2012年10月24日

『なぜ選ぶたびに後悔するのか』バリー・シュワルツ・著 Vol.3018

【来た~!掘り出し物!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270007087

つい最近まで、自宅の購入と子どもの進学のことで同時に頭を悩ませており、一瞬、ものすごく精神を病んでしまいました。

なぜこんなことになったんだろう? と思い、その理由を追い求めていたところ、素晴らしい掘り出し物に出合ったので、本日はそのとっておきの一冊をご紹介します。

本書『なぜ選ぶたびに後悔するのか』は、アメリカの心理学者で、スワスモア大学教授のバリー・シュワルツ氏が書いた一冊。

著者は、ポジティブ心理学の生みの親の一人として知られる、マーティン・セリグマンとも親交のある人物です。

本書が扱っているのは、選択肢が多すぎる現在の世界で、われわれが知っておくべき心理メカニズムと、賢い選択のノウハウ。

選択肢があればあるほど不幸になるという、現代社会特有の「不幸のメカニズム」。

その知られざる実態と、どう対処すれば幸せな生き方ができるのか、具体的な対処法が示されています。

本書によると、われわれは<以前にもまして買い物に時間を費やしながら、以前ほどたのしいと思わなくなっている>。

それがハイテク家電であれ、学校の授業であれ、医療であれ、選択肢はどんどん広がって、自由はかつてないほどに拡大している。にもかかわらず、われわれは確実に「不幸」になっているのです。

ではなぜそんなことが起こるのか?

本書では、そのメカニズムを「機会コスト」の概念を使って、具体的に説明しています。

「機会コスト」は経済学ではおなじみのキーワードですが、要するに、別の選択肢を選んでいれば手に入ったはずの機会を失うコストのこと。

お金持ちは、一見、何でも買えて幸せそうに見えますが、実際には、選択肢が増えれば増えるほど、あきらめざるを得ない機会も増えるわけで、それが、お金持ちを「不幸」にしているのです。

商品や機会が増え、情報量も増大している現在の社会においては、すべての人が、このお金持ちと同じ、「選択肢による不幸」
に直面していると言えるでしょう。

では、どうすればこの不幸を断ち切ることができるのか?

本書には、そのための方策がいくつも紹介されていますので、そのうちのいくつかをご紹介しましょう。

<選ぶときを選ぶ>
これは、選択すべきでないときは、選択自体を見送る考え方で、たとえば「結婚は○歳になってから考える」と決めておけば、その時が来るまで悩まずに済むわけです。

<決断は取り消し不能にする>
取り消し可能にしていると、いつまでも、選択肢の間で悩み、機会コストを意識しては不幸になってしまいます。決断を取り消し不能にすると、選んだオプションの評価を引き上げようとさまざまな心理プロセスが働くので、幸福になるのです。

<「感謝の心」を実践する>
選んだオプションの良い面に感謝すると、主観的な評価が上がるので、幸せになれる。「感謝することを五つ書き出す」などの方法も効果があるそうで、やはり自己啓発書がいう「感謝」は心理学的にも効果があるようです。

この3つのほかにも、<後悔しない><他人との比較はほどほどに><制約を歓迎する術を学ぶ>など、いくつか賢い選択のヒントが示されており、じつに参考になります。

「最近どうも不幸だ」「精神的に疲労している」という方は、ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ハーシュの説によると、社会が豊かになり、必需品の需要が満たされるにつれ、わたしたちは稀少なものに目を向けるようになる

心理的な負担からいうと、候補のオプションがひとつ増えるたびに、どれかを選ぶことであきらめざるをえない機会も、ひとつ増えることになる

わたしたちは決断の結果を評価するとき、「オミッション(するべきことをしなかった)」を軽くみようとする傾向がある(中略)オミッション・バイアスとは、もっと遠い過去に下した決断については、逆の方向に作用するらしい

たらればを考えはじめるのは、なにか不愉快なこと、それ自体がネガティブな感情を引き起こすなにかが起こったときだ

下方の反事実思考を、もっと心がければいい。上方のたらればは、つぎはもっとうまくやろうと自分を励ます糧になり、下方のたらればは、思ったよりずっとうまくいったと感謝するきっかけとなる

◆アレックス・マイクロスによる、人間の満足の基準を決める
 「三つのギャップ」
1.自分がもつものと欲しいものとのギャップ
2.自分がもつものと、自分と同等のひとがもっていると思われるものとのギャップ
3.自分がもつものと、過去に自分がもっていた最高のものとのギャップ

すばらしい経験はとっておきにするという方法がある。いくら懐に余裕があっても、極上のワインは記念日のためにとっておく

世の中は広いのだから、中には鯨もいるわけで、比べれば、鮫でさえも小物になってしまう。だから全員を相手にするのではなく、世界に境界線を引いて、「わたしの池」をつくろうとする

自己批判が行き過ぎると、心理的によくない影響をもたらす

◆生活の質を向上させる選択の技術 ※一部紹介
1.選ぶときを選ぶ
3.満足(サティスファイス)を心がけ、最大化(マキシマイズ)を控える
5.決断は取り消し不能にする
6.「感謝の心」を実践する
7.後悔しない
10.他人との比較はほどほどに
11.制約を歓迎する術を学ぶ

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『なぜ選ぶたびに後悔するのか』バリー・シュワルツ・著 武田ランダムハウスジャパン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270007087

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◆目次◆

プロローグ 選択のパラドクス
第1部 なにもかもが選べる時代
第1章 お買い物に行こう
第2章 新たな選択
第2部 選択のプロセス
第3章 決断と選択
第4章 最高でなければだめなとき
    ──最大化(マキシマイズ)と満足(サティスファイス)
第3部 満たされないのはなぜ?
第5章 選択と幸せ
第6章 あきらめた機会
第7章 「もし……していれば」──後悔の問題
第8章 選んだ品にがっかりするのはなぜか?──順応の問題
第9章 比べるとつまらなくみえるのはなぜか?
第10章 選択がうつをもたらすとき
第4部 満足して生きるための選択術
第11章 選択にどう向き合うか
訳者あとがき

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