2006年5月15日

『ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代』

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837956661

本日の一冊は、『フリーエージェント社会の到来』で話題を呼んだ、
ダニエル・H・ピンクによる注目の一冊です。

※参考:『フリーエージェント社会の到来』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478190445

本書で著者が説いているのは、これからやってくる「コンセプトの
時代」に高い評価を得られる能力と、その基準。

著者によると、「左脳主導思考」がもたらした急激な繁栄により、
それほど合理的ではなく、右脳的感覚に訴えるもの、つまり美しさ
や精神性、感情といったものに、より大きな価値が見出されるよう
になった」わけで、これに伴い、ビジネスパーソンに求められる能
力にも変化が生じてきています。

具体的には、これから求められるのは、デザイン、物語、調和、共
感、遊び、生きがいといった「6つのセンス」。

本書では、これら6つのセンスが求められる理由とその磨き方を、
事例や参考文献を紹介しながら述べています。

歴史的に見れば、どんな時代でも、成熟社会に入ると右脳的なもの
が求められるので、本書のアイデアはひょっとしたら何も特別なも
のではないかもしれません。

また、同様の主張は、10年以上前から識者の間で唱えられていたこ
とで、本書が今さら話題になるというのは、それだけ日米両国の対
応が遅れた、ということにほかならないのだと思います。

しかしながら、迷えるビジネスパーソンに、今後のキャリア、生き
方の指針を与えたという点で、本書は意味のある一冊です。

来るべき新時代のルールに備えるために、ぜひ読んでおきたい一冊で
す。

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■ 本日の赤ペンチェック
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未来をリードするのは、何かを創造できる人や他人と共感できる人、
パターン認識に優れた人、そして物事に意義を見出せる人である

左脳は「何が」話されたかを扱い、右脳は「どのように」話された
か、つまり、眼差しや表情やイントネーションによってもたらされ
る、「言葉によらない感情的な面」に重点を置いている

これまで軽視され、顧みられないことが多かった右脳型の能力、つ
まり芸術的手腕、他人との共感、長期的視野、超越したものを追求
する能力、といったものの有無が、人生で高く飛躍できるか、つま
ずいてしまうかを大いに左右するようになるだろう

「左脳主導思考」がもたらした急激な繁栄により、それほど合理的
ではなく、右脳的感覚に訴えるもの、つまり美しさや精神性、感情
といったものに、より大きな価値が見出されるようになった

◆今の仕事をこのまま続けていいか――3つのチェックポイント
1.他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
2.コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
3.自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだ
ろうか

◆これから求められる6つの感性(センス)
1.機能だけでなく「デザイン」
2.議論よりは「物語」
3.個別よりも「全体の調和」
4.論理ではなく「共感」
5.まじめだけでなく「遊び心」
6.モノよりも「生きがい」

事実というのは、誰にでも瞬時にアクセスできるようになると、一
つひとつの事実の価値は低くなってしまうものなのだ。そこで、そ
れらの事実を「文脈」に取り入れ、「感情的インパクト」を相手に
伝える能力が、ますます重要になってくるのだ

◆「これから成功する可能性大」の3タイプ
1.「境界」を自分で超えていく人
2.何か「発明」できる人
3.巧みな「比喩」が作れる人

私たちの根底をなす活力、人間を動かす「動機」というエンジンは、
「生きがいを追求すること」にある

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『ハイコンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837956661
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■目次■

訳者解説 大前研一
[はじめに]「専門力」ではない「総合力」の時代!
第1部「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)」の時代
1.なぜ、「右脳タイプ」が成功を約束されるのか
2.これからのビジネスマンを脅かす「3つの危機」
3.右脳が主役の「ハイ・コンセプト/ハイ・タッチ」時代へ
第2部 この「六つの感性」があなたの道をひらく
1.「機能」だけでなく「デザイン」
2.「議論」よりは「物語」
3.「個別」よりも「全体の調和」
4.「論理」ではなく「共感」
5.「まじめ」だけでなく「遊び心」
6.「モノ」よりも「生きがい」
[あとがき]これからの成功者と脱落者を分ける3つの「自問」

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