大規模調査などの結果を分析し、人々がおしゃべりにもとめていることや、おしゃべりの暗黙のルールなどを明らかにした本です。
版元は、社会心理学の本などで有名な北大路書房さん。タイトルは、その名も『おしゃべりで世界が変わる』です。
そういう目的で書かれた本ではありませんが、ネットビジネスにも役立つ、斬新な視点が盛り込まれた内容で、正直、教えるのがもったいない気がします。
では、さっそくその内容を見ていきましょう。
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本日の赤ペンチェック
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■おしゃべりの目標
1.楽しくする
おしゃべりでは、参加者は自分の話したいことを話すのではなくて、「楽しくする」ことが義務づけられているのです。(中略)嘘をついてでもおしゃべりを楽しくすることのほうがずっと大事なことになっているのです
2.お互いの体面を大事にする
3.社会的なつながりを深める
4.共通の課題を成し遂げる
5.共通理解への到達
おしゃべりの目標は、ほとんど意識されることはありません。しかし、おしゃべりを支配する暗黙の了解となっているのも事実なのです。読者にはすすめませんが、意図的にこれらの了解を踏みにじってみると、とても強い反発を生み出すことになります
おしゃべりがスムーズにいくためには、ある言葉を口にしたときにその言葉が発せられる状況とか、前後の文脈にあわせて意味を読み取ってくれることが期待されています。言葉の意味が的確に共有できるという前提がおしゃべりにはどうしても必要になります
社会的関係にあわせて、どんなことばづかいが適切かという判断もおしゃべりをスムーズにさせるための必要な条件になります
おしゃべりという相互作用が、両者の独特な関係性を作り上げていく
おしゃべりとは、おしゃべりのなかで自分の意図を実現しようとする駆け引き
周囲の人と活発に話をするということは、じつはあなただけでできることではないのです。それは、周囲の人があなたに活発に話すことを許しているからなのです。(中略)社会的な性格というものの多くは、おしゃべりをとおして一時的につくられたものにすぎない
■各種リサーチ結果から
・おしゃべりな人ほど長生きをする
・倍以上も女性のほうが「会話・交際」するものが多くなっています
・男性のほうが仕事関係でのおしゃべりが多く含まれている
・「うわさ話」をよくするのは、女性ではなくて男性
・これまでおしゃべりについて、男性の特性として、あるいは女性の特性として語られてきたことがらの多くは、本当の意味での男女差ではない
おもしろいことに、音声の通話は、心理的に重要な話題に使われる
自己表現の拡張につながるメディアだけがおしゃべりのメディアとして成功する
かつてマクルーハンは、メディアは人間の能力の拡張という言い方をしました。(中略)インターネットは、私たちの「おしゃべり能力」を拡張する
おしゃべりのなかの自己表現は、あくまでも相互作用のなかの「自己表現」であり、常に相手の協力が必要になります。もしも、聞き手を無視して自己表現に走る人がいたならば、結局相手から無視されてしまい自己表現できないことになるでしょう。インターネットにおける自己表現では、このような相互作用がずっと少ないのです。(中略)結果として、これまでは口にされることの少なかった話題、奇抜な内容や、社会的に抑圧されていた内容、反社会的な内容などにも光が当たることになります
イギリスの文化人類学者ダンバーは人々が交わす会話のうち30秒以上続いた会話内容を調べたところ、3分の2がゴシップだったと報告しています
あなたの人生に直接影響を与える身近な情報はゴシップからしか入手できないのです。また、ゴシップで得られた情報には交換価値があります。情報社会では、情報を多く発信する人にはより多くの情報が集まるといいます。その理由は情報には交換価値があるからです。(中略)社会的交換においては、金銭のような働きをゴシップはするのです
おしゃべりを宣伝の道具にしようと思っても、自発的に商品の宣伝をしてくれる人などいるはずはないのです。そこで口コミをしてくれる人をたくさん雇って周囲の人に商品の宣伝をしてもらうのですが、宣伝を聞かされた人が次の人に伝える理由はまったくないのです。宣伝は雇われた人が話した範囲以上に広がることは絶対にありえません。その理由はいたって簡単で、おしゃべりは話し手と聞き手の相互作用であり、おしゃべりの内容は、相手が喜ぶこと、自分が楽しいと思えることを話すという原則があるからです
口コミを利用しようとしてもヒット商品は生まれませんが、皮肉なことにヒット商品のすべては口コミによってのみ生まれます(中略)どうして消費者が商品の宣伝媒体になっておしゃべりをしてしまうのか、おしゃべりのなかにどうしてそのような影響力があるのかを考えてみたい
※続きは、ぜひ本を読んでください。
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というわけで、本日の一冊は、
『おしゃべりで世界が変わる』
http://tinyurl.com/5vdq9
です。正直言って、これほどいい内容とは思いませんでした。著者が「うわさ研究の第一人者」とマニアックな肩書きであること、科学的切り口で書かれているということで、期待はしていたのですが、それをはるかに上回る内容なので、これ以上は本書に譲ることにします。ぜひ、みなさん読んでみてください。
目次
はじめに
第1章 人はなぜおしゃべりをするのか
第2章 おしゃべりの行動学
第3章 メディアのなかのおしゃべり
第4章 インターネットがつくるおしゃべりの世界
第5章 うわさというおしゃべり
第6章 口コミというおしゃべり
第7章 組織のなかのおしゃべり
第8章 ワイドショーのなかのおしゃべり
終章 おしゃべりが世界をつくる
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