2023年10月13日

『新入社員は78歳 小さな会社が見つけた誰もが幸せを感じられる働き方』 市川慎次郎・著 vol.6336

【いい話。】
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本日ご紹介する一冊は、NHK「ニュースウォッチ9」、フジテレビ「Live Newsイット」などで話題の株式会社中央シャッター、株式会社横引シャッターの代表取締役を務める市川慎次郎さんによる著書。

『新入社員は78歳』というのは、同社が雇った新入社員が78歳という意味で、決して78歳新入社員のドキュメンタリーではありません。れっきとした経営書です。

本書では、平均年齢57.8歳、定年なし、年齢・性別・国籍一切不問のユニークな経営を実践する著者が、社員から信頼される職場づくりの秘訣を述べています。

給与の遅滞が1億円、税金の滞納が1億円、仕入れ先の未払いが1億円、銀行借り入れが6億という、最悪の状態から、どうやって会社を再生してきたのか、泥臭い舞台裏が語られています。

ザルだった経理を見直し、額面以上の効果がある取引先から先にお金を返す。社員にお金を払う時もインパクト勝負。

なるほど、ここまで追い込まれたくはありませんが、追い込まれた時、どう物事を進めればスムーズに問題解決できるのか、その手順がよくわかります。

また、「中小企業に定年なんていらない」という言葉に象徴されるように、中小企業ならではの上手い人材活用、マネジメントの方法が書いてあり、これは使えると思いました。

休みの日をすべて有給にする、銀婚式の記念旅行にはお祝いを渡す、若い社員が合コンに行く時は早めに退社させる…。

普通じゃ考えられませんが、ロジックを知ると、なるほど中小企業はこの方がいいかもしれないと思うようになりました。

大企業が太っ腹な福利厚生やルールで来るなら、中小企業は「つながり」で勝負する。

安心して働ける、新しい時代の中小企業のモデルだと思いました。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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確かに数年前に入社した社員は78歳でしたし、94歳まで働いた社員もいました。年齢だけでなく、国籍や人種もさまざま。障がいがある人だっています。そうした人たちを雇うのは当然、戦力としてであって、小さな会社が生き残るためのパフォーマンスでは決してなく、私は信念をもって彼らを雇用しているのです

中小企業の社長さんたちの話を聞くと、みな大企業を真似て定年制度を取り入れていたり、書式とマニュアル通りの社員面談をしていたりします。しかし、中小企業が大企業と同じことをやっていたら、体力のある大手には勝てません

調べていくうちに、「会社の借金」といえるものは4つに分類することができました。「給与の遅滞」「税金の滞納」「仕入れ先に対する未払い(買掛金の支払い)」「銀行借り入れ」です

誰も読まない新聞を4社も契約していたり、昔、勤めていた社員の保険料をずっと支払っていたこともありました。

営業者にかけていた保険もそうです。うちのように10台以上の大口契約になると保険料が割引にはなっていましたが、ちょっとした事故が多かったため、保険料は高額になっていました。そこで社内で安全講習をするなどして事故減に取り組みました。すると保険料が8年後には5割減ったということもありました。ここで毎年50万円削減することができました

通常、借金の返済は「うるさいところから」と言われています。しかし、私はそうではなく、「10万円返したら10万円以上の効果があるとこから返していこう」と考えました

税金の滞納については、財産の差し押さえができるのは、滞納者が支払う意思を示さないときだけ

借金返済には「痛くない数字」を積み重ねていくことが大切

誰かが休む、中抜けするときは、そのぶんの仕事をほかの誰かがやらなければいけませんから、周囲の人にお願いすることになります。だから、「みんなも自分がいつかお願いするときが来るんだから、自分がお願いされたときは快く受けてあげなよ」と伝えています

ルールや決まりごとではなくモラルで動かす

中小企業に定年なんていらない

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論理的にお金を扱い、人には情けを持って対峙する。

中小企業の経営の見本だと思います。

企業再生エピソード、社員一人一人のエピソードも面白く、読み物としても楽しめました。

ぜひ読んでみてください。

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『新入社員は78歳 小さな会社が見つけた誰もが幸せを感じられる働き方』
市川慎次郎・著 かんき出版

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◆目次◆

STEP1 プロローグ
STEP2 思い込みの軽量化
STEP3 体の軽量化
STEP4 食事の軽量化
STEP5 脳疲労とストレスの軽量化
STEP6 人間関係とコミュニケーションの軽量化
STEP7 お金と働き方の軽量化
エピローグ   
参考図書

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