2016年11月21日

『大前研一 日本の論点2017~18』 大前研一・著 vol.4506

【大前氏が語る、2017年のヒント】
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本日ご紹介する一冊は、元マッキンゼーの日本代表であり、現在はビジネス・ブレークスルー代表取締役の大前研一氏が、2017年以降の日本の課題にズバリ切り込んだ一冊。

もともとは、プレジデント誌で連載している「日本のカラクリ」の一年分のストックおよび特集記事から反響のあった稿をピックアップし、加筆修正したもの。雑誌の連載だけに、読みやすい分量・文章テイストで、苦労なく読めると思います。

とはいえ、内容はかなり骨太。

今後のヨーロッパがどこへ向かうか、日本の政策の何が問題か、大企業がグローバル競争で勝ち抜くには、などのトピックが、著者らしい鋭い視点で論じられています。

マクロ視点だけかと思いきや、じつは個人へのキャリア、資産運用アドバイスもあるのが特長で、マクロの動きを見た上で個人がどうするべきか、具体的なヒントも書かれていました。

さっそく、気になったポイントをチェックしてみましょう。

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移民問題、難民問題を抱えるヨーロッパでは、各国で反EU、移民排斥を掲げる極右政党や右派勢力の台頭が著しい。イギリスのブレグジットを受けてさらに勢いを増して、フランスでは国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が、デンマークでは国民党のクリスチャン・ダール党首がEU離脱の是非を問う国民投票の実施を強く求めている。イタリアやオランダ、スウェーデンなどでも同様の動きが見えている(中略)二〇一七年にはそのドイツとオランダで議会選挙、フランスで大統領選挙が予定されている

賃金が東京並みになったら、地方の会社は潰れるから事業をやめるしかない。あるいは地元でも東京でも労働コストが同じなら、体力のある会社は東京に集まってくる。東京が最大のマーケットだからだ。つまり同一労働同一賃金は地方創生どころか、地方を殺すのだ

言うべきことが言えない空気が充満している社会はやはり不健全だ。右の立場とか左の立場ということではなく、自分が何を知っていて、それに基づいてどう考えているかを表現することは大切なことで、そういうインテリジェントな社会を取り戻さなければ、「いつか来た道」に再び足を踏み入れることになるだろう

年金に期待できない可能性が非常に高まっているから、サラリーマンであっても老後に備えてキャッシュフローを生み出すような事業を手がけることを真剣に考えるべきだろう

便利な都心に回帰するのもいいし、田舎暮らしを始めるのもいい。リタイア後のセカンドライフは新しい場所で始めることをおすすめする

今、アメリカで赤丸急上昇中のWeWorkはオフィスの賃貸会社。アメリカ一〇都市で二九カ所の事務所を拠点に事務所のサブリースをする。又貸しなら礼金や保証金は必要ないし、面倒な契約書類を揃えなくてもネットで契約が完了する。WeWorkを使えば一気に全米にオフィス展開ができると人気を呼び、わずか創業五年で時価総額五〇〇〇億円の会社に急成長した

国が破綻しても、グローバル産業を持っている地方都市は生き残れる

コモには絹織物に関連した会社が約六〇〇社ある。多くはファミリー経営の小さな会社だが、それぞれが細かなノウハウを持っていて、絹織物をつくる全工程を機能分担している(中略)エルメスやセリーヌのようなブランドから「こういう製品をつくってほしい」というオーダーがあると、必要な技術を持った会社をコーディネートして、最終製品までの開発を請け負うのだ

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投資家なら、今後どんなイベントに注意すべきか、経営者ならどこにビジネスチャンスを見出だせばいいか、サラリーマンならどう人生設計を立てればいいか、ヒントが見つかるでしょう。

・定年退職の日から逆算して、一五年前から残りの会社人生の態度を決める
・サラリーマンであっても老後に備えてキャッシュフローを生み出すような事業を手がける
・リタイア後のセカンドライフは新しい場所で始める

など、生き方のヒントも満載です。

ぜひチェックしてみてください。

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『大前研一 日本の論点2017~18』大前研一・著 プレジデント社

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◆目次◆

巻頭特別企画 日本を救えるのは“知性”のみ
右傾化する世界をどう生きるか
sideA 知性の復権が日本を救う
Strategy1 セカンドライフは8万時間の自由時間がある。何をしますか?
Strategy2 巨大ビジネス創出! わが新・経済理論「アイドルエコノミー」
Strategy3 直伝! 「アイドルエコノミー」実践法
Strategy4 日本を大好きになる外国人旅行者が日本経済を底上げする
Strategy5 ビールだけじゃない、日本企業のグローバル化が?周回遅れ?の実態
Strategy6 世界的な大企業で続発! データ偽装問題は、なぜ起こるか?
Strategy7 怨念を残すような?選択と集中?が東芝の不正会計を生んだ
Strategy8 ゴーン社長が三菱自動車を買う真の狙い
Strategy9 東証一部上場するも、見えない郵政三社の未来絵図
Strategy10 アベノミクスの景気浮揚効果を阻む?低欲望社会?の現実
Strategy11 伊勢志摩サミットで?後味の悪さ?しか残せなかった安倍首相
Strategy12 ホンハイの買収申し出を受け入れたシャープの甘い認識
Strategy13 日本には核兵器を開発するだけの能力があるのか
Strategy14 なぜ老人ホームや介護施設で?虐待?が増加しているのか
Column 大前流「自分を変革する」三つの方法
SideB 衆愚政治を招くポピュリズム
Strategy15 世界を席巻するポピュリスト旋風は、どこまで広がるのか?
Strategy16 ドナルド・トランプの過激発言はなぜ米国民に受けたのか?
Strategy17 「世界一」だけをつくるイタリアの地方創生法
Strategy18 中国バブル崩壊から「世界大恐慌」へ飛び火する可能性
Strategy19 パナマ文書は氷山の一角、今後も続く税逃れの手口
Strategy20 大国のリーダーが一目置くメルケル首相のリーダーシップ
Strategy21 蔡英文・新総統誕生、中台関係はどう変わるか
Strategy22 ?アイドル?スー・チー氏はミャンマー国民を満足させられるか?
Strategy23 ロシアはなぜ、IS掃討を名目にシリアに軍事介入したのか?
Strategy24 “Change”“Yes We Can”──オバマはアメリカをどう変えた?

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