2022年12月7日

『教養としての着物』上杉惠理子・著 vol.6135

【着物の歴史と教養。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4426128293

本日ご紹介する一冊は、ビジネスエリートが知っておきたい着物の歴史と基礎知識をまとめた教養書。

ビジネス書ですっかりポジションを確立してしまった「教養としての○○」のなかの一冊ですが、タイトルを裏切らない、ビジネスパーソン向けの内容です。

著者は、「和装塾」主宰の和装イメージコンサルタントで、東京の下町出身の父親と日本橋三越直営店の和裁士として修行した母親の間に生まれた人物。

一橋大学大学院社会学研究科修士課程を修了後、株式会社エステムの営業企画職を経て星野リゾートに入社し、2015年に日本初の和装イメージコンサルタントとしてダブルワークで起業したそうです。

本書は、一見とっつきにくい着物の世界を、知識ゼロのビジネスパーソンが理解できるよう丁寧に解説した読み物で、着物の歴史と変遷、知っておくべき常識を丁寧にまとめあげています。

着物で恥をかかないための基礎知識はもちろんですが、ビジネスのヒントとなる事柄も含まれており、本当に勉強になります。

古くさいイメージの業界でしたが、その歴史は、他の業界同様、イノベーションの歴史だったということがよくわかりますね。

着物の基礎知識を得たい方が読むと勉強になるのはもちろんですが、イノベーションのヒントを掴みたい方、着物業界を刷新したい方、グローバルビジネスのヒントを掴みたい方には、特におすすめの内容です。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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着物の袖が長くなったもう一つの理由は、袖が長い服を着ることがステイタスだったから

江戸時代初期に踊りの衣装として振袖が作られました。振袖の長い袖が優雅になびく様子は、街の女性達の心を鷲掴みにしました。江戸時代の若い女性は、普段から振袖をよく着ていたそうです。今も未婚女性の着物は、振袖のように袖が長いものほど、フォーマル着です

切り売り販売により、三井越後屋はサイズの小さな子供向けの着物ニーズを取り込むことに成功した

鎌倉時代から小袖だけで着る習慣が広がり、江戸時代初期に一般の町民から武家まで日常の衣服として小袖が一般的になります。江戸や大阪など都市が発展した時、町人達の暮らしには小袖はぴったりだったのです

「服用」「服薬」草木染めの着物は薬だった

藍は古来より薬としても重宝されてきました。その効果は、抗菌、防虫、防腐、保温、保湿、紫外線遮蔽と幅広く、戦国時代、戦に向かう兵士達は鎧の下に藍染の下着を身につけ、怪我をすれば藍染の下着を裂いて包帯として使用しました

着物に絵を本格的に描き始めたのは江戸時代のこと。扇絵師だった宮崎友禅斎という人が、白生地に防染糊で細い線を描いてから、その防染糊の内側に色をつけていく染め方を始めます

震災からの復興期に、丸帯や袋帯に比べてリーズナブルな名古屋帯は全国に広がりました

日本の絹糸産業は世界最大輸出国から国内自給率2%へ

桜柄の着物は、桜が満開になったら着てはいけない

着物は白で礼を尽くす

着物に家紋をつける際は、数が多くなるほどフォーマルで格上

絹の糸を作る時には「紡ぐ」と言いますが、麻の糸を作ることは「績む」と言う

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時代背景とともに変化を続けてきた、着物業界。

1000年の歴史ある商品の変遷を知ることは、他の商品を扱うビジネスパーソンにとっても、きっと役立つと思います。

着物の産地や着物専門店の紹介もあるので、これから着物を買う人にとっても、便利な一冊だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『教養としての着物』上杉惠理子・著 自由国民社

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◆目次◆

序 章 世界中の人を魅了する着物・Kimono
第1章 外国人が知りたい日本の文化 着物への質問
第2章 これだけは知っておきたい日本の伝統文化「着物」
第3章 なぜ今、着物が注目されるのか
第4章 ビジネスや日常に活かしたい着物に学ぶ和の知恵と感性
第5章 知っていると一目置かれる着物を作る産地と伝統技術
第6章 知っていると自信が持てる着物を着て楽しむための知識
第7章 「和」に出会える 着物専門店
おわりに
参考文献
著者プロフィール

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