2012年9月23日

『ザ・プレゼンテーション』 ナンシー・デュアルテ・著 Vol.2987

【名プレゼンの裏側にある、共通の仕掛けとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478016968

みなさんは、優れたプレゼンターが目指すべき究極の目標、「STARの瞬間」をご存じでしょうか?

ここで言うSTARとは、夜空に輝く星のことではありません。

STARとは、<Something They’ll Always Remember>の略。

つまり、<プレゼンのあとで聴衆が話題にしたり新聞の見出しになるくらい、強い衝撃や深い感動をともなう瞬間のこと>です。

この「STARの瞬間」が実現できれば、あなたのアイデアは関係者の間で話題となり、またメディアがこぞって紹介してくれるようになります。

歴史的なアイデアのほとんどは、この「STARの瞬間」を経て大衆のもとへ運ばれ、現在も企業の優位性を支えているのです。

本日ご紹介する『ザ・プレゼンテーション』は、この「STARの瞬間」を生み出す技をはじめ、プレゼンに関わるあらゆる技術を紹介した、話題の一冊。

著者のナンシー・デュアルテさんは、20年以上にわたりプレゼンテーションの制作・デザインを専門にする世界でも数少ないエージェンシーのひとつ、デュアルテ・デザインのCEOです。

クライアント名を見てビックリしますが、彼女のクライアントには、フェイスブック、マイクロソフト、ゼネラル・エレクトリック、グーグル、アル・ゴア氏、ツイッター、TED、アドビ、シスコ、HP、ノキアなど、名立たるグローバル企業、有名人が名を連ねています。

つまり、われわれが感動した彼らのプレゼンテーションは、この著者によって仕掛けられていたということです。

では、そのノウハウはいったいどれほどのものなのか?

……読んでみて、正直完敗しました。

プレゼンをメリハリのあるものにするには、<内容のコントラスト、感情のコントラスト、伝達のコントラスト>が大事というくだりや、プレゼンの発端と中盤、中盤と結末の間には、「冒険への誘い」と「行動への誘い」を入れるというくだり、またビックアイデアの3要素など、価値ある情報が、これでもかというくらい、びっしり詰まっています。

有名なシド・フィールドの3幕構成や、ジョーゼフ・キャンベルの神話研究から導き出された「ヒーローの旅」など、押さえるべきところはきっちり押さえ、おまけにビル・ゲイツやリチャード・ファインマン、スティーブ・ジョブズ、マイケル・ポーランなど、プレゼンの名手たちのプレゼン分析も行っています。

スケール、比較、文脈を使って数字で人を感動させる方法なども書かれていますが、ここでは、冒頭で述べた「STARの瞬間」を生み出す技術を紹介しましょう。

「STARの瞬間」を生み出すのに必要なのは、以下の5要素。

・印象的な演出
・サウンドバイトをくりかえす
・心をゆさぶる映像
・心を動かすストーリー
・衝撃的な数字

スティーブ・ジョブズが行なったMacBook Airのプレゼン、ビル・ゲイツが瓶に入れた蚊を会場に放ち、マラリアの深刻さを訴えたスピーチ、ダブルチーズバーガーを作るのにどれほどの原油が必要か見せたマイケル・ポーランのプレゼンにも、この5要素が含まれているのです。

プレゼンの名手になりたければ、必読の一冊。ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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躍動感あふれるプレゼンテーションには、潮の満ち干に似た動きがあります。このメリハリのある動きを生みだすもの、それはコントラスト(対比)です。内容のコントラスト、感情のコントラスト、伝達のコントラスト。何か新しい展開がひっきりなしに起こり、それがだんだん明らかになっていくとき、ちょうどつま先がコツコツと心地よいビートを刻むように、脳は楽しげにアイデアをとり入れます

プレゼンテーションでは、「私(当社)のことを聴いてほしい」といった傲慢な態度で壇上に上がるのではなく、「これはみなさんに関するお話です」という謙虚な姿勢で臨みましょう

◆シド・フィールドの3幕構成
・第1幕:ストーリーを立てる登場人物を紹介し、ヒーローとその他の人物の関係を設定し、ヒーローの満たされない欲求を明確にする。こうしてプロットが決まる
・第2幕:葛藤に直面し、ドラマチックなアクションが展開される。主人公は欲求の達成を阻む障害に直面する
・第3幕:ストーリーが解決をみる。ただしエンディングではなく、あくまで問題の解決。主人公ははたして成功するのか、失敗するのか……?

プレゼンテーションには、明確な「発端」「中盤」「結末」がなくてはなりません。また、発端と中盤、中盤と結末のあいだにはふたつの明確なターニングポイントが存在します。第1のターニングポイントは「冒険への誘い」。聴衆に「現在の姿」と「未来の姿」のギャップを示し、現状に満足している聴衆の気持ちにゆさぶりをかけます(中略)第2のターニングポイントは「行動への誘い」。ここでは「何をするべきか」「どうやって変わるべきか」を明確にします

◆ビッグアイデアの3要素
1.あなた独自の視点が明確に表現されていること
2.何が危機にさらされているかを伝えること
3.完全な文章であること(名詞と動詞が必要)

◆数字の裏にあるストーリーを説明する方法
・スケール ・比較 ・文脈

◆STARの瞬間・5つのタイプ
(STAR:Something They’ll Always Remember)
・印象的な演出
・サウンドバイトをくりかえす
・心をゆさぶる映像
・心を動かすストーリー
・衝撃的な数字

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『ザ・プレゼンテーション』ナンシー・デュアルテ・著 ダイヤモンド社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478016968
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◆目次◆

第1章 心を動かすプレゼンテーション
第2章 神話や映画に学べ
第3章 聴衆を知る
第4章 旅の計画
第5章 内容を練る
第6章 構成を考える
第7章 記憶に残る何かを伝える
第8章 改善の余地はどこにでも転がっている
第9章 世界を変えよう
終章 インスピレーションはどこからでも得られる

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