2023年11月14日

『問いかけが仕事を創る』野々村健一・著 vol.6357

【IDEO直伝の質問ノウハウ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404082489X

本日ご紹介する一冊は、トヨタ、ハーバードビジネススクールを経て、IDEOの日本オフィス立ち上げに参画した著者が語る、問いの力。

ご存知のように、IDEOは、アップルの初代マウスをデザインしたことで知られる、世界トップクラスのデザインファームです。

最近では、さまざまな組織のイノベーションを促すコンサルティング会社としても活動しており、本書には、そのエッセンスが紹介されています。

もともと、2018年に単行本として出されていた『0→1の発想を生み出す「問いかけ」の力』という本を新書化したものですが、昨今の生成AIの隆盛を受け、加筆しています。

生成AIを前に、多くのビジネスパーソンが日々、どんな問いかけをするか悩んでいると思いますが、本書はそれに明確なヒントを与えてくれるものです。

どんな問いかけをすればイノベーションが起こるのか、組織が一丸となってやる気が出るのか、本書にはその具体的ヒントが書かれています。

「どうすればBrooksのサドルのうれしさを、最初の使い込み期間抜きで体験してもらえるだろうか?」と考え、大ヒット商品を生み出した自転車サドルメーカーのBrooks、「どうすればたくさんある薬を毎週手作業でピルケースに詰めないで済むようにできるだろう?」という問いかけから始まり、約1000億円でアマゾンに売却された「ピルパック」のアイデア、従来ターゲットではなかった高齢者と子どもを観察して生まれたキッチンツール企業チリス(Zyliss)の新しいキッチン用具…。紹介されている事例も大変興味深く、大企業のイノベーションのヒントとしても読める内容です。

「良い問いかけ」の条件についてもまとめられており、これは「買い」の一冊だと思います。

アイデア発想の本は数多くありますが、本書は生成AIの時代にこそふさわしい、アイデア発想のヒント集です。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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今求められているのは、「新しい選択肢を創造」すること

成熟したマーケットにおいては、その企業の持つ視点、ビジョン、ミッション、バリュー、取り組んでいる挑戦といった、無形の「ストーリー」ともいえる価値が差別化要素になる

デジタル戦略に取り組むことでその企業が本質的に問われるのは「自社がデジタルな体験を通じてユーザーに提供したい無形資産は何か」ということ

“なぜ”だけでは原因にしかたどり着けない

戦略から文化へ

なかには、「質問に質問で返すな」などと言う人もいますが、実は今、本当に必要なのは「質問に質問を重ね合えるようなチームの関係」なのです。質問に質問を返せない関係は、基本的には一方通行で、共創の土壌としては望ましくありません

そもそも解かれるべき問題は何かを探り当て、問いそのものを設定する能力が求められている

アイディアをゼロから発想する段階では、サンプル数にこだわるのではなく、「個人」に焦点を当てることをおすすめします

彼らには共通点があることがわかりました。高齢者も子どもも指先が器用でないので、包丁を手のひら全体でつかもうとするのです。これはチリスにとって新たなヒントでした。「どうすればキッチン用具を指先の力や器用さがない人でも使いやすくできるだろうか?」(中略)そうして誕生したのが、持ち手の部分が丸くて太いキッチン用具です。手のひら全体の力を使えるこのシリーズは、同社のヒットアイテムになっています

どうしても難しいという方のために練習用のテンプレートを用意しました。どのようにして、[Who=どのような人/状況]に対して、[Action/What=どのようなアクションを起こす/促す/提供する/作り出す]ことで、[Change Something=与えたいインパクト]を届けることができるだろうか?

好奇心が強く、問いかけに取り組んでいる会社は、「他流試合」を好みます

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元トヨタの人が、<“なぜ”だけでは原因にしかたどり着けない>と言って、クリエイティブにおける原因追求型の思考の限界を指摘しているところが面白いですね。

IDEOで鍛えられた著者が教える、問いのエッセンス。

ぜひ、読んでみてください。

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『問いかけが仕事を創る』野々村健一・著 KADOKAWA

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

はじめに
第1章 「これからの時代に求められる力とはなんだろうか」
第2章 「0→1の発想に役立つのはどんな問いか」
第3章 「“問いかけ”は組織をどう変えるか」
第4章 「問いかける力を磨くためにできること?」
第5章 「仕事を、人生を楽しくするために、今日から何ができるだろうか」
第6章 「生成AIが台頭する時代の問いかけとは?」
おわりに

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