2023年7月31日

『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健・著 ならの・絵 vol.6287

【執筆力を上げたい人に。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4591178544

本日ご紹介する一冊は、『嫌われる勇気』の執筆を担当した古賀史健さんが、小説仕立てで書いた、文章術の本。

『嫌われる勇気』
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勉強も運動もダメで、ずっといじめられていた中学生のタコジロー君が、ヤドカリのおじさんと出会って、日記を書くことで、自ら変わっていくというストーリーです。

正直、小説仕立てで書く必要性が感じられなかったのですが、さすが一級のライター。後半に出てくる文章アドバイスには目を見張るものがあります。

「ことばの色鉛筆」を増やす話や、世界をスローモーションで捉え、書くことを増やす技術、手紙のように書くメモ、「大皿料理を、小皿に取り分ける」要領で文章を読みやすくする技術など、執筆を志す人に、知っておいて欲しいノウハウが載っています。

文章を通じて、自分自身の捉え方や世界の見え方が変わることはよくあることですが、本書はそんな文章の側面をより鮮明に描き出した作品です。

よく考えて書くことで、世界の解像度が上がる。日記をつけることで、もう一人の自分が生まれる。

そんな奇跡を体験したい方は、ぜひ本書を読んで、日記をつけ始めましょう。

土井もしばらくサボっていましたが、本書を読んで、ひさびさに日記をつけたい気持ちになりました。

また、著者としてベストセラーを出したい人には、読みやすい文章、読み応えのある文章を書く上で極めて重要なアドバイスが載っています。

一般の文章アドバイス本にはない視点が書かれているので、ぜひ読むことをおすすめします。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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「思う」と「言う」には距離がある

「書くってね、自分と対話することなんだよ」

考えるとは「答え」を出そうとすること

おしゃべりと違って文章には、消しゴムがある。つまり、何度でも書きなおすことができる

タコジローくんは、文章を書くのが苦手なわけじゃない。ただ、ことばを決めるのが早すぎる。手っ取り早く、便利なことばで片づけている。ことばを探す面倒くささに、屈している。おかげで、自分の気持ちから離れた文章になっている

出来事ではなく「考えたこと」を書く

いまの自分が「あのときの自分」にインタビューする

おしゃべりの9割は「返事」でできている

つまりおしゃべりは、ひとつの場所に立ち止まらせてくれず、ひとつの考えに集中させてくれないんだ。だから自分の考えを深めてくためには、ひとりになる必要がある

たくさんのことばを知って、たくさんのことばを使いこなせるようになるほど、文章は色彩豊かなものになっていく

「たとえば夏に、アイスクリームを食べたとする。ふつうに書けば『アイスクリームを食べた』とか、せいぜい『暑かったから、うみぶどう味のアイスクリームを食べた』くらいで終わる話だ」
「うん」
「でも、実際にはこれくらいたくさんの場面があったはずだ」
・暑さを感じる場面
・冷蔵庫まで歩いていく場面
・アイスクリームの袋を破る場面
・取り出したアイスクリームを眺める場面
・最初のひとくちを頬ばる場面
・口のなかに冷たさを感じる場面
・甘さと香りが広がっていく場面
・もうひとくち食べる場面
・急な冷たさから頭に痛みをおぼえる場面
・残り半分になったアイスクリームを眺める場面

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毎日ブログやnoteを書いているけれど、行き詰まりを感じている人に、ぜひおすすめしたい一冊です。

日常の些細な体験からでも読み応えある文章を書く、プロのライターの技が書かれています。

ぜひ読んでみてください。

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『さみしい夜にはペンを持て』古賀史健・著 ならの・絵 ポプラ社

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◆目次◆

そしてぼくは、おじさんと出会った
1章 「思う」と「考える」はなにが違う?
2章 自分だけのダンジョンを冒険するために
3章 きみの日記にも読者がいる
4章 冒険の剣と、冒険の地図
5章 ぼくたちが書く、ほんとうの理由
6章 「書くもの」だった日記が「読むもの」になる日
エピローグ

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