2012年8月3日

『元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術』 レオ・マルティン・著 Vol.2935

【ドイツ情報局員の心理術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4484121166

みなさんは、自分が人に好かれたり嫌われたりするのは、生来のものとあきらめてはいないでしょうか?

じつは、土井もそうでした。

しかしながら、周りの売れている著者に聞く限り、どうも彼らはもともと好かれる体質だったわけではないということに気づきました。

どうやら、人に好かれるのは「スキル」であり、親しみや信頼は意識的に作り出せるようなのです。

そのことを説いて、ドイツでベストセラーになったのが、本書『元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術』。

ドイツ連邦情報局(BND)に勤務していた著者が、そこで教えられたこと、情報提供者を囲うために実践していた人心掌握術を、一般公開している、じつに刺激的な一冊です。

ちなみに著者名の「レオ・マルティン」というのは、実名ではなく、著者がBND在籍中に使った複数の名前の一つ。

本文中にも、著者が情報員として働いていた時代のエピソードが入っており、スパイの世界を垣間見るには、絶好の読み物です。

人心掌握のノウハウとしても、類書にない視点が入っており、参考になります。

・コミュニケーションには必ず意図がある
・思考は必ず身体に表れる

といった、相手を見るための視点にはじまり、

・優秀な情報員ほどよい面をたくさん見つけることができる
・物事を個人的に受け取らない

などのポジティブな心を保つ秘訣、

さらには服装、約束を守ること、人を公平に扱うことの重要性まで、じつに幅広いノウハウを提供しています。

なかでも参考になったのは、汚れ仕事が組織に受け入れられるためのポイントであるという指摘。

これは、嫌われ仕事を敬遠しながら「つながり」を求める若い世代には、痛い指摘でしょう。

裏切られれば、最悪、死が待っているスパイの人心掌握術。

学んでおいても、決して損はないでしょう。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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連邦情報局に勤務中の十年間に、僕は多数の情報提供者を獲得した。彼らは犯罪組織に属し、本来なら極秘の内部情報を漏らすどころか僕と口を訊くことすら考えられない人たちだ。それなのに、自らすすんで僕に情報を与えてくれた。連邦情報局のためとか国家のためとかではない。ひとえに僕のためなのだ

コミュニケーションも行動もすべて一種の操作といえる。つまり相手を操作するのは、はっきりした目的があるときに限らない。問題は相手の重荷になっていないかどうかだ。これは避けなければいけない

思考は必ず身体に表れる。レモンを齧ると想像するだけで口の中に唾液が出てくる

相手に対してネガティブな気持ちを抱いていると、長期的なよい関係を築くことはできない

この世界に受け入れられるためには、汚れ仕事に手を染めることになる。それによって組織に貢献するし、また手を汚せば「家族」の一員になれるからだ

カリスマ性のある人物、つまり独特の魅力を周囲に放っているといわれる人は、相手が誰であろうとみな平等に扱っている点で際立っている

人は普通、自分を支援してくれる温かい環境を好む

あなたの現実は、他の人の現実と必ずしも同じではない

いつも公平に行動していたにもかかわらず、意に反して関係を断つことになったときには、裏口を開けておくこと。つまり、いつでもまたコンタクトを取れるように気持ちよく別れることだ

情報員は外見や立ち居振る舞いを状況にふさわしく適応させること

女性は会話の中で共通の思い出をよく使う傾向がある(中略)男性は信頼関係づくりに貢献するこうした材料を使うことがずっと少ない

なるべく時間をあけずに頻繁に会うようにすれば、関係の発展を早めることにもなる

相手が嘘を言っているのではないかと薄々感じても、相手の面目を潰さないよう気をつけること

情報員も自分のことを打ち明ける

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『元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術』レオ・マルティン・著 阪急コミュニケーションズ

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◆目次◆

入口を通過するための暗号を知ろう
特徴を明確にする段階
育成段階
ここからは安全地帯──ただし、極秘

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