2005年7月11日

『会社成長の原理』

http://tinyurl.com/97rq7

本日の一冊は、前著『会社存続の原理』で好評を博した著者が、企業を成長させるための原理原則と、経営者の役割、具体的な戦略の策定、そして成長を支える財務のあり方について論じた力作です。

※参考:『会社存続の原理』
http://tinyurl.com/7u2fm

本書の冒頭で著者は、企業が成長するために欠かせない投資とそのリスクをヘッジするための財務の健全性を説いています。そして、具体的な財務上の目標を掲げたうえで、それを実現するために経営者は何をなすべきかを考えさせる内容になっています。

著者が公認会計士ということもあり、さまざまな企業の数字を用いながら進められるケーススタディはじつに読み応えがあります。

戦略をどうやって数値目標に結び付けていくか、また数値から何を読み取るべきなのか、といったことが、懇切丁寧に説かれています。

会社の成長にとって重要な投資を、「設備投資」「在庫投資」「人材投資」と明確に示してくれたり、新規事業創造の戦略的視点として、「国内において300億円以下のマーケットサイズ」を挙げるなど、経営者が持つべき視点を明確に示しています。

経営者がその責務を果たすために、またビジネスパーソンが戦略と数字の関係を学ぶうえで、大いに役立つ一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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会社の成長は、利益(Income)、財政の安定(Balance)、キャッシュフロー(Cash-Flow)、シェア(Share)もしくは特別な付加価値(Special added value)という四つの成長指標(IBCS)と、普遍的な事業構造の転換により測られなければならない

企業が新しい環境に適応できなくなることは必然のものではなく、まさに経営者の適応力次第

会社の成長に必要な正しき利益の定義づけを行なうことが、会社成長の原理原則を理解する出発点

◆会社成長の視点から望ましい財政
1.公表するために作成するバランスシートではなく、経営者が実務の指針として作成するバランスシートに、これら(固定資産や退職金など)の残高を負債として加えればよい
2.あくまでも会社を清算するうえでの処分価格を基本とすべき

戦術の習得と実践により機会費用を排除し、短期的な利益を獲得してゆくこと、戦略の適用と実践により長期的な利益を獲得し続けることは、会社成長の基本セオリーである

◆会社の成長に重大な影響を与える投資(倒産の大半の原因でもある)
1.設備投資 2.在庫投資 3.人材投資

◆繁栄を続ける組織体とその本質的要因
1.金融=資本または資産の回転率
2.宗教=On Demand(満足度)
3.風俗=Low Cost(真の意味のローコスト経営)
※真の意味のローコスト:イニシャルコストが極めて低いこと

◆新規事業創造の戦略的視点
1.国内において300億円以下のマーケットサイズの製品・サービス分野に進出する方法
2.国内において衰退しつつある、もしくは疲弊しつつある業種の分野へ進出する方法
3.今後生じるであろう経済社会の構造変化に適合した製品・サービスを開拓する方法
4.すでに開発された技術、あるいは開発されつつある技術に適合した製品・サービスを開拓する方法

◆財務目標と現実とのギャップを埋めるためにやらねばならないこと
1.製品の集中と選択
2.総原価の削減による利益率の改善
3.攻める顧客と守る顧客の明確化
4.少ない資産で多くの利益を稼ぐ経営
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『会社成長の原理』
http://tinyurl.com/97rq7
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■目次■
はじめに
第1章 会社の成長とは何か
第2章 成長指標としてのIBCS
第3章 会社成長のための戦術と戦略
第4章 革新を生むリーダーシップと組織風土
第5章 いかにして革新の継続を図るか
第6章 会社の成長とコーポレートガバナンス
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