2023年8月28日

『行動経済学が最強の学問である』相良奈美香・著 vol.6304

【これでバッチリ。】
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本日ご紹介する一冊は、オレゴン大学ビジネススクールで行動経済学を学び、卒業後に「行動経済学コンサルティング会社」を設立、セイラー教授の共同研究者であるベナルチ氏の下で有名な「スマートプラン(=明日のために積み立てようSave More Tomorrowプラン)」を手掛けた著者が、行動経済学の基礎知識を体系化した一冊です。

類書が雑多な知識をただ紹介するだけだったのに対し、本書では、「認知のクセ」「状況」「感情」の3つの視点から、われわれが非合理的な意思決定をしてしまう理由を解説。

「ナッジ理論」から「プロスペクト理論」「不確実性理論」「アフェクト」「メンタル・アカウンティング」「フレーミング効果」「アンカリング効果」まで、主要58の理論を、きれいにまとめ上げています。

本書では、繰り返しこの「体系化」のことが強調されていますが、個人的には今をときめく先端企業が、どうやってこの行動経済学を活用しているか、具体例を示した点、最新の実験結果と著者の経験が書き込まれている点がいいと思いました。

マーケティングやビジネスの意思決定に役立つのはもちろん、人生の主要問題をどう決定するか、悩んだ時にも役立つ内容だと思います。

どうすれば、「認知のクセ」や「状況」「感情」に振り回されず、賢明な意思決定ができるのか。

リーダーならずとも知っておきたい知識が、事例入りでわかりやすくまとめられています。

ある程度、行動経済学の本を読んだという方も、知識をアップデートするために読んでおくといいと思います。

見た目やページ数はまあまあごついですが、読みやすくまとめられているので、苦労なく通読できると思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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1.イナーシャ(Inertia=慣性):人間には、面倒なことはやりたがらず「このままでいいや」としてしまうバイアスがある。
2.損失回避(Loss Aversion):人間は、プラスの感情値(道で千円札を拾ったときの喜び)より、マイナスの感情値(千円札を落としたときの衝撃)のほうが大きい
3.現在志向バイアス(Present Bias):人間は「今この瞬間」に重点を置く

情報や選択肢が多すぎると、人は最適な意思決定ができないばかりか意思決定自体ができなくなる

アマゾンやディズニーなどの配信サービスも同じで、プログラムの第1話が終わると自動的に第2話が始まりますが、思い出してみればDVDの時代は自分で再生し、その都度「見続けるかどうか」を決定していました。その結果、今のようにだらだらと見続けてしまうことは少なかったのです

「選択アーキテクチャー」
環境を操作することで、人を自分が望む方向に動かす

人はどんなときにシステム1を使いがちか
・疲れているとき
・情報量・選択肢が多いとき
・時間がないとき
・モチベーションが低いとき
・情報が簡単で見慣れすぎているとき
・気力・意志の力(ウィルパワー)がないとき

メンタル・アカウンティング
人の心の中にはそれぞれのお金が何のために使われるべきか、無意識に仕分けがされ、その仕分けによって同額のお金でも価値が変わってきます

人は垂直のものを見ると、無意識のうちに「人の上に立つ」「出世する」「優位性」といった感覚を抱く

ゼロに近い数値(今日と1カ月後)の差は意識しやすいが、ゼロから遠い数値(1年後と2年後)の差は意識しづらい

「かかった時間が長いほど価値がある(逆に短いと価値がない)」と思ってしまう認知のクセがある

「自分以外のもの(人・状況)にコントロールされている」と強く感じている人は、ボーダーや囲み枠など境界線があるパッケージを好む

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ネットフリックス、アマゾン、ディズニー、TikTokがなぜわれわれにダラダラお金や時間を使わせることに成功しているのか、その理由が一発でわかる内容です。

ビジネス、マーケティング、営業のヒントに、ぜひ役立てたい内容です。

ぜひ、読んでみてください。

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『行動経済学が最強の学問である』相良奈美香・著 SBクリエイティブ

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◆目次◆

序 章 本書といわゆる「行動経済学入門」の違い
第1章 認知のクセ
第2章 状況
第3章 感情
エピローグ あなたの「日常を取り巻く」行動経済学

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