2012年8月14日

『コンセプトのつくりかた』玉樹真一郎・著 Vol.2946

【Wii元企画開発者が語る秘訣とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022399

2006年に発売され、全世界の総販売台数が9500万台を超えたメガヒット商品、任天堂「Wii」。

本日ご紹介する一冊は、その「Wii」のコンセプトワークから、企画・開発すべてに横断的に携わった「Wiiのエバンジェリスト」こと玉樹真一郎さんによる一冊。

任天堂で「コンセプト」について学んだ結果、自分自身の「人生のコンセプト」についても考えざるを得なくなり、会社を辞めて青森で起業したという著者が、コンセプト創出の秘訣を語っています。

「世界を良くする」という、コンセプトの大前提に始まり、遊び人こそが賢者になれるという視点、さらには具体的なコンセプト創出の手法まで、じつにさまざまな点に触れています。

なかでも参考になったのは、アイデア創出のための「ズラす」9つの質問集と、付箋を使ったコンセプト創出法。

どんな企業・商品にとっても、今買ってくれていないお客様が最大のお客様なわけですが、このコンセプト創出法は、そんなお客様を射止めるのに、絶大な効果を発揮しそうです。

思いついたイメージやアイデアを付箋にまとめ、グループ化したところで、<正反対の意味を持つグループ・付箋の間に、進んでいきたい方向の矢印を引く>。

これで、これまで商品に否定的だったお客様を、振り向かせるコンセプトワークが可能になるのです。

たとえば、著者が手掛けた「Wii」の場合なら、「一人でする」というゲームのイメージを、「複数人でする」に、「ゲーム脳」というネガティブなイメージを「健康」に、「大作ゲーム」を「手軽」に、それぞれベクトルを変えることで、これまで取り込めていなかった主婦層を取り込むことができます。

本書には、こうした具体的なアイデア・手法以外にも、クリエイターとしての心構えが随所に書かれており、まさにコンセプターのためのバイブル。

メガヒット商品を仕掛けたい人は、必読の一冊です。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————

1.あなたが世界に向けて「良いもの」を作る
2.世界に何か「良い変化」が起こる
3.世界からあなたに「良い報酬」が届く
4.あなたに「良い変化」が起こる

「よく来た、勇者よ。わしが王の中の王、竜王だ。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを……。もし、わしの味方になれば世界の半分を勇者にやろう。どうじゃ、わしの味方になるか?」(中略)竜王からの質問に正々堂々と「いいえ」と答えられる勇者こそが、ものづくりには必要なのです

「ドラゴンクエストIII」を遊んだことのある方ならご存知かと思いますが、冒険の仲間としては実に厄介な職業が1つあります。大した能力もなく、モンスターとの戦闘場面においても全くの役立たずという恐ろしい職業──そう、「遊び人」です(中略)遊び人は自らの欲求に素直になれるがゆえに、賢者たる素質を秘めている

◆最終的に生み出すコンセプトがクリアすべき2点
1.あなたが心の底から同意し、それを行えばしあわせになれると信じていること
2.あなたやあなたの会社が生きていけること(お金が手に入ること、永続性があること)

長くとも20字以内に収めなければ、コンセプトは覚えてもらえず、組織の中で流通しにくくなります

1つ1つは簡単に砕くことができるビジョンであっても、無数のビジョンが集まると、ビジョンの向こう側が透けて見えるように思えてくるときがあります

コンセプトの残り半分は、アイテムの集合体です。桃太郎があなたを説得するのと同じように、あなたはアイテム群によってコンセプトが実現可能なものだとプロジェクトメンバーに伝える必要がある

物語化1:正反対の意味を持つグループ・付箋の間に、進んでいきたい方向の矢印を引く

マスを取るのは難しい、個人を取るのも難しい。だけど、お母さんにも楽しんでもらえるゲーム機を作って、家族みんなに楽しんでもらうことなら、できるかもしれない

ユーザーは、必ず作り手の想像を超える

過去のコンセプトを超えていこうとする態度こそが、コンセプトワーカーには求められています

————————————————

『コンセプトのつくりかた』玉樹真一郎・著 ダイヤモンド社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022399
————————————————-

◆目次◆

第1部 おりていく コンセプトとは何か
第2部 のぼっていく コンセプトをつくる具体的なプロセス
第3部 すすんでいく コンセプトをどう活用するか

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー