2009年1月27日

『マイクロソフト戦記 世界標準の作られ方』トム佐藤・著

【高収益企業の作り方はマイクロソフトに学べ!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106102986

かつてのファミコンしかり、現在のウィンドウズしかり、真に収益性の高いビジネスを得るには、デファクトスタンダード(事実上の標準)になるのが一番です。

本日ご紹介する一冊は、イギリスマイクロソフト入社後、マイクロソフト日本法人でウィンドウズのマーケティングを担当したトム・佐藤氏が、そのデファクトスタンダードの作り方を紹介した一冊。

マイクロソフトの思想の根底にある哲学者ベンサムの思想から、デファクトにいたる二つの要件、そしてサポートするべき関係者まで、マイクロソフトの実例をもとに、詳しく書かれています。

一時はMSXでデファクトをつかみかけながらも、失敗したマイクロソフト。その目撃者である著者の証言は、じつにリアリティがあります。

ノウハウとして読んでもためになりますが、何より刺激的なのは、マイクロソフトがデファクトになるまでのストーリー。

幾度もくじけながら試行錯誤していく過程に、ビジネスの醍醐味が表現されています。

実際にデファクトを目指す人には、いいシミュレーションの材料。そうでない人には、ビジネスノンフィクションとして楽しめます。

ビジネスケースとして、久々に読み応えのある一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ウィンドウズは、単にメーカーにライセンスすることで普及したのでもないし、優れて良い商品だったわけでもない。ビジネス戦略の主要部分が正しかったから、世界をほぼ独占する商品になった「最大多数の最大幸福」こそ、世界最強の法則である。そして、これこそがウィンドウズの基本概念なのである

◆「デファクト」にいたる二つの要件
・テクノロジーの波を理解する力
・業界の動向を明確に理解し、関係者のソーシャルネットワークを介してデファクトスタンダードを売り込む戦略

スペクトラビデオに一度売った製品を少し修正しただけで、これほどの売上。彼は、標準化というビジネスがいかに「おいしい」を目の当たりにした。そしてその後、標準化を自らの最重要戦略としていったのである

デファクトスタンダードを作るには、二つのグループの開発者をサポートしなければならない。一つはOSをライセンスしてハードを出荷するパソコンメーカー。ライセンス料を払っている彼らに、技術サポートをするのは当然である。二つ目は、そのスタンダードをもとにアプリケーションを開発する人たち

MSXはあと一歩でデファクトスタンダードになるはずだった……だが、たとえデファクトたる条件を備えていても、マーケットの信頼を失えば崩壊する

アップルIIの経験から、第三者が作るソフトがいかに重要かを知ったジョブズは、マイクロソフトにアプリケーションの開発を要、五万ドルを支払い、表計算ソフト、データベース、グラフィックプレゼンテーションソフトを注文した。この時アップルは契約書に、イクロソフトが競合するアプリケーションソフトを開発することを禁止する条項を入れた。アップルの金で積み上げたノウハウをすに他所で応用されてはたまらない。問題はその禁止が期限付きだったことだ。禁止期間はマックの出荷日もしくは八三年一月日から一年後まで。これがジョブズの最大の失敗だった大きなハブが威力を発揮し、小さなハブやノードをどんどん引き込んでいくと、そのうち一点集約型のネットワークが出来る。これを「スター型ネットワーク」というが、一旦、スター型に集約されると、ひとつのハブ企業が市場を独占するようになる

◆『ティッピング・ポイント』が教える大流行の法則
1.少人数の法則
2.スティッキネス要因
3.環境の力

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『マイクロソフト戦記 世界標準の作られ方』新潮社 トム佐藤・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106102986
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◆目次◆

第I部 パソコン草創期の挑戦
第II部 ウィンドウズ―OS勃興期の激戦
第III部 デファクトスタンダード―業界全体を巻き込め

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