2006年6月5日

『あなたの会社が買われる日』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456965245X

本日の一冊は、ベストセラー『タフ・ネゴシエーターの「人を見抜
く技術」』の著者、山田修さんによる、久々の新刊です。

※参考:『タフ・ネゴシエーターの「人を見抜く技術」』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062641666

今回の本は、外資系企業とM&Aをめぐるフィクションということ
ですが、日本の海外MBAホルダーの先駆けとして、外資系企業の
経営者を歴任した著者が書いているだけに、おのずと内容は何らか
の真実を織り込んだものと推察されます。

それほどリアリティにあふれた作品です。
 
本書のなかには、外資系企業本社の外国人マネジャーと日本支社の
副社長とのはざまで苦しむ社長や、投資ファンドから出向してきた
無能な社外取締役に報酬をフイにされた社長、買収劇の混乱のさな
か、他国のカントリーマネジャーにしてやられた社長など、さまざ
まな人物が登場します。

3本のストーリーがそれぞれ独立する形をとってはいますが、そこ
には共通のメッセージがあるような気がしてなりません。

日本にも本格的な資本主義が浸透し始めた今日、必ずしも人を豊か
にしない、理不尽な事態が至るところで起こっています。

本書を読んで、本当に人を幸せにするシステムとは何か、考えてみ
たいものです。

ちなみに本書には、「特別寄稿」と称して、土井の文章が載ってい
ます。みなさん、ぜひ読んでやってください。

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■ 本日の赤ペンチェック
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◆「新社長就任」より

(これは……。クーデターだ)
社長である私に対してのあの開き直った態度と物言いは、伊東がそ
う覚悟を決めたからに他ならない、と私には思えた。そうとしか考
えられない。自分たちの失点をあげつらわれて責任を追及されると
いう当然の成り行きを前にして、逆にイチかバチか、私に責任を転
嫁して追放してもらおうとハラを固めたに違いない

(伊東君、君はもしかしたらやりすぎたかも知れない)
両副社長の解任を決めたのは、先週の木曜の夜、マイケル・ミラー
が国際電話をしてきてくれた時の事だった。私のEメールを受け取
ったマイケルは、はたして両副社長に対して激怒していて、「直ち
に解雇してほしい」と私に指示を出した

(戦闘開始だ)
こうなったらもう、彼らに勝ち目など有りはしない、外資において
所詮本社の意向が最終的なものなのだ

◆「投資ファンドの正体」より

(分かった、すべて分かった)
その瞬間、もう一つのからくりに早川は気がついてしまったのだ。
なぜアンソニーが本社の意向に背いてまで独断で拙速なチャプター・
イレブンを申請してしまったのか。ムーア・データ全体を土俵際ま
で追い詰めてしまい、ついに息の根を止めてしまうことになること
を重々知っていたはずなのに、どうして敢えてあんなことをしたのか。

その夏、ムーア・データ出身のアンソニー・ラッセル氏がクロスイ
ンフォ本社の役員に迎えられたという記事が新聞に出た

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『あなたの会社が買われる日』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456965245X
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■目次■

前書き
第一話 新社長就任
第二話 投資ファンドの正体
第三話 社長たちの反乱
特別寄稿 ビジネスは人を豊かにするためにある

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