2012年8月1日

『読書の技法』佐藤優・著 Vol.2933

【月300冊読む、佐藤優氏の読書術とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044698

本日の一冊は、月平均300冊、多い月は500冊以上を読むという博覧強記、元外務省主任分析官の佐藤優氏による『読書の技法』。

一冊を30分程度で試し読みし、熟読するかどうか、読書ノートを作成するかどうかを決める「普通の速読」と、5分で本を仕分け、読むべき箇所のあたりをつける「超速読」。著者はこの2種類の速読技法を併用することで、驚異的な読書量を可能にしています。

とはいえ、実際に熟読する本は月に4~5冊で、本書にはそれらの本をどう熟読するか、そのポイントが書かれています。

・まず本の真ん中くらいのページを読んでみる<第一読>
・シャーペンで印をつけながら読む<第一読>
・本に囲みを作る<第二読>
・囲みの部分をノートに写す<第二読>
・結論部分を3回読み、もう一度通読する<第三読>

囲みを作る、という発想はこれまでなかったので、さっそく参考にしてみようと思いました。(確かに、普通に赤ペンを引くより見栄えがきれい)

ほかにも、「自分の本棚にあえて『積ん読』本のコーナーを作り、5~6冊たまった頃合いを見て、超速読をしてみる」など、大量の書籍情報を処理するノウハウが満載。

そして何より本書が優れているのは、読者に「自分の知識の欠損部分を知」ることを推奨している点でしょう。

高度な本を読みこなすために必要な【世界史】【日本史】【政治】【経済】【国語】【数学】の基礎知識と、おすすめ本のブックガイドがついており、社会人の学び直しに最適の一冊となっています。

私立文系出身で、「知識の欠損部分」の存在を意識している人は、ぜひ本書のブックガイドを見て、参考書を買い漁りましょう。

表面的な読書をやめ、本気で「知」を身につけたい方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「熟読できる本の数は限られている」というのは、読書の技法を考えるうえでの大原則である。読書に慣れている人でも、専門書ならば300ページ程度の本を1カ月に3~4冊しか熟読できない

新たな本を読むとき既知の内容に関する部分は読み飛ばし、未知の内容を丁寧に読む。このように速読を行うことによって時間をかなり圧縮することができる

基礎知識があるからこそ、該当分野の本を大量に読みこなすことができるのだ

なかでも、『岩波講座 世界歴史』(全31巻、岩波書店)と『岩波講座 日本歴史』(全23巻、岩波書店)を通読し、世界史、日本史についての基礎知識を強化できたことは大きい

大切なのは、自分の知識の欠損部分を知り、それを補うことだ

現実の出来事を説明できないなら、本物の知識は身についていない

1回目に線を引いた部分で特に重要と思う部分をシャーペンで線を引いて囲む

「普通の速読」とは、400ページ程度の一般書や学術書を30分程度で読む技法である

◆超速読の技法
5分の制約を設け、最初と最後、目次以外はひたすらページをめくる

高校段階での数学に不安があり、行列、数列、微分法、積分法がまったくできないのに、近代経済学や統計学の知識を身につけようとしても、無理である。その際は数学の基礎力をつけて再チャレンジするしか、知識を着実に身につける道はない

歴史小説で歴史を勉強してはいけない

恐慌の結果、本格的なリストラに耐え抜くことができる大資本だけが生き残り、老舗財閥の力が強化された。そして、社会的格差が拡大し、貧困層の不満が強まり、「世直し」の気運が出てきた

改革運動は不遇の知的エリートが起こす

くれぐれも漫画で基礎知識をつけようとしてはいけない

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『読書の技法』佐藤優・著 東洋経済新報社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044698
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◆目次◆

第I部 本はどう読むか
第1章 多読の技法
    ──筆者はいかにして大量の本を読みこなすようになったか
第2章 熟読の技法
    ──基本書をどう読みこなすか
第3章 速読の技法──「超速読」と「普通の速読」
第4章 読書ノートの作り方
    ──記憶を定着させる抜き書きとコメント
第II部 何を読めばいいか
第5章 教科書と学習参考書を使いこなす
    ──知識の欠損部分をどう見つけ、補うか
【世界史】【日本史】【政治】【経済】【国語】【数学】
第6章 小説や漫画の読み方
第III部 本はいつ、どこで読むか
第7章 時間を圧縮する技法──時間帯と場所を使い分ける
[特別付録] 本書に登場する書籍リスト

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