2023年6月29日

『アウトプット思考』内田和成・著 vol.6266

【推せます。BCG元日本代表の知的生産術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569846882

本日ご紹介する一冊は、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)元日本代表、内田和成さんによる、知的生産の技術。

2011年に『プロの知的生産術』としてPHPビジネス新書から出ていたものを大幅加筆・訂正し、まとめたもので、経営学者の楠木建さんが推薦の辞を寄せています。

内田和成さんといえば、今も言及される名著、『仮説思考』『論点思考』が有名ですが、個人的には『スパークする思考』が気に入っています。

※参考:『仮説思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555552

※参考:『論点思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556559

※参考:『スパークする思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047101672

今回ご紹介する一冊は、この『スパークする思考』にも触れつつ、内田式知的生産術の全貌を公開した、知的生産人必読の一冊。

楠木建さんが「知的生産術の決定版」と推すのもよくわかる気がします。

昨今話題のChatGPTを受けつつ、どうアウトプットで差別化するか、どの視点で情報を選別していくか、どう生産性を上げていくか、貴重なノウハウが記されています。

スパークを生むための<脳内の「20の引き出し」>という、仮想の引き出しの話がとても興味深く、当時のBCGの部下たちが恐れていた氏の脳の秘密がちょっとわかった気がしました。

理解するのにちょっと骨が折れますが、ユニークなアウトプットにつながる、すごいインプットシステムだと思います。

コンサルタントの方はもちろんですが、アウトプットで差をつけたいすべての人に役立つ内容だと思います。

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

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種子のうちからどんな花が咲くかを予想して行動すれば、他者よりずっと先に行ける

従来の常識だった「インプット→アウトプット」というプロセスを、「アウトプット→インプット」に逆転させる

仕事と作業の違いとは何か。私の定義では、「ある目的を達成すること」が仕事であり、「その目的を達成するための手段」が作業ということになる

エントロピーを「事象の不確かさ」と定義すると、エントロピーが減少すればするほど、事象の確実性は高まるということになる。つまり、エントロピーを減少させる方向に働く情報こそが、物事の確実性を高める、優れた情報ということになる

優れたリーダーは「3割の情報で意思決定する」

たった一つの情報でも、そこから素晴らしいアイデアが湧いてくるのなら、それこそが意味のある情報となる。私はこうした情報を「スパークを生む情報」と呼んでいる

「情報格差」を見える化すれば、会話はぐっとうまくいく

相手の知識レベルを探り、必要最低限の情報を提供するほうが、説得の効率は上がる

情報に飛びつくのではなく、「その先に何があるのか」を考える人が成功する

「20の引き出し」とは何かをひと言で説明すれば、「頭の中に情報を整理して入れるための仮想の引き出しを作っておく」ということになる

講演会で「時代の変化のスピード」について話してほしいとの依頼を受けた。そこで、引き出しの中から「ゲームチェンジ」をテーマにすることにする。ゲームチェンジというのは、文字どおり「ゲームのルール」そのものが変わってしまったため、それまで市場を独占していた企業が一気に没落したり、新興企業が市場を席巻したりすることを指す。ただ、そうはいっても具体的にどういうことなのか、イメージしづらいのも事実。そこで、この引き出しの中から「トヨタの10年後」というネタを引っ張り出し、紹介する

情報収集から情報発信に至るプロセスの一部に、アナログを取り入れる

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<「配偶者との対話」でも気を抜くな!>
という言葉や、思考のスピードに負けないように書き味の良い文具を選ぶという話、<出世頭より「ドロップアウト組」とつきあうべき>という主張など、著者の人間性が垣間見える内容で、大変好感を持ちました。

プロのコンサルタントとしての矜持も伝わる内容で、読んで本当に良かったと思います。

ビジネスパーソン全般におすすめですが、プロコンサルタントの方には、特に読んでいただきたい一冊です。

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『アウトプット思考』内田和成・著 PHP研究所

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◆目次◆

はじめに 「人とは違う視点」を手に入れるために
第1章 「インプット」では差がつかない時代
第2章 「アウトプット」から始める情報術
    ーー最速で成果にたどり着くために
第3章 自分の「立ち位置」を意識することが、差別化の第一歩
第4章 知的生産の秘蔵のノウハウ「20の引き出し」
第5章 最もラクな差別化戦略「デジタルとアナログの使い分け」
第6章 私の情報源(1)コンサルタントが最も重視する「現場情報」の集め方
第7章 私の情報源(2)新聞、雑誌、本、テレビ、ネット……各種メディアとのつきあい方
おわりに

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