2009年1月21日

『マネー力』大前研一・著

【大前研一の大予言?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569702562

本日の一冊は、かつてマッキンゼー&カンパニーの日本支社長を務め、現在はビジネス・ブレークスルー大学院大学の学長を務める大前研一さんが、今後の世界のマネー、およびビジネスの動きを予言した一冊。

オバマ大統領は今後、どんな政策を打ち出してくるのか、ドル、ユーロ、円はどうなるのか、今投資するとしたらどの国のどんな案件が有望なのか、日本で今後ビジネスチャンスがあるとしたらどこなのか…。

タイトルこそ「マネー力」となっていますが、本質は「大前研一による大予言」です。

マクロの話が半分、そしてビジネスチャンスを見つけるためのミクロの情報が半分といった割合で、経営者にとっても、今後の資産運用を考えるサラリーマンであっても、役に立つ一冊だと思います。

自社の講座の宣伝が過ぎる感がありますが、それを除けば、なかなか読み応えのある一冊だと思います。

さらに賢明な読者であれば、本書の行間を読んで、著者が語らない本当のビジネスチャンスも見えてくるはず。

いずれにしろ、読んでおいて損のない一冊ではないでしょうか。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

オバマ新大統領は、現実に貧しい人たちから先に救済していく経済政策を優先するだろう

経済は「ふくらし粉」がないとやっぱりダメなのだ

アメリカのドルが落ちる瞬間が、二〇〇九年のどこかの時点であるはずだ。ヨーロッパは現在無防備だからユーロが落ちているけれども、それはいつか止まるだろう。そのときは反転を始める。ヘッジファンドなどの解消でドルが大幅に不足しているから、いまはドルが高くなっているが、これが一巡すれば、アメリカはいまのドルレベルは支えられない

PBR(株価純資産倍率、株価を一株当たり純資産で割って求めた数値)という指標で見れば、一を割っている上場企業がほとんどだ。そういう意味では、株価は底堅いところまで来ている

日本に関してはどこかの時点で、団塊の世代が株をやり始めて、またセカンドライフ、ウィークエンドハウスに魅力を感じ始める

現在、生き場を求めて世界中をさまよっている余剰資金は約三〇〇〇兆円(二〇〇八年で半分に減ってしまったが)。このホームレス・マネーには、これから値上がりが見込めそうな地域に、国境を越えて抜け目なく向かうという性質がある

中国には人民元や外貨の持ち出し規制があるものの、「銀聯」という人民元で決済のできるクレジットカードを使えば、その規制に引っかからない。それで、みんなこのクレジットカードで買いまくるのだ

世界の基軸通貨の地位は、ドルが政府のご都合主義に陥っているあいだに、厳格な規律のもとで発行され管理されているユーロに移りつつある

GEのジェフ・イメルトは株主総会で、一五%業績を伸ばすと宣言した。アメリカの経済成長率が三%なのにどうやって一五%成長ができるのかと問われると彼は、一五%の経済成長を達成している国に行ってそこでシェアをとれば可能であると説明した

ロシアはアメリカ経済とはカップリングしていないうえに、金と鉱山と石油、それに食料品とすべてあるから、まさに投資先としては
多くの条件を満たしている

日本経済にとって圧倒的な景気刺激・成長機会をもたらす分野がもう一つある。それは「住宅」である

二〇〇八年にはウォール街発の「金優テロ」に世界中が悩まされることになり、結果、アメリカの指導力は著しく後退した。オバマはこれに対して地球規模の連帯を呼びかけ、環境破壊者に対する全面戦争にとりかかる、と宣言するだろう。この戦いのメリットは「恐ろしく効率が悪い」ということだ。効率の悪いものほど経済効果は大きい

————————————————
『マネー力』PHP研究所 大前研一・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569702562
————————————————

◆目次◆

はじめに
序 章 世界は大変だが、日本はチャンス!
第1章 世界を見て、マネー力を磨け
第2章 自分の資産は自分で守れ!
第3章 資産運用力は世界に学べ
第4章 マネー脳の鍛え方
第5章 大前式資産形成術
第6章 マネーの達人たちに学ぶ
終 章 いよいよ日本の出番

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー