【野村克也が教える、リーダーのための論語】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093881510
本日の一冊は、ヤクルトを三度日本一に導いた名将、野村克也氏が、論語の教えと絡めて、自身のマネジメント哲学を語った一冊。
「野村の言葉」「論語」「通解」「本文」の4つのパートに大きく分かれており、論語を読みながら、マネジメントの要諦を学ぶことができます。
本書は、もともと野村さんが論語読みだったことから生まれているわけではなく、周囲の方に、「監督の口にされることが、ずいぶん『論語』に重なるんですよ」と言われたのがきっかけだとか。
実際、著者がじっくりと論語を読んでみたところ、確かに考え方の重なる部分があったらしく、それが理由で本書の出版と相成ったようです。
読んでみると、これまでの著書に書かれていた主張と重なるものも多く、相変わらずの野村節だったりするのですが、人を生かすための著者の考え方は、リーダーであれば、学んでおいて損はないでしょう。
ちなみに、個人的に気になったのは、以下の3つ。
・本当にいいチームをつくろうと思えば、「中心選手」が必要となる
・管理する者は、絶対に結果論で部下を叱ってはいけない
・「人を育てるということは、自信をつけさせる」ということだ
出版はとかく結果で評価される世界ですから、ついつい自分も部下にそんな態度をとってしまうのですが、真に人を生かそうと思えば、それは改められなければならないと、痛感しました。
30代半ばを過ぎ、指導者の立場に立ったなら、ぜひ読んで参考にしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間は他人の評価で生きている
本当にいいチームをつくろうと思えば、「中心選手」が必要となる。そして、それは野手のなかから現れるのが理想だ。どんなにすばらしいピッチャーがいても、登板するのはせいぜい一週間に一回だ。それではシーズンを通しての“中心”とはなりえない。やはり、常に試合に出ている野手のなかから「中心選手」を育てていくべきなのだ
自己評価なんて、自己愛に満ち満ちたもので百害あって一利なしだ
子曰わく、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩(さと)る
管理する者は、絶対に結果論で部下を叱ってはいけない
人生の本当の価値は金や名誉を超えたところにある
子曰わく、これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず
人間的成長なくして技術的進歩はない
子曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず
私の好きな言葉に「小事が大事を生む」というのがある。いきなり大きいことを目指すのではなく、小さい事柄を積み重ねてこそ大きな目標が達成できるという意味だ
明確な目的意識をもち、現状と目標の「差」を認識し、克服するために頭をふりしぼれる者だけが一流選手として生き残っていく
依頼心が強すぎると、人間の思考力は著しく衰える。思考が止まれば進歩も止まる
「人間は他者との差や違いで勝負する存在」なのだから、よほど意識していなければ気がつかないような“小事、細事”にまで神経を行き届かせ、その積み重ねによって自己を確立するべきなのである
監督にとって、選手に優越感や優位性をもたせることは重要な役割
人間は無視・賞賛・非難という段階で試されている
「人を育てるということは、自信をつけさせる」ということだ
甘い自己評価は、満足、妥協、限定という「三大タブー」を引き起こす元凶であり、百害あって一利もない。そもそも評価とは常に変化していく「生き物」のようなものである。自分が気づかないうちにどんどん変わっていく。そのつど他人から下されて初めて意味をもつものである
人生とは、文字どおり「人に生かされ、人を生かす」ことだ。それができて初めて、「人として生まれ、人として生きていく」ことができる
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『野村の実践「論語」』野村克也・著 小学館
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093881510
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◆目次◆
まえがき 「阪神の謎」
第一章 絶え間なき自己研鑽が人間力を育てていく
第二章 リーダーとしての力を身につけよう
第三章 自分を導く本物の師の見つけ方
第四章 礼節を知り、徳を磨く生き方を学ぼう
第五章 逆境にも負けない強い組織をつくる知恵
あとがきに代えて 「孔子の生涯」
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