2015年8月3日

『米陸軍諜報指導官に質問されたら あなたは何も隠せない』 ジェームズ・O・パイル、マリアン・カリンチ・著 vol.4031

【傑作。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883206416

仕事がら、人にインタビューすることが多いのですが、正直言ってうまく行くときとそうでない時が半々です。

うまく行っている時は少しずつ真相に迫って行く、詰将棋のような感覚があるのですが、残念ながらやっている本人は、どう質問しているのか自覚できていないことがほとんどです。

あの感覚をいつでも再現できたら、知的生産の効率性が一気に上がるのに、と思いながら体系化できないでいたのですが、ついに!!暗黙知が表出化された、素晴らしいマニュアルを手に入れました。

そのマニュアルというのが、本日ご紹介する一冊『米陸軍諜報指導官に質問されたら あなたは何も隠せない』です。

著者のジェームズ・O・パイルは、アメリカ陸軍諜報部員の質問技術の訓練に携わる指導官で、本書にはその門外不出の質問技術が書かれています。

どうやって聴けば隠された事実を明かしてくれるのか、どうやって聴けば情報のヌケ・モレを防げるのか、どうやって相手の嘘を見抜けるのか、プロの手法が書かれており、どこを読んでも目からウロコが落ちます。

疑問詞を活用してインタビューする方法や、3種類の「跳躍語」から嘘を見抜く方法、4つの発見領域に分けて情報を記録するメモ術など、興味深い内容が目白押しです。

さっそく気になったポイントを見てみましょう。

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昨年のクリスマスシーズンのこと。私は郵便局の行列に並んでいた。そこへ、腕一杯に荷物を抱えた女性がやって来た。「おや!」。私は声をかけた。「お友達は何人いるんですか?」。
すると、女性は自分から話し始めた。荷物は全部娘(と娘の子どもたち)に送ること、娘は出産のために大学を中退したこと。話はさらに進み、自分がそんな娘の選択にがっかりしたことや、夫も一緒になって娘に、投資した学費2年分の「損失」を返してくれと迫っていることまで打ち明けた

◆サンタクロース問答
「これ、だれ?」ジュディスがたずねた。
「サンタクロースだ。君の家に来てくれるよ」
「なぜ、うちに来るの?」
「お届け物があるから」
「お届け物って何?」
「オモチャさ。だけど、特別な夜にしか来ないんだ」
「いつ?」
「クリスマスイブだよ。君の家だけでなく、世界中の子どもの家に
 行くんだ。しかも、たった一晩で!」
「どうやって、そんなことできるの?」

幼い子に「お昼は何を食べたの?」とたずねたら「サンドイッチ」と答えた。すると、大人は次の質問でつい「何のサンドイッチ?」と聞いてしまう。しかし、会話を発展させる効果的な質問は「他にはお昼に何を食べたの?」。すると、サンドイッチの他に牛乳、桃、クッキーを食べたとわかる。そこまでわかったところで「何のサンドイッチ?」と聞く。この流れでいかないと、サンドイッチ以外のメニューはわからずじまいになる

たとえば、「現在XYZ小隊は何名だ?」とたずねると、聞かれた兵は「アルファ中隊第一小隊は22名です」と答えた。しばらくして、同じ兵と他のこと(たとえば武器)の話をしていて、「XYZ小隊にM16自動小銃は何挺あるか?」と聞く。答えは「22挺です」。こうして、XYZ小隊の兵員数に間違いないことがわかる

使えるメモを取るには、まず4つの発見領域「人」「場所」「物(事)」「出来事」に分けることだ

ティーンエイジャーの息子に午前2時までどこにいたのか聞き質しているときや採用面接の最中に話が「跳躍」したら、嘘探知のアンテナを立てる必要がある

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いやあ、怖いですね(笑)。

集中力を欠いている時に質問されたら、タイトル通り何も隠せなくなってしまいそうです。

ジャーナリストやキャスター、コンサルタントが書いた質問の本は多くありますが、この切り口はなかなかないと思います。

緻密な質問術を身につけ、ビジネスチャンスをものにしたい方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『米陸軍諜報指導官に質問されたら あなたは何も隠せない』ジェームズ・O・パイル、マリアン・カリンチ・著 三五館
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883206416

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◆目次◆

序 文 ジム・パイルこそ史上最高の質問術教官 グレゴリー・ハートリー
序 章 質問テクニック習得の効果
第1章 考え方を変える
第2章 上手な質問の作り方
第3章 質問のタイプを把握する
第4章 領域別に「発見」する
第5章 よく聴き、よく黙り、よくメモする
第6章 答えを分析する
第7章 専門知識はどうたずねるか?

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