンプルに理解し、シンプルに説明する
他人の言うことや考えで自分を縛らない
「無制限思考脳力」3つの特徴
・権威への挑戦
・異なる意見に寛容
・シカタガナイはあり得ない
もしその規則が不当なら、変えるよう努力せよ!もしくは違う方法を見つけ出せ
イスラエル人は、交渉を個人的なことと受け止めない(中略)交渉を感情とは切り離しつつ、交渉そのものを楽しむことができるので、交渉に成功することができる
「頭脳フリーク」4つの要素
・論理と想像力を同時に使う
・学習好き
・子供を学習好きに育てる
・他人の成功を賞賛する
「頭脳に国境なし」3つの要素
・他国の言語や文化を学ぶ
・非排他的ネットワーク構築
・新しい状況に自身の文化を適合させる
あなたのネットワークが弱い場合、苦しむのはあなただ
(伝統よりも)生き残りと成長のほうが、より重要
「ココロは頭脳の一部」4つの要素
・他人が何を考えているのか推測する
・ユーモアで、光を
・社会正義のために立ち上がれ
・施しをせよ
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ユダヤ人成功の秘密を、宗教や歴史的背景、そしてそこからもたらされる「考え方」に求めた点は新鮮で、読み応えがあります。
また、例としてジョージ・ソロスやリチャード・ファインマンなど、日本人によく知られている人物が取り上げられている点も、よく考えられていると思います。
というわけで、本日の一冊は、
『ユダヤ人の頭のなか』
http://tinyurl.com/68lr6
です。ビジネス書としてはもちろん、ちょっとした教養書としても楽しめる一冊だと思います。
目次
プロローグ 成功の鍵は誰もが持っている
第1部 ユダヤ人ってナンダ?―基礎トレーニング編
(ユダヤ人は世界の影の支配者?ユダヤの歴史早わかりで、結局ユダヤ人って、誰のこと?)
第2部 ユダヤ人の頭のなか―応用トレーニング編
(イディシェ・コップは、ユダヤ式思考の技術実践脳力を鍛えろ思考脳力に制限なし ほか)
エピローグ マイノリティ意識が未来を開く
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