2024年4月24日

『世界は経営でできている』岩尾俊兵・著 vol.6465

【人生を経営するための賢明な考え方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065346444

本日ご紹介する一冊は、慶應義塾大学商学部准教授の岩尾俊兵さんによる、痛快エッセイ集。

人生に経営の考え方を持ち込めば、貧乏が克服でき、恋愛を成功させ、家庭をうまく運営でき、悩みもなくなる。

目次のなかでどれかが引っ掛かる人は、ぜひ読んでみるといいと思います。

「おわりに」に書いてある通り、本書のメッセージは、極めてシンプルです。

(1)本当は誰もが人生を経営しているのにそれに気付く人は少ない
(2)誤った経営概念によって人生に不条理と不合理がもたらされ続けている
(3)誰もが本来の経営概念に立ち返らないと個人も社会も豊かになれない

人生の「不条理と不合理」の例として、恋愛・婚活が挙げられていますが、ここを読めば、本書がどんな本なのか、わかりやすいと思います。

<誰しも恋愛において重要視する要素を持っている。ネット上にあふれる婚活体験談・恋愛体験談を総合すると、性格、話の面白さ、収入、顔、体形、ファッションセンス、趣味、金遣い、家事への積極性、マザコンかどうか……などなどだろう。これらの要素はそれぞれ独立だとする。(中略)十個のこだわり要素があるなら一〇二四分の一(約千人に一人)、こだわり要素が二十個なら一〇四八五七六分の一(約百万人に一人)しか「普通の人」は存在しない。さらに難しいことに、仮にこうした「激レア普通人材」に出会えたとしてもそこに「相手が自分を好きになってくれる確率」を掛け算しなければいけない>

では、どうすればこのような不条理・不合理を乗り越え、成功できるのか。

恋愛の例で、著者はこう述べています。

<誰もがこだわるような要素を気にしなければ一挙に競争率が下がる>

本書はこのように、われわれの愚かさを指摘し、どうすれば合理的で良い生き方ができるのかを示唆してくれる本です。

これで経営が学べるわけではありませんが、人生で大切な考え方は、ざっくり理解できると思います。

さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。

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お次は、どこかから派遣されてきた役員が「競争意識が足りない。今度からは毎月の報告会で営業成績が平均未満の人間はクビだ」と宣言した状況だ。すでに大笑いされている方は鋭い。この発言は論理的に根本から間違っている。(中略)個人の成績に正規分布に従うばらつき(分散)がある二人以上の集団において平均を計算すれば、「集団の半分近く」は基本的に「平均未満の成績」になる

本来の経営は「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」

目的に対して現在の手段が適正かどうか点検しなければ過大な手段を用いてしまうことになる

「そんなの無理」ならどのような手ならば仕事自体を楽しめるようになるのか考えて、よりよい策を生み出し続けるのが経営

「整理整頓する」ことそのものではなく「物が散らからない」ことが大事

現代の夫婦は、共働き家庭であればお金がある代わりに余暇時間を夫婦で奪い合い、片働き家庭であれば時間がある代わりにお金を夫婦で奪い合う

誰しも恋愛において重要視する要素を持っている。ネット上にあふれる婚活体験談・恋愛体験談を総合すると、性格、話の面白さ、収入、顔、体形、ファッションセンス、趣味、金遣い、家事への積極性、マザコンかどうか……などなどだろう。これらの要素はそれぞれ独立だとする。(中略)十個のこだわり要素があるなら一〇二四分の一(約千人に一人)、こだわり要素が二十個なら一〇四八五七六分の一(約百万人に一人)しか「普通の人」は存在しない。さらに難しいことに、仮にこうした「激レア普通人材」に出会えたとしてもそこに「相手が自分を好きになってくれる確率」を掛け算しなければいけない

大帝国はしばしば世界征服を目的に掲げる。この目的を達成するために大帝国は支配地域に重税を課し圧政を敷く。そうしないと戦争を続けられるだけの資源が得られないからだ。こうした政治においては「国家を目的とし、国民を手段とする」という逆転現象が起こっているため、政権に徐々に綻びが生まれる

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アマゾンレビューにもあるように、ちょっと無理に笑いを取りに行っているところがありますが、人生における示唆に富んだ内容だと思います。

現在の日本が「価値有限思考」に陥っているという指摘はごもっともで、われわれは価値無限思考でもっと価値創造に努めるべきだと思います。

この国を良くするために、また自分の人生を自主的に経営するために、ぜひ、読んでおきたい一冊です。

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『世界は経営でできている』岩尾俊兵・著 講談社

<Amazon.co.jpで購入する>
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0CS3M574M

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◆目次◆

はじめに:日常は経営でできている
1 貧乏は経営でできている
2 家庭は経営でできている
3 恋愛は経営でできている
4 勉強は経営でできている
5 虚栄は経営でできている
6 心労は経営でできている
7 就活は経営でできている
8 仕事は経営でできている
9 憤怒は経営でできている
10 健康は経営でできている
11 孤独は経営でできている
12 老後は経営でできている
13 芸術は経営でできている
14 科学は経営でできている
15 歴史は経営でできている
おわりに:人生は経営でできている
謝辞:本書は他力でできている
タイトルはパロディでできている

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