2023年10月11日

『起業家という冒険』成田修造・著 vol.6334

【「大企業勤務=優秀な人」の終わり】
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本日ご紹介する一冊は、過激な発言で注目されがちな学者・成田悠輔氏の弟、成田修造氏による一冊。

メディアでは、兄の露出が目立ちますが、じつは弟の修造氏は、大学4年生でクラウドワークスの執行役員となり、株式上場を果たした人物。

本書では、そんな修造氏が、起業家精神とこれからの時代の働き方を論じています。

14歳の頃に父が家族を捨て、まもなく母親が脳出血で半身不随に。家事や介護の負担がのしかかる厳しい環境下で、2人がどうやって成長してきたのか、どうやって起業家としての素地を築き上げてきたのかがわかる、興味深い内容です。

ベンチャー企業で学生インターンから正社員に抜擢された話、一度は学生起業をするも、怖くなってビジネスから撤退した話など、これからベンチャー就職、起業を考える人には、興味深い体験談ではないでしょうか。

現在、日本で起業を狙うための現実的な選択肢が示されており、これから起業する人には、良い指針となる一冊。

大企業を辞め、ベンチャー転職をしようと考える人にも、役立つ内容だと思います。

社内起業のノウハウや目標達成の方法、自分の強みの見つけ方など、後半のノウハウ部分は、正直、よくある内容ですが、まだビジネス書をそんなに読んでいないという若い方には、ちょうど良いかもしれません。

本書の最大のコンテンツは、おそらく兄の悠輔氏が教えてくれたという、難解な「36冊のリスト」。

大西巨人の『精神の氷点』、小島信夫の『抱擁家族』、田口賢司の『ラヴリィ』……。

これ以上、具体的に触れるのは避けますが、おそらく読書家なら、読破したいと挑戦心が湧いてくる内容だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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リスクをうまくとることで、人生は好転する

僕が起業に興味を持ったのは、またしても兄がきっかけでした。大学受験が終わった頃、兄が「これは読んでおいたほうがいい」と、次の2冊の本を教えてくれたのです。大前研一『企業参謀』(講談社文庫)保田隆明『企業ファイナンス入門講座』(ダイヤモンド社)

2冊の本を読んだのとほぼ同時期に、兄は僕に2つのアドバイスをくれました。「これからの時代はIT・ファイナンス・起業家精神のかけ算が重要になる」「やりたいことと、お金の交差点を探せ」

外部の専門家に頼りつつ、一緒に働いて学ばせてもらう

クラウドワークスが創業した2011年と2022年を比べると、スタートアップの資金調達額は10倍以上に膨れ上がっています

日本も徐々に米国の状況に近づいており、スタートアップの社員の年収が、大企業の社員の年収を追い抜いています

政府は2027年度にスタートアップへの投資額を現在の10倍を超える10兆円規模にするとともに、日本からユニコーンを100社、スタートアップを10万社創出することにより、日本が世界有数の“スタートアップ集積地”になることを目指しています

米労働省の調査によると、2022年時点の米国のフリーランス人口は7040万人で、全労働者人口の36%を占めています。しかもフリーランス人口の割合は、高学歴になるほど高くなり、大学院修了の学歴を持つ労働者の51%がフリーランスです

社内起業を経験する3つのルート
1.社内公募に応募する
2.新規事業担当者として抜てきされる
3.自ら新規事業を上司に提案する

若い世代が起業する場合、次の3つのポイントを押さえておくことが大事です。
1.「大人」が理解できない分野で勝負する
2.行動力で勝てる領域を選ぶ
3.注目されていない市場で戦う

「世の中が進む方向」と「自分がやりたいこと」さらに「今の自分ができること」の三角形を描いて考えてみてください

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理論・ノウハウ面で特に目新しいものはないのですが、著者の体験やベンチャー界隈で得た知見、そして何より起業家精神に関する考えは参考になると思います。

個人的には、兄・成田悠輔氏が高校時代、教えてくれたという「36冊のリスト」が一番刺さりました。

これは、読書マニア必見の読書リストですね。

ぜひ読んでみてください。

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『起業家という冒険』成田修造・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

はじめに
第1章 借金まみれの家庭で覚醒した起業家人生
第2章 スタートアップは日本に残された唯一の希望
第3章 5つの起業戦略
第4章 自分の人生は自分でマネジメントする
おわりに

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