2019年2月12日

『「300億円赤字」だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』 足立光・著 vol.5213


http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866211997

本日ご紹介する一冊は、「ほぼ実話」のマクドナルド再生物語。

著者は、P&G出身で、かつて日本マクドナルドのマーケティング本部長を務めた足立光さんです。

著者は現在、六本木にあるバー「Bar夜光虫」の店長をやっているらしく、正確には、「六本木のバーの店長がV字回復させた」のではなく、「V字回復させたマーケターが六本木のバーをやっている」わけですが、小説形式なのでそこはご愛嬌。

本書では、Twitterで炎上した老舗洋食店「キャロット」の跡取り息子祐介が、「悪評をどうにかしたい」「店に客を呼び戻したい」「そして売上をアップさせたい」との思いでふらっと立ち寄った「Bar夜光虫」で、カリスママーケター「ヒカルさん」のレッスンを受けるというストーリー。

「期限切れ鶏肉使用問題」で信頼が揺らいでいたマクドナルドを、氏がどうやって再生したのか、その赤裸々なストーリーが語られています。

オビに「超基礎10割のマーケティング術」とあるように、奇をてらった内容ではありませんが、マーケティングの王道の考え方を、著者がどのようにヒットキャンペーン、売上増につなげていったか、そのプロセスが垣間見れるのが楽しい。

さっそく、ポイントを見て行きましょう。

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企業や事業が展開する活動は、じつはこのブランド資産を「増やす活動」と「減らす活動」の2種類しかない

◆マーケターの仕事
1.「扇動者」。お客さまや社内外の人の心を動かして、結果的に行動を変えてもらうよう導いていくこと
2.「プロデューサー」。企画を成功させるのに必要な全方位に目配りし、人やお金の手配をし、仕事を進めていくこと
3.「経営者」。うまくいった方法の仕組み化や組織作りを行い、成功が継続する仕組みを作っていくこと

「安売りってさ、ブランド資産を減らす活動の最たるものなんだよ。自分から商品の価値を下げて、しかも効果に持続性がない。つまり、商売を考えるなら基本的にやっちゃいけないんだ」

「マックも、不振の時期、価格訴求と健康志向に走ってたの。野菜たっぷりのフレッシュマックとかアボカドバーガーとかね。でもこれって、自分の強みを捨てちゃってるよね」

現状のネガティブな空気を変えるには、ポジティブな情報を大量に発信することで、悪い噂を底に沈めていく「ラブ・オーバー・ヘイト」しかない

そのとき足立の考えたポジティブな情報を増やす方法のひとつが「毎週、新商品を出す」だった。(中略)3つの新商品を一度に発売すれば、メディアに取り上げてもらえる商品はせいぜい1つか2つだ。残り1つの商品情報は、メディアを通してお客さまの目に留まる可能性は低い。だが、毎週新商品やキャンペーンを出せば、メディアにほとんどすべてのニュースを取り上げてもらえるようになる

第三者であるメディアやお客さまのSNSで「美味しそう!」「美味しかった」と取り上げてもらったほうが、信頼性や説得力が高まるということ。品質事件の影響で、日本マクドナルド自信がいくらCMで「安全安心で美味しいです」と訴えても、「ホントのこと言ってるの?」と懐疑的な目で見られてしまうからだ

「マクドナルドのアイデンティティって、“背徳感”なんじゃないの?」自分の言いたかったことはこれだ、と足立は痺れた

レギュラー品に注力したほうが売上の安定につながる

足立氏が企画やCMの良し悪しを判断する基準
(1)話題化できるか。
(2)マクドナルドらしさがあるか(美味しさにつながるか)。
(3)新しさがあるか。

本業以外の魅力でも店に人を呼ぶ方法を探せ!

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どんな企業でも、信頼が揺らぐ瞬間がある。

本書は、そんな時、社長やマーケターがどう対処すればよいか、実践的な知恵を与えてくれる一冊です。

カリスママーケターの名前を「ヒカルさん」にしてしまったせいか、せっかく小説形式なのに、自慢臭が消えていませんが、商品開発やPRのテクニックとして、また売上アップのヒントとして、ぜひ読んでみてください。

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『「300億円赤字」だったマックを六本木のバーの店長がV字回復させた秘密』
足立光・著 WAVE出版

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◆目次◆

プロローグ
1章 空気を変えろ!
   ~マーケティングってなんだ?~
2章 仮説を立てて検証せよ!
   ~マックのライバルは回転寿司とオリエンタルランド、どっち?~
3章 情熱をまき散らし、周りと巻き込め!
   ~人は感情でしか動かない~
4章 デジタルマーケティングの落とし穴に用心せよ!
   ~話題化には「有名人」も「新商品」も必要ない~
5章 拡散するアイデアはこうひねり出せ!
   ~ヒントはすでにあるものの中にある~
エピローグ
あとがき

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